どうも、YuTR0Nです。
APPLE TREE株式会社さんからAD5Xをかなり前にいただいたのでようやっとレビュー記事に。
進化系統で行くとAdventurer 5M (AD5M)からの派生といったところでしょうか。
AD=AdventurerなのでフルネームはAdventurer 5Xといったところでしょうか。
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メインスペックはほとんど一緒ですが実際使っていくうえで重要なポイントだけ見ていきましょう。本体の値段も大事ですがそれ以外のところは皆さん見落としがちですよね。
AD5M | AD5X | |
ホットエンド最高温度 | 280℃ | 300℃ |
マルチカラー印刷 | 未対応 | 4色(IFS使用) |
デフォルトのノズル | 4,950円 | 2,750円 |
エンクロージャーキット | 7,150円 | 9,020円 |
カメラ | 後付け必須 | 後付け必須 |
消耗品など | 再入荷未定品あり | 在庫あり |
お値段 | 49,500円 | 59,400円 |
競合品も含めてCoreXY機構でマルチカラー印刷できるものを考えてみるとずば抜けて低価格帯です。AD5M/AD5M Proのフレームを流用?している点やサイズが220mm角かつエンクロージャーがない点による寄与が大きいのでしょうか。また、技術的には4色以上は可能ですが公式でのスペックは4色までです。また単色印刷を推奨なもののTPU95Aなどでマルチカラー印刷も可能です。TPUに関しては固くしてマルチカラーユニットを使えるようにしている競合品はあるものの95Aなどを使えるのはAD5Xの強味ですね。
マルチカラーCoreXY 3Dプリンター比較
主要6機種のスペック・価格を徹底比較
220mm角か250mm以上かというのは長いものを印刷したいときに効きます。斜め配置で印刷できるものであれば1:1:√2で220mmでだいたい300mm程度に対し250mm角では340mm程度まで。
またマルチカラー印刷がメインかつ小さいサイズのものを大量に印刷する場合若干不利ではあります。パージする材料の量と実際に必要なプリント品に使われる材料の比率を考えるとより多くの印刷物を同時に印刷する方が材料の無駄が減ります。
※ただしシングルエクストルーダータイプの場合に限る
「AD5X購入お悩み相談コーナー」
小型のCoreXYマルチカラー3Dプリンターが欲しい!AD5Xでいいですか?

場所を取らないプリンターが目的ならおすすめしません。理由は上部はPTFEチューブやケーブルがせり出していて、側面はスプールホルダーの取り付け、またフィラメントを外すスペースを考えると印刷サイズのわりに場所を使います。印刷サイズは220mm未満でコストを抑えたい場合ならおススメです!
AD5Mの方が安いのでAD5Mを買おうと思いますがAD5Xを買おうか少し悩んでいます。



確かにAD5Mの方が1万円程度安いですがAD5Xをおすすめします。理由としては0.4mm以外のノズルを使いたい際5Mシリーズより安く、また交換も5Mシリーズより簡単です。それに加え最大4色の印刷、だけでなく使いかけのフィラメントをいくつかセットして使い切るといった使い方もできます。またホットエンド温度も20℃上がることで使える材料の幅が少し広がります。
ABSメインでの印刷が多いですがエンクロージャーキットを買えばいいですか?



真夏の間は良いかもしれません!ただ一年通して多く使うなら他のプリンターを選択肢に入れた方がよいと思います。
AD5Xには複数バージョン?!
今回の記事投稿のマシンの前にも前のデザインのマシンを使用していました。ぱっと見でわかる違いはスプールホルダー、また現在のマシンが届いた後もホットエンドユニットが形状変更で交換しました。




マルチカラー印刷の良いところ・悪いところ
AD5X購入検討している人はそもそもマルチカラーが初めてというパターンが多い気がしますが、まずは一部スライサーで分割してテスト印刷してみるのも良いかもしれません。マルチカラーで作る見た目VSそれぞれ別部品で作る見た目や、マルチカラーで作ることによって時間増加/パージされる材料も見逃せませんね。




マルチカラーで印刷時間/材料消費を増加させてしまう要因としていくつかあるので軽くまとめて書いておきます。
色の多さ
基本ではありますが色が増えれば色の数だけ色切り替えで時間が増えます
レイヤー高さ・積層厚
積層ごとに色変えで発生するパージの量は変わらないためレイヤーを薄くすると積層数が増えてパージの量が飛躍的に増えます。厳密にはスライサーが優秀なので2層先に印刷して別の色に切り替えてくれたりもしますがそれでも廃棄する材料が増えます。


同じレイヤー内での色の使用数
最近スライサーのアップデートでマルチカラー印刷のパージタワー設定が増えたため単色で印刷できる層はなるべく多い方が時短になります。またデザインで工夫するという方法も。ハロウィンも近いのでPrintablesでみつけたコースターを印刷しましたがこのデザインはマルチカラー機能のないプリンターでも印刷できるようなデザインになっています。


モデルはこちら:https://www.printables.com/model/1434370-ornamental-skull-stackable-coasters




色の明暗
白いフィラメントと色の濃いフィラメントの組み合わせなど。ノズル内に色残りしないようにパージしないといけないため廃棄する材料が増えます。例えば赤を使って次白に行く場合フラッシュ量をケチると出始めは変にピンク色になってしまいます。フラッシュ=パージかなと個人的に思っています。
多色印刷例
こちらはPipeCoxさんのモデル:https://cults3d.com/en/users/PipeCox




こちらはMcGybeerさんのモデル:https://www.printables.com/@McGybeer


翻訳がちょっと怪しいのですが「続く」を押すと再印刷してしまうのでくれぐれも注意してください。英語でもPrint Againとかにしてほしいですね…。


マルチカラー印刷した際は通称Poopと呼ばれるものがたくさん出来ます。コンセント付近などにたまる羽目になると思いますので後ろに箱など用意して定期的に捨てましょう!


