3Dプリンタープレゼントキャンペーン中~11/19

旭化成フィラメント「KARAKSA」 レビュー記事|繊維強化ナイロンフィラメントにCNFという新たな選択肢

  • URLをコピーしました!

どうも、YuTR0Nです。

今回は旭化成さんに面白いフィラメントを提供いただきました!そう、家にあるラップとかでもみるあの、あの旭化成さん!!実は昨年JRRF2025でも協賛企業として参加いただいていました。

「繊維強化フィラメントだけど真鍮ノズルでも0.2mmノズルでもOK」

そんな夢のようなPA-CNF系統のDXとBXをいただきました。既に展示会でのサンプル展示などは多くしており見たことある人も多いかもしれません。フィラメント名、KARAKSA

今まで触ってきたのはやはり主に扱いやすいフィラメントがそうはいっても多く「フィラメントは絶対乾かさないと!」というイメージばかり先行してたのですがちょっとKARAKSAは面白い側面もありました。(後述)

H2Sの記事でもエンプラに対しての学びが多かったですが本案件も知見がまた広まる機会になりました。

また近頃はいろいろ物騒ですがKARAKSAはセルロースのナノファイバー(CNF)の製造、樹脂との混錬、フィラメント化を全て国内で実施した国産フィラメントということで完全に外で作って輸入されているフィラメントよりやはり安心感も。

※本記事中リンクにはアフィリエイトリンクを含みます

そもそもCFでもGFでもないしCNFって何?

繊維強化フィラメントにもいろいろ種類がありだいたいAmazonなどで買えるのはCF(短繊維の炭素繊維)やGF(ガラス繊維)強化のものがメジャーだと思います。今回のものはそれとは別物の「CNF:セルロースナノファイバー」。

繊維が細かいゆえに側面の表面はGF・CF系と比較するとあまり積層感が隠れるといった効果は薄れますが、CF系でよくある印刷物を削った際などに細かい繊維が指に刺さってるというような事故が発生しないのが良いです。

また「チキソトロピー性」に優れているという特徴があります。

オーバーハングなどに強く、まただらだらダレることなく切れ良く印刷できる特性…とかみ砕くのが適切そうでしょうか?

冒頭で真鍮ノズル0.2mm径ノズルでも印刷可能とさらっとかきましたが

CNFの直径は10~100ナノメートルに対しCFは7マイクロメートルほど。

ここで単位が怪しくなった人は私と一緒におさらいしましょう。

1マイクロメートル[μm]=1,000ナノメートル[nm]

いかに細い繊維なのかがよくわかりますね。真鍮ノズルでも摩耗が少ないというわけですが、最近のマシンは真鍮ノズルではなく硬化鋼やステンレスが多め。なのでメリットがないのでは? いえいえそんなことはありません。そもそも普通繊維強化系は0.4mmノズルでも詰まってしまうことがあります。そういった要因で部品交換しなくてはならない頻度が減るという恩恵。あとは他繊維強化系に対し摩耗が少ない→ノズル径の変化が微小なため同じ品質で長期間印刷できるというメリットもありますね。

これだけ良いとこどりをしていて0.45MPaでの荷重たわみの温度が170℃~190℃とのこと。

また摺動性も優れており、2kgfの力を加えた状態で往復摺動試験実施でも圧倒的に低いCOF(摩擦係数)を見せつけています。

実験方法:旭化成さん資料より
実験結果:旭化成さん資料より

実際の試験結果一部がこちら

ABS PA6/CF KARAKSA™ F
PA/CNF
比摩耗量
mm³/(N·m)
ABS 摩耗痕 PA6/CF 摩耗痕 KARAKSA F PA/CNF 摩耗痕
比摩耗量
mm³/(N·m)
1.98×10−3 1.08×10−4 5.62×10−5
ABS
ABS 摩耗痕
比摩耗量 mm³/(N·m)
1.98×10−3
PA6/CF
PA6/CF 摩耗痕
比摩耗量 mm³/(N·m)
1.08×10−4
KARAKSA™ F PA/CNF
KARAKSA F PA/CNF 摩耗痕
比摩耗量 mm³/(N·m)
5.62×10−5

