どうも、YuTR0Nです。
今回はQIDIさんからQ2 Comboを提供いただいたので見ていきましょう。ちなみに執筆時点で418時間ほど使用しました。
個人的にはPLAで使うよりもエンプラでゴリゴリ使って楽しい機体かなと思ったので418時間のうちのほとんどはQIDI純正のABS-GF25フィラメントを使用しました。今までできなかったGF/CF系でマルチカラー印刷ができて楽しい一台です。
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フィラメントに優しい経路設計
Riser(ライザー)のおかげでQIDI BOXからツールヘッドまで、特にツールヘッドにさしかかる庫内でのPTFEチューブの曲げRが緩やかになっているのが非常に素敵です。
提供初期の際は付属していませんでしたが現在発送されているものはRiserと同梱になっているかと思います。私の知る限りでは射出成型品としてしっかり製品の一部としてRiserを同梱したのはこのQIDIのQ2が初めてな気がします。

最初のうちは印刷品データをいただいていたのでABS-GF25で印刷して使っていましたがやはり射出品はPLA用などのフィラメント印刷時にオープンする窓部がしっかりとしていていいですね。もちろん印刷する手間がないというのが一番うれしいですが。ちなみにQ2 ComboでRiser使用時高さが43mmほど高くなります。
Riserを使わない場合黒いドラッグチェーンのすぐ上あたりが天蓋になります。

Riserとは?
BambuLab X1を皮切りに始まった高速CoreXY 3Dプリンター類に多くみられる構造としてプリントヘッドへフィラメントを供給するPTFEチューブが天蓋を擦ってしまうレベルできついRで配置されてるが故にマシンによってはフィラメント切り替え・供給が不安定になったりフィラメントが折れやすいなどといった問題が発生しやすい場合がありそれを解決するために天蓋を上げる”Rise”するという機能をもったものです。
便利なQIDI BOX
印刷中も乾燥することが可能!追加でACアダプターなど買う必要ももちろんないです。
※QIDI BOXは最初に発送してもらったものから仕様変更があったため418時間のうち新型使用は100時間程度
QIDI BOXはABS-GF25程度までなら問題なく利用できます。PPA-CF/PAHT-CFなどは固すぎてロードできません。
また背面のPTFEの配置は負荷が少なくなるようにしてあげないといけないので注意が必要です。付属のPTFEをまとめるパーツでバッファーへのエントリーが緩やかになるようにしてください。壁ギリギリ配置はそもそもパージされた材料排出スペースも必要なのでおすすめしません。
スライサーともスムーズに連携

本体のフィラメント情報の同期も簡単に。
色同期はボックスマークをぽちっと押せば完了。


マルチカラーのお手並み拝見
マルチカラーの耐久としてはやはり大量のMakerChip印刷!3DPrintopia向けに数百枚印刷してもっていきました。
下記はすべてQIDI ABS-GF25にて印刷。GF系のフィラメントは色の発色もよく気に入っています。CF系だとどうしても暗い色になってしまいますからね。さらなるカラバリの拡充とお値段を更に大量購入向け割引を用意してもらえないかな~と期待しています。


右のものは間違ってパージ対象にしてしまったので色が混ざっています。

こちらはQIDI ASB-GF設定でPhaetus aeWorthy ABS-GFにて印刷。

QIDIのものは25%GF配合に対してPhaetus aeWorthyは10%。ちょっとTDSを見てみましたが残念ながら微妙に条件が違い比較はできなそうです。通常系のABSでも同様の比較をしてくれていると比較しやすそうですが。同様に温度x押出圧力のグラフも見てみたいですね。


見比べてみると色は同じ…でしょうかね?

