どうも、YuTR0Nです。
2026年10月14〜16日に開催されたTCT Shenzhenへ行ってきました!
深圳のFormnextと比べると、今回はちょっと出展が少なかったような? フィラメントメーカーも少なめで、配り物をしている企業がめっぽう少なかったのも印象に残っています。
そんな今回のお目当てはSnowX。316Lステンレスを印刷できる、小型の金属3Dプリンター「SnowPod」です。
金属3Dプリンターのサポート外しって、こんなに簡単なんですか?!
いきなりですが、会場で一番驚いたのがこれ。スタッフの実演を見た後に私もやらせてもらったのですが、薄いサポートに横から工具を当てると、思っていたよりあっさり外れるんですよね。金属なので、もっと大がかりな作業を想像していました。
これなら印刷した後も自分でなんとかできそう。金属3Dプリンターが家にある、というのが急に現実味を帯びてきました。
少し前にはScrap Labsも出てきましたね。小型の金属3Dプリンターが増えてくるのは楽しみですが、手頃に買えることと、家で手軽に使えることはまた別。粉末や後処理をどうするのか、気になるところです。studio 3e8など別方式もでてきましたがわかってる範囲内の情報で比べる限りでは私にはSnowXが合いそうです。
書きながら思い出したのはMicronics。金属ではなく樹脂の粉末を使うSLSで、2024年にFormlabsに買収されたメーカーですね。ああいう小型の粉末式プリンターにはわくわくします。もちろん、樹脂の粉とステンレスの粉では扱いも違うので、SnowPodはそのあたりをどうしているのか見てきました。(Micronicsは仮にほんとに出てたとしても一般家庭に置くのはちょっと怖い)
そもそも「デスクトップ」と言われても、机に載るだけで居住空間ではとても使えないマシンも。
TCT前にCEOのFangda Xuさんと約1時間ミーティングをして、当日は本人とスタッフに実機を見せてもらいました。帰国後にも追加で質問しています。写真もGIFも多めなので、会場に行けなかった人にも中まで見てもらえれば!
英語版は3DWithUSに寄稿しました。英語で読みたい方はこちらからどうぞ!
まずはサポート外し。金属なのにこんなに外れる?!
Fangdaさんの説明では、薄い金属の壁でサポートを作っていて、縦方向には強く、横方向には壊れやすくしているとのこと。なので、部品を上に引っ張るのではなく、薄いサポートへ横から力をかけて外します。

やってみると確かに外しやすいです。部品をつかんでぐいぐい引っ張るより、サポートそのものに工具を当てた方が素直に外れてくれました。
手で外しているデモもありますが、ニッパーやプライヤーを使った方がいいのは、薄いサポートに直接力をかけられるから。部品を曲げたり壊したりしないためにも、工具を使うのがおすすめとのことです。
ただ、相手はステンレス。お気に入りのプラモデル用ニッパーを持ち出すのはやめておきましょう(笑)。




じゃあサポートなしで強引にスタートしたらどうなるの? というのも聞いてみました。
サポートなしだと残留応力や収縮で造形に失敗したり、反った部品に邪魔されて印刷を続けられなくなったりする場合があるそうです。基本はサポートで部品をプレートから浮かせて造形します。展示プレートの中央のロゴなどは直接造形されていますが、あれはそのままぽろっと外せるものではなく、切り離す作業が必要とのこと。
こういうのは失敗した実物も見てみたいですね。サポートを付けずに始めたらどこで反るのか、剥がれるのか。成功例と並べてもらえると、サポートをどう付けるか考えるときにも参考になりそうです。
ビルドプレートは基本的に造形ごとに交換する想定だそうです。ただ、専用品を買う以外にも、自作や外注ができるよう寸法を公開する予定とのこと。こういうところはありがたいですね。
平面研削などで表面を整えて、本体で補正できる範囲に収まれば再利用もできるそうです。サポートを外した跡は結構きれいだったので、私としては再利用も試したいところ。
とはいえ、一般家庭でステンレスのプレートを溶かしたり平らに削り直したりはなかなかできません。最近流行りのデスクトップCNCを持っている人なら、機種や加工条件次第で出番があるかもしれませんが。使い終わったプレートを回収して再生する仕組みなんかもあるとうれしいです。
幅36cm。でも40kgあるので置き場所は考えましょう
SnowPodは、金属粉末をレーザーで溶かして一層ずつ積み上げるSLM方式。対応材料は316Lステンレスです。造形室には、別体の窒素発生器「NitroPod」から窒素を送ります。
| 項目 | 公表仕様 |
|---|---|
| 造形サイズ | 80 × 80 × 100 mm |
| レーザー | 200 W ファイバーレーザー |
| レーザースポット径 | 約40 μm |
| 積層ピッチ | 30〜60 μm |
| 本体サイズと重量 | 360 × 360 × 660 mm / 40 kg |
上は2026年10月25日時点の公式ページの仕様です。約40μmはレーザーのスポット径なので、そのまま完成品の寸法精度という意味ではありません。寸法精度は別に0.05mmと案内されていて、形状やサイズなどによって変わるとのこと。