最初の難関

まずは下ごしらえから。

乾燥は推奨条件だと

  • 熱風乾燥機:100℃ × 7hもしくは120℃ x 2〜4h
  • 真空乾燥機:80℃ × 48~72h

さて、これはちょっと条件が限られてきますね。真空乾燥機なぞは仕事で使っていない限りはあまりないような…となると熱風乾燥機。とはいっても120℃でる製品…。

そもそも簡単に手に入るレンジではなくせいぜい近しくてもE2ですが110℃と微妙に満たないスペックかつサイズ専有も大きいので取りあえず家にあるAMS HT85℃EIBOS Polyphemusの2世代目(80℃)、Creality SpacePi X4 (85℃)を使用。

使用感としては開梱してすぐ突っ込んで使用していない際はシリカゲルと密閉、使用前に8時間くらいのデフォ設定で乾燥をかける程度で実用できることはわかりました。(梅雨とか夏の時期はまだ未検証)

印刷設定・準備

テストは主にBambu Lab H2SとP2S、QIDI Q2、Snapmaker U1にて。

CNFは0.2mm径でも問題ないことはP2Sで確認できたので推奨されてないですがHFノズルの0.4mmをH2Sでは使用しました。(HFノズルの恩恵はなんもないので普通のバージョンで問題ないです)

プレートはどのマシンもテクスチャPEI(デフォプレート)にケープ3Dエクストラキープ無香料を吹き付けて使用。

こちらの300g x2本がおススメです : https://amzn.to/4b0Pths

個人なら問題ないと思いますが会社で買うときは…ごり押しで買ってもらいましょう!消耗品!安い!

どうしても難しい場合はみんな大好きしわなしPiTノリなどでも。中学とかの頃この糊で糸を紡いだのが懐かしいです。蓋に指でなんども糸を掛けていくと布みたいな感じで…脱線。

マルチカラーユニットOK(AMS/QIDI BOX)

Bambu LabのAMS2 Pro、AMS HT、QIDIのQIDI BOXまたそれに加えSnapmaker U1それぞれすべて経路バイパスせず普通に使用することができました。マルチマテリアル、マルチカラーで使わないにしろこれらでそのまま使えると楽なこと間違いないですからね。ただなんでもロードしっぱなしはリスクなので印刷をしばらくしないときはアンロードしておくのがいいと思います。

P2Sで使う場合はマシンをだます必要がある

PLAだけ使っている人はあまり遭遇はないと思いますがBambu Labのマシン、例えば最近の世代のマシンはなぜかEngineering Filament向け!といってる割に全然選択肢がありません。0.4mmのプロファイルなら良いですが0.2mmになると全くない!PCはあった!ということで高温タイプだしいいかという考えだけでPCフィラメントをベースにフィラメントプロファイルを作成。

0.2mmで別に他にもいろいろ素材は印刷できるよね?!という気持ちは抑えつつ…。

DXも温度だけ変えて使ってました

プレートはテクスチャPEI(Bambu Labはテクスチャードとテクスチャが混ざってますね)を使っていたので他の温度は変えていないです。流量(最大体積速度)4mm3 /sは私の方でテストした値です。

またマシン側でもPC素材として強引に設定。

0.2mmの場合はフローキャリブレーションは必ずオフにし、キャリブレーションはまずは初回手動で実施してください。(でもめっちゃ判断に困るのでとりあえずフローキャリブレーションオフで試し印刷でもいいかもしれません)

H2Sの場合はというと…しっかりGenericでPA-CFが増えているのでそれをベースにいじれば大丈夫です。出たばかりのころはいろいろなかった気もしますが。

我が家のH2Sはサンステラさんに提供していただいたマシンです。

https://psych0h3ad.link/SBBLH2S

Bambu Lab本家で在庫がないときに代理店はもってたりということもあるので本家のストアと両方確認してみるのがおススメです。P2Sのレビュー記事もそのうちアップ予定です。

QIDI Q2でもだましだまし

最近のマシンはどうもある意味難しいですね。

QIDI BOX側ではPA-CFとして設定が可能ですが、スライサー側で同期すると受け付けてくれません。

QIDI BOXではPA-CFとしてるので確かに同期ボタンを押すと出てきますが…確かにPA-CFのはずだけど

どこ行った!OKじゃないよ!!