こちらもPhaetus aeWorthy ABS-GFにて印刷。下記の様に底面が白化してしまっている部分はバーナーなどでさっと炙ってあげることで消すことができます。やけどにはご注意。

RFIDに対応
QIDI純正でRFIDタグ付きのものはもちろんのこと、いろいろ独自でやりたい人向けに仕様も公開済みです。興味がある人はみてみてください。フィラメントの在庫管理などにも役立てられそうですね。
https://wiki.qidi3d.com/en/QIDIBOX/RFID
バッファー
初期モデルからバッファーも変更。この初期の横向き配置は経路をしっかりしてあげないと切り替えが不安定でしたが縦向き配置+新バッファーでは一発目からマルチカラーで安定していていい感じです。ピン数も4ピンから5ピンに代わっていますね。

ほぼ最大サイズでも問題なし
H2Sのテスト用に作ったモデルを80%縮尺でQIDI ABS-GF25にて印刷。これだけで1,000円分以上のフィラメントが消えていきます…。大物でなおかつピン角など多いような反りやすいものはもちろん角部に追加で”Tab”をつけたりブリム機能を使うなどといった方法もありますが印刷可能範囲が狭まりますし、後処理が追加で必要かつ…つけても反る場合はあります。そんなときはCF/GFなど繊維配合のものを使用するのがおすすめです。
https://www.printables.com/model/1468403-large-object-print-test
印刷前は開封直後だとしてもまずはQIDI BOXを使って乾燥させてから使用しましょう。またQIDIからの推奨でCF/GFなどの強化繊維系はQIDI BOXを乾燥時と同じ温度に設定して印刷してくださいとのこと。常温よりもフィラメントが柔らかくなり途中で折れてしまうのを防ぐ目的かなと思います。

PEIシートごと沿ってしまうということもなくビチッと印刷完了。一層目のインフィル速度は50mm/sに落としています。またインフィルパターンはGyroidを使っています。デフォだとGridが多いですが構造上クロスして同じ高さでぶつかりまくるので失敗を避けるという意味でもGyroidにて。

こちらはオーバーハング部分。ここを更に綺麗にしたい場合はオーバーハング速度を遅めに設定してあげてみるといいかもしれません。

QIDI STUDIO
基本的にはBambuStuidoベースなのでとっつきやすいかなと思います。ライセンスにのっとりしっかりと公開されています。
https://github.com/QIDITECH/QIDIStudio

フィラメントの比較なんていう便利機能も!こちらは日本語がちょっとおかしかったのでGitHubでプルリクを投げておきました。

ベッドの傾き調整
ベッド自体は出荷時に調整はしているので更に傾き修正したい場合はレベリングノブを調整して並行出しとのこと。
こちらは未調整の状態。全体で最大0.35mmのふり幅があるということです。

さて。この0.35mmの傾きをどうとらえるかは人によるかと思いますが私はこのサイズであれば問題ないかなと思います。ざっくりではありますが例えばの例で。
仮に対角で0.35mmずれてたとして0.05度しか傾きは発生しません。


対辺でずれてたとしても0.07度しか傾きは発生しません。厳密にはこんなきれいではなく見ての通りうねっているので局所的にはもう少しあるものの10万切りで買えるマシンでそこまでのものをしかも収縮のある樹脂で作るか…というと多分作りませんよね。

Platform Caliblation機能を使って傾きを更に補正は可能です。ノブは結構硬めというかノブが小さいので回しにくいという感じですね。普段使う素材の温度までベッド温度を上げた後にベッドメッシュを行い結果に従って調整していく感じです。この程度であれば小物の印刷では特段問題ないですが組み合わせ前提の大型部品の場合や底面と上面ないしどこかの並行が重要な場合は調整をおすすめします。
ただPEIもシボ加工されていますしどこまで厳密さを極めるか、個人的には軽くやっておけば問題ないかなと思います。あとは印刷終了後は室温になるまで待ってから取り外すといった印刷以外の工夫でも反りの低減ができますね。
ちなみにPEIシートのアライメントは片手でも問題なくビシッと決まるので気に入っています。

プレート端部のところは仕様上すれていくのでお気になさらず。

ゴミに注意!
プラットフォームキャリブレーションを使うとZ軸が一番下まで下がってきます。普段はZ軸原点は上なので背の高いものを印刷しない限り下には降りてこないので問題ないですが、リニア軸のところはゴミが入ってしまう構造になっているのでここは常日頃印刷のカスなど入らないように気を付けましょう。
せっかくなのでサクッとシンプルなキャップを作っておきました。