金属フィラメントを使うマシンもありますが、あちらは印刷後に脱脂・焼結が必要です。炉を用意するか外注するか、というところが個人だと結構なハードルなんですよね。
SnowPodは粉末を直接溶かすので、そのための脱脂・焼結は不要。もちろんサポート外しや、用途によっては研磨なども必要ですが、自分で設計したものを手元で金属にできるのはやはり魅力です。
本体は幅も奥行きも36cm。サイズだけならコンパクトですが、重さは40kgあります。持ち上げるのも大変なので、しっかりした作業台を用意したいですね。
前扉を開けてトランスファーボックスを付けるスペースも必要ですし、NitroPodと取り出した後の作業場所も必要。NitroPodはチューブでつながっているので、置く位置を調整できるのは助かりそうです。



会場にはモックアップ数台のほか、稼働可能なSnowPodが3台、NitroPodが1台。扉も上蓋も開けてもらったので、中の構造まで見てきました。
SnowPathは、いつものスライサーと同じ感覚
専用スライサーのSnowPathは無料です。モデルを読み込んで、向きを決めて、サポートを付けて、レイヤーを確認する。普段フィラメント式やレジン式を使っている人なら、見慣れた流れだと思います。
会場でも向きの変更からサポートの自動生成、レイヤープレビューまで見せてもらいました。造形時間と重量の見積もりも出ます。サポート跡を残したくない面を考えて向きを決めるあたりは、特にレジンプリンターを使っている人にはなじみがありますね。




Fangdaさんたちは、ある程度安定して造形できるようプリセットを作り込んでいるそうです。金属造形の条件を最初から全部自分で探るのはさすがに大変なので、これは期待しています。
あとは収縮率のキャリブレーションですね。XYとZでどう補正するのか、穴やはめ合いを追い込むにはどうするのか。このあたりもテスト造形からの流れを見てみたいです。
本体もソフトもローカルで動作するそうです。会場ではスライサーと本体がつながっていなかったので、内部カメラの画面は後日送ってもらいました。
サポートの模様がうっすら見えますね。フィラメントやレジンに慣れていると、どこに造形物があるんだ? となるかもしれません。
周りが全部パウダーで埋まっているので、上から見えるのは一番上の層だけ。いつものプリンターみたいに、造形物がだんだん立ち上がって見えるわけではないんですね。

パウダーの供給も回収もPodで
やっぱり気になるのは金属粉末の扱い。SnowPodではPodというカートリッジを使って、上蓋の中の2つの区画に取り付けます。供給だけでなく、造形後の粉末回収にも同じタイプのPodを使う仕組みです。
パウダーはライセンスでの供給も検討しているそうなので、粉末メーカーの方は問い合わせてみると面白いかもしれません!



使わなかった粉末は、サイクロンのような分離機構で再利用するものと廃棄するものに分けるそうです。前面の下には廃棄粉末用の容器が入るエリアがあります。白い容器の上にある、赤い縁の透明カバーも見せてもらいました。



粉末については、Fangdaさんが普通の2Dプリンターのカーボントナーを例に説明してくれました。トナーは粒子が細かく、一度舞うと広がりやすい。一方でSnowPodのステンレス粉末は比重が大きい、という比較です。
トナー感覚で扱っていい、という話ではないですが、粉末を直接触る場面をPodや密閉容器で減らそうとしているのは分かります。次の取り出し方も、その工夫の一つ。
トランスファーボックスで、押し出しから取り出しまで
印刷が終わったら、前面に透明なトランスファーボックスを取り付けます。取り出し操作をすると、プレートごと造形物がボックスの中に出てくる仕組み。会場では粉末を入れず、展示サンプルを載せた状態で見せてもらいました。