そのため設定ファイルを作って手動で切り替える必要があります。

QIDIのPA12-CFあたりのフィラメント設定など適当に読んでそれをベースでいじります。

こんな感じで毎回指定。これはそのうちアップデートで改善されるとは思います。(リクエストしておきます)

スパースインフィルも100に下げてしまった方が良いとは思います。

隙間インフィルも下げといた方がいい気もしますがとりあえず私はこの設定で使っていました。

Q2は地味に印刷領域も広く価格も抑えられておりエンプラメインの方には非常にお勧めしたい一台です。ご購入はコチラ

印刷してみて

ざっくりの乾燥ですが印刷ができなかったというケースはなく基本サクサクとテストができてよかったです。

ただ印刷完了後に特に0.2mmで印刷直後に力を入れるとバキバキ裂けるオブジェもありなぜだろうと頭を抱え旭化成さんに聞いてみたところ吸湿が肝!と教わりその後は無事に。

大物造形での反りは?

速度設定はというと…H2SのHF 0.4mmでは特に基本は変えていないので流量で頭を制限する形で使っていました。

https://www.printables.com/model/1468403-large-object-print-test

結果として反りなく完走!特に反りにくいことをうたっているDXの方でトライしました。

※破壊後のものです

この大物で最大流量時でおよそ200mm/sで印刷という感じでしょうか。

ただ速ければいいというわけではもちろんなく、実際この大型部品を破壊してみた感じ一部はやはり積層に沿ってしまっているところが見受けられるので実用は速度上限を下げるほうが良さそうですね。

またSnapmaker U1でもマルチカラーユニット向けのテストモデルではありつつ角部が反りやすいこちらのモデルも難なく印刷達成。初期がステンレススチールノズル仕様ということもありそのままで使えてしまうのは心強いです。

https://www.printables.com/model/937776-the-benchbin-multi-color-3d-printing-torture-test

接触面の少なくなる蓋部分もはがれることなく難なくゴール。

オーバーハングに強い

オーバーハングに強い特徴があるということなのでVORONのSBで

https://github.com/VoronDesign/Voron-Stealthburner/blob/main/STLs/Stealthburner/%5Ba%5D_stealthburner_main_body.stl

3DXTECH Obsidian™ PA6-CF

eSUN ePA-CF

Bambu Lab PA6-CF

PRINSFIL PETG-GF

Bambu Lab PA6-GF

KARAKSA DX

また先ほどSnapmakerでの印刷例であげたゴミ箱の突起部下部のオーバーハングでPLA VS KARAKSA DX。
写真じゃわかりにくかったのでガンダムマーカーもどきで色を塗りました。PLAの方では荒れているのに対しDXではきっちりとオーバーハング面でも印刷できているのがわかります。

デジタルマイクロスコープの操作ステージ

なんだか気持ち大学生に戻った気分でダブルヘリカルギアの製図方法をググりデザイン。

過去YouTubeでプリンターに適したギアデザインというような動画で見てからは必要な際は毎回なんとなくダブルヘリカルギアを作るようにしています。手間だけど…。

まず上下の位置固定用ねじは作りたくなかったのでミチミチの設計に。

最初は0.4mmノズルの感覚で緩めに作りBambu LabのPA6-CFなどで印刷していたもののキチキチに。更に緩めようかとも思いましたが0.2mmノズルがせっかく使えるなら!