その他印刷やマシンについて
JRRF2025でも入口に掲げていたMakerChipホルダーも実は試作をAD5Xで全部行いました。
https://makerworld.com/ja/models/1514840-makerchip-holder-by-p3d#profileId-1603126


サイズは220mm角なもののスライサーの分割機能やLubanを使うことで大物の分割印刷も可能です。LubanはUIが古めかしいですが最近Kickstarterで登場したSplit3rをバックしたのでそのうち記事にします。Lubanはお試し可能なので気になる人はまずは試用ライセンスをGetしてみてください。


純正ビルドプレートのハンドル部は上下非対称で最初のパージラインが干渉する場合があるためスライサー側でGcodeをカスタムする、もしくは単純に裏面を使いたい場合はねじを3箇所はずしてハンドルをひっくり返して固定したらいいかと思います。私は途中からプレートを社外のArkfly ConWebビルドプレートにしてしまいました。というのもAD5Xは基本PLA/PETGのみの印刷で使っているため糊やスプレーなしでズボラに運用したかったためです。


またエンクロージャーがないことにも由来していると思いますがフィラメントチェンジの音が若干やかましく感じます。
他の競合マシンと比較して実際使う際に注意しないといけない点としてはZ軸ホーミングの際一番下まで下がるためフィラメントを放置したり道具を放置しないようにしてください。


底面が真っ平なところは清掃性が高くていいですね。リードスクリュー・リニアブッシュ共にねじが隙間に入ってしまってエラーを引き起こすこともないデザインなのでいいですね。(BambuLab P1/X1の場合リニアブッシュの溝にねじなどが入ってしまう)


プリントヘッドケーブルS字フックには要注意です。我が家のマシンは何らかのタイミングでフックが壊れてしまったので応急処理状態ですが、フックを付け忘れもしくは壊れた状態で使っているとケーブルがツールヘッド側に巻き込まれてしまいます。
組み立てた後やメンテナンス後は確認お忘れなく!


またフィラメントの乾燥をしたかったのでChitu SystemsさんにいただいてるE1をつなげています。
PTFE継ぎ手:https://amzn.to/4mY52ux
ただしこれも注意点があって完璧ではないです。フィラメントの色が切り替わった後若干フィラメントが数cm押し戻されてくるのですが純正のフィラメントホルダーと違って巻き戻す機構がないためボックス内でフィラメントが強引に曲がってしまいます。PLAならいいかもしれないですが艶消し系やシルク系PLAだとちょっとしんどいかもしれません。


カメラはオプション
APPLE TREEさんでは現在取り扱いはなかったのでAliExpressにて購入。取り付けはAD5Mなどの取り付けと同様なのでAD5M向けの取り付け解説を見ればOKです。
https://s.click.aliexpress.com/e/_c4Lpj7gB


スライサー:Flash PrintではなくOrca-Flashforge
AD5XからはOrca-Flashforgeを使用します。
AD5Xベースの画面説明ではないですが基本的なセットアップは代理店公式ガイドを参考にしてみてください。


Flashforgeさんに改善してもらいたい点としてはプリンター側で設定しているフィラメント情報をスライサー側に同期できない点です。プリンターで設定しているものと同じようにスライサー側でもいちいち設定する必要があります。










総評
4色のマルチカラー能力とこの値段は現在購入できるCoreXYタイプのマシンの中ではやはり見逃せませんね。共振補正機能はありますが流量自動補正などはないのでそちらはスライサーに従って実施する必要はありますがマルチカラープリントをするにあたって必要な機能は全部そろっているので驚異的です。
また以前他社機種ですっぽ抜けて困ってしまったPTFEの合流部分も非常に強固で良さそうです。


AD5Xは”MOD”しやすい?!
MOD…改造ですね。AD5M/AD5XはどちらもフレームデザインがSTEPファイルで公開されています。一部のねじ穴など微妙な違いを除けばほぼ同じフレームを使用しているのでAD5M向けのMOD部品も流用が多く可能です。
フィルター向けの部品エリアなども同じですね。(中はないですが)


AD5M/5XともにフレームのSTEPファイルが公式で配布されています。重ねてみると細かな違いが一部あるものの9割以上共通デザインといえますね。


また5M/5M Pro向けにコミュニティ有志が作っているカスタムファームなども5Xで使えたりしますがあくまで自己責任にて。Klipper WebUIにアクセスできるようにすることでベッドが実際本当はどの程度歪んでいるのかといった情報を確認もできます。
5XはKlipperベースですがライセンス準拠せず未だ公開していない状態です。既にリリースして数か月たっているので早く対応してほしいところですね。ここは引き続きAPPLE TREEさんからFlashforgeに問合せしてもらっています。


購入先
APPLE TREEさんのストアもしくはAmazonにて購入可能です。AmazonではAPPLE TREEさん以外に本家も出品しているようですので日本でのスムーズなサポートを期待する場合はAPPLE TREEさんが出品している方から購入するのがお勧めです。


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