中に収まったらスライド扉を閉めて、ボックスを本体から取り外します。造形室を開けて粉をかき分けながら取り出すのではなく、箱の中へ受け渡して、そのまま持ち出せるようになっています。


その後はボックスに水を入れて、残った粉末をスラリーに。フィルターで固形分を回収してからサポートを外す、という流れです。
会場で実演してもらったのは着脱と押し出しまでで、水を使うところは説明を聞いています。この続きは、実機を使う機会があれば自分でもやってみたいですね。
フィルターは箱ごと交換
フィルターも見せてもらいました。公式仕様では内部がH13、外部がH14等級のHEPAフィルター。背面のフィルターと、Fangdaさんが取り出してくれた内部用のボックスがこちらです。
交換するときは、中のフィルターを出さずに樹脂のハウジングごと取り替える構造です。これはありがたい。数ヶ月ごとの交換を想定しているとの話だったので、消耗品の価格も気になりますね。


保護具は公式FAQでも通常運転時に推奨、保守・整備時は着用が必要とされています。
NitroPodと窒素まわりも聞いてみた
造形室の酸化を抑えるために使う窒素を、空気から分離して作るのがNitroPod。窒素ボンベを別で手配しなくて済むのは助かりますね。
公式仕様では流量3L/min、そのときの純度99.9%、最大出力圧力0.2MPa。SnowPodへは背面から透明なチューブでつながっています。


背面にチューブと電源ケーブルが出るので、そこも含めて置き場所を考えたいところ。作業場の振動や地震はどうなのかも聞いてみました。振動は造形品質に影響するものの、装置にはある程度の耐性があるそうです。詳しくはKickstarterでの仕様公開を待ちましょう。

窒素が漏れた場合の検知機能も気になったので、後日質問しています。回答では、酸素濃度と圧力を監視していて、異常があれば自動停止するとのことでした。
どこにセンサーがあって、何を検知して停止するのか。そのあたりは今後の公開情報もチェックしたいですね。
格子もねじも歯車も。サンプルが楽しい
展示サンプルはかなり豊富でした。ねじや歯車、薄い壁、格子、文字、羽根みたいな形まで入ったテストプレート。つい裏側まで見てしまいます。底のサポートは展示用に省いてあるので、このままサポートなしで印刷するという意味ではないそうです。


格子を並べたプレートや、サポートだけを印刷したものもありました。XYとZで強度がどの程度変わるのかも質問済みです。両方向の試験レポートはあるそうで、データを出すのに少し時間が欲しいとのこと。こちらも楽しみにしています。


小さい格子サンプルも、手に取って見ると面白いんですよね。指先に収まる大きさなのに、細かい穴や曲面がびっしり。写真だけだと大きく見えがちなので、手に持ったものも載せておきます。






壁にはトポロジー形状の部品や格子のバルブボディがずらり。ロボットアームにも多孔質のカバー状サンプルが付いていました。こういう機械部品を作るなら、方向別の物性データも気になるところですね。
そして歯車のフィジェット。樹脂では見慣れたものですが、金属になるとこの重量感が堪らない。個人的にはかなり刺さりました。




アクセサリーをステンレスで作れるのもいい
まずは指輪やペンダントを作ってみたいです。金や銀と違って素材自体のリセール価値は低いですが、強度や耐久性はステンレスのいいところ。強度を使って細い形に挑戦するのも面白そうですね。


それから耐食性。ステンレスは表面の薄い不動態皮膜が内部を守ってくれます。酸化しないというより、この皮膜のおかげで腐食しにくいんですね。ただ切削したものと印刷したものでどのような違いがでるかは気になるところです。
ブレスレットも、こんな入り組んだ形を直接ステンレスで作れます。自分のデザインで作ってみたくなります。



ニッケルが含まれることもSnowXに確認しています。ステンレスならアレルギーの心配がない、とまでは言えないので、アクセサリーを作る人は気になるところですよね。完成品からのニッケル溶出を調べるEN 1811など、参考にできる試験の結果を待つしかないですね!
80mm角でも、作りたいものは結構ある
キーキャップ、薄い花器、葉っぱのようなレリーフ、フィジェット。80×80×100mmと聞くと小さく感じますが、これだけサンプルを見ると作りたいものが増えますね。