若干そもそもの印刷の公差が良くなったことと表面性状の違いが功を奏してめちゃくちゃスムーズに。土台とラックギア側はDX、ほかはBXを使っています。

0.4mmノズルでは達成できなかった造形精度を

これはあくまで内径外径をキャリブレーションしたわけではなくノズル径の違いでどこまで変わるかというのを試す目的で。

こちらのドローンフレームのモーターマウント部を印刷してあります。

https://www.printables.com/model/1216454-project-synthara-generative-design-fpv-drone-frame

「印刷したけどなんかはまりが違うな?」もちろん調整するという手もありますしそもそも元のモデル自体を変える、それ以外にノズル径を変えるというのもやはり手法として選択肢が残されているのがKARAKSAの強味ですね。

PAや流量を調整してあげて綺麗に埋めることもできなくもないですが凝ったこともせず天面が綺麗に仕上がるのもKARAKSAの特徴です。

旭化成さん資料より

実際に使う際へのアドバイス

まず印刷終了後は吸湿を待つ!そう、吸湿を待ってください

「早く板から外してサポートも外したい」というはやる気持ちを抑えプレートごとはずして1日くらいおいてあげたほうがベター。私はせっかちなので台所で滝つぼ修行に突っ込みサポート外しに取り掛かりました。形状によっては板ごとなるべく曲げないように丁寧にはずしてがいいかなと思います。0.4mmノズルは形状によってはあまりきにしなくていいかもですが特に0.2mmノズル造形の場合は。

力を入れたというか正確には細かい溝のサポート材を取るためにドライバーで軽くほじくっただけでピシッと線が入りあとは裂けるチーズの如く一周裂けていきました。

吸湿前に力を入れて破壊した場合

対して吸湿後に破壊した場合はこの通り。先ほどの部品とこちらの部品は左右対称です。

同じ印刷条件でもここまで変わってきます。私みたいにせっかちな人は滝修行にまずは出しましょう。

どんな人に向いているか?

今までナイロン系の強化繊維素材の印刷がなかなか難しくてあきらめていた人、CF入りは使えないがかといってGFは表面がざらざらしていて渋っていた…、わざわざノズルを交換するのが面倒で…などいろいろな理由でナイロンに挑戦してこなかった・できなかった人、または当時持っていた3Dプリンターでは印刷できずそもそも選択肢として考えていなかった人。

もちろんPLAやPETGである程度のものは作れてしまいますがやはり用途によっては難しかったり、PA強化繊維系フィラメントも扱いにくいものも多かったり。ブランドががちがちにスライサーで用意している初期設定なのに印刷できないフィラメントも良い例ですね。Bambu LabのPA系はことごとく初期設定で印刷できずPA6-GFなどはベッド80℃に下げてようやく成功しました。

そういった意味でもとりあえず温度さえ合わせて50-100mm/sくらいの領域でとりあえずサクッと攻め込んでいける手軽さはなかなかないなと思います。

摺動性といえばガイド部品やギア部品、ドローンフレームにも今まで考えてなかったような機構を一体造形で組み込んでみたり、サバゲー部品も相性がいいのではないかなと思います。私はといえばやはりもっぱらプリンターの部品をすってばかりではありますがちら載せした操作ステージは完成させて…そのあとはやっぱプリンター、摺動部をKARAKSAまんまで作ってみるとかで遊んでみようかなと思います。

購入先・キャンペーン情報

現在サンステラさんで購入可能です!

サンステラモール: https://psych0h3ad.link/KARAKSA

KARAKSA PA CNFフィラメント情報:

http://www.asahi-kasei.co.jp/karaksa/

旭化成エンプラ総合情報サイト:

https://www.asahi-kasei-plastics.com/topics/tech-09/

公式X: まだフィラメント特化のアカウントはないみたいです!

また旭化成さんにこのフィラメントについて直接聞きたいことがある!という場合は

こちらへお問い合わせくださいとのことです。(ページ右上)

今後の展望としては色の展開や他素材バージョンが気になりますね。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアしてくださると嬉しいです!!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

気が付いたら家にプリンターが20台以上ある誤家庭に。

コメント

コメントする