あとではずしにくくなっても困るので緩めの寸法で設計してます。可能なら見やすい色で作った方がいいかもしれません。STEPファイルを使いたい場合はスライサーの分割機能で割ってあげてください。
https://www.printables.com/model/1482415-qidi-q2-z-axis-cover

またフィラメントの乾燥はQIDI BOXメインで行っていたので気づきませんでしたがベッド&チャンバーヒーターを活用するモードでプリセットがちょっと荒ぶっている問題はQIDIに連絡しておきました。

ちなみにこのモードを使用した場合でも下までは下がらないのでカバーを外す必要はなさそうです。

MET認証取得済み
MET認証とは、米国メリーランド州に本拠を置くMET Laboratoriesによって付与される製品安全認証です 。MET Laboratoriesは1959年に設立され、米国労働安全衛生局(OSHA)から米国で最初の国家認定試験機関(NRTL)として認定されています。普段仕事をしている際はUL認証ばかり聞くので勉強になりました。

つまり、METマークが付与されたQIDI Q2 Comboは、米国の連邦法が定める厳しい安全基準をクリアし、製品の設計や構造が、火災や感電といった潜在的な危険からユーザーを保護するために適切に設計製造されているということですね。
熱源を多く使う製品故にこういった認証を取得しているのは安心感があります。電源はもちろんのことベッド、ホットエンド、ヒートチャンバーなど適切に設計されていなかったら火事の原因となるものを多く含む3Dプリンターだからこそ。PLUS 4ではいろいろありましたがそこから適切に設計思想をアップデートしてきているなと感じます。

認証の詳細はこちら
https://drive.google.com/drive/folders/1n1TOk4A1eXKFWKFvB2DpL5gCa2aSRFYa
どのような部品を選定しているかも確認ができます。

スパゲッティは検出できるのか
絶対に失敗しそうなモデルでトライ…するのはちょっともったいないのでこちらはしばしお預け。
QIDI Q2はSSHアクセスも可能
ID: mks パスワード makerbaseです。TeraTermなどを使えばいいかなと思います。
SSHってなに?

SSHというのは…現時点で知らない場合はそもそもアクセスしないことをおすすめします。高確率で変な変更を加えて保証がなくなるだけになる可能性があると思います…。




Rootユーザー権限ではないですがちょっとはいろいろできそうです。ただしもちろん自己責任で!変更加えたことによる故障は補償対象外になるのでご注意を。
“警告: システムファイルの変更や非公式プラグインのインストールは、公式サポートを受ける期待を無効にします。プリンターのセキュリティと安全性については、お客様が単独で責任を負うことになります。これらの変更から生じるファームウェアの問題は、保証の対象外となります。”
今後の改善に期待する点
PAHTなど固いフィラメントの場合はQIDI BOXが使えないので外部スプールホルダーを使う必要があります。
初期モデルのQ2コンボでは使用していなかったスロット、外部スプール向けのホルダーをつけるスロットが、新しいバージョンのQIDI BOXとの組み合わせになってから供用になってしまったため、外部供給したい場合いちいち外す必要があります。
この辺りはBambuLab P2Sのような外部供給向けとQIDI BOX向けで2連になったハブデザインに代わるとより快適に使えるのかなと思いました。
またQIDI BOXでUnload時に巻き取りすぎてしまうところはちょっとソフト側で改善してフィラメントが完全に巻き取られる手前で止めて手動で抜く仕様にしてほしいなと感じました。こちらはQIDIにFB済みです。
また性能には影響しませんがABSメインでかなりヘッド周りが黄ばんでしまったのでこの辺りは黒い部品でかっこよく引き締めても良いのかな?と思いました。


またフィルター交換の蓋がちょっと硬すぎますね。もう少しだけ簡単に開くようになってほしいかなと思いました。(印刷中外れない程度で)













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