金属なので研磨してぴかぴかにできるのも楽しみです。サンプルの靴やヘルメットのバイザーはかなり光っていました。印刷したままとはまた違う仕上がりに。




Print in Placeの可動式ドラゴンもありました。するする動くものもあれば、極小サイズでサポートらしきものが残っていて、一部動かしにくいものも。
この手のモデルは、どういう向きで置いて、どこにサポートを付けたのかも見たくなります。隙間の設定も含めて、SnowPathのプロジェクトごと共有してもらえるとよりわかりやすいですね。






Fangdaさんってどんな人?
新しいブランドなので、作っている人たちのことも少し。Fangda Xu(徐方达)さんは金属AMの研究や産業機に関わってきた方で、英国バース大学ではResearch Associateとして、Stephen Newman教授、Vimal Dhokiaさんとワイヤーアーク方式の金属積層造形向けデジタルツイン「AMtwin」を開発しています。
大学の発表には、研究の事業化を支援するICUReへの参加や、英国王立工学アカデミーのEnterprise Fellowshipによる支援も載っています。詳しく知りたい方はバース大学の発表や王立工学アカデミーの紹介もどうぞ。


背景には産業用の装置を作っているRONGSU(融速科技)があります。産業機のワイヤー方式とSnowPodの粉末床方式は違いますが、既に金属加工に慣れたチームが小型機を作っているというのは、個人的には安心材料の一つです。
買うならNitroPod付きかな
価格も公開されて、VIP予約ページから予約金を払えるようになりました。2026年10月25日時点で確認した金額はこちら。すべて米ドルで、VIP価格は「〜から」です。
| セット | VIP予定価格 | Kickstarter予定価格 | 予定通常価格(MSRP) |
|---|---|---|---|
| SnowPod Printer Kit | US$4,999〜 | US$5,299 | US$9,299 |
| SnowPod + NitroPod Kit | US$5,599〜 | US$5,899 | US$9,999 |
私が買うならNitroPod付きのセットですね。差額は600ドル。別で窒素発生器を探して、流量や純度を調べて、接続を合わせて……とやるより、この差額で一式そろう方がありがたいです。
もちろん安い買い物ではありませんが、金属3Dプリンターと周辺設備を自分の作業場に入れると考えると、かなり手が届くところに来た気がします。
VIPの予約金は50ドル。Kickstarter予定価格からさらに300ドル引きになる仕組みです。予約ページでは、キャンペーン終了後14日以内に予約金の全額返金と追加割引が適用されると案内されています。予約時とKickstarterの支援時には、同じメールアドレスを使う必要があります。
VIP枠はこのKickstarterキャンペーン専用で、受付は開始まで。支援しない場合は開始前に返金申請ができるとのことです。50ドルで本体を買えるわけではないので、申し込む方は公式ページの条件も読んでみてください。
やっぱり自分の作業場で使ってみたい
触ってきた感想としては、やっぱり欲しいですね。
金属を印刷できるマシンはこれまでも見てきましたが、今回はPodを入れて、スライスして、ボックスへ取り出して、工具でサポートを外すところまで見られました。自分で使うときの想像がしやすかったです。特にサポート外しは、実際にやらせてもらってよかった。
個人的には、ある意味で家の光造形プリンターより気楽に使える部分もあるんじゃなかろうか、とも思いました。レジンの補充に洗浄、二次硬化、道具の片付けとやっていると、結構な作業になりますからね。Podとトランスファーボックスで作業をまとめられるなら、かなり助かりそう。水を使った後の処理も含めて、一通り自分で試してみたいです。
自分で設計した部品やアクセサリーを、そのままステンレス。必要なら研磨して仕上げる。レジンで原型を作って鋳造するのも面白いですが、ステンレスで用途に合うなら、直接印刷できるのはやはりうれしいですね。
金属3Dプリントも、ようやく個人が手を伸ばして使うところまで来たのかもしれません。
今回見たのは開発中の試作機です。最終的な仕様や価格、セット内容、出荷予定などは、SnowPodのKickstarterページとUpdatesでチェックしてください!
そして深圳はご飯もおいしくて、さらに太った気がします。最新のプリンター技術も分かるし、おいしいご飯も楽しめる。展示会、いいですね(笑)。
今年最後のでかい3Dプリンターイベントに行きたい方は、ドイツのFormnextもぜひ。2026年は11月17〜20日、フランクフルト開催です。今年は忙しいので残念ながらいけませんが!
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