【新ブランド】ツールチェンジャー3Dプリンター「AXILOOP MC8」は8ツールヘッド・交換4秒・パージほぼゼロ|Formnext深圳お披露目→Kickstarterへ

AXILOOP MC8 8ツールヘッド3Dプリンター
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どうも、YuTR0Nです。

またひとつ、8ツールヘッドのマシンが出てきました!!

今回紹介するのはAXILOOP(アキシループ)MC8。今月末のFormnext Asia Shenzhen 2026(8/26〜28・深圳)でお披露目され、そのあとKickstarterでクラウドファンディングという流れのマシンです。資料をいただいたので、実機が世に出る前に中身を先出しでチェックしていきますよ!

先に断っておくと、この記事はメーカー提供資料をベースにした先出し紹介で、実機はまだ触っていません。数字はすべてメーカー公称値です。とはいえ「またよく分からん新ブランドか……」で流すにはもったいない出自だったので、まずはそこからどうぞ!

AXILOOP MC8本体と外付けフィラメントラック
AXILOOP MC8。右側の外付けラックと本体側面に、合計8本ぶんのフィラメントがぶら下がる

AXILOOPって、どこの誰?

ここが一番おもしろいところ。AXILOOPは深圳の上場企業「致尚科技(Shenzhen Zesum Technology)」と、その子会社「深圳西可実業(Xikoe)」から生まれたブランドです。

  • 致尚科技:深圳証券取引所・創業板に2023年7月上場(証券コード301486)。ゲーム機・VR/AR機器・プロオーディオ向けの精密電子部品がメインで、従業員は2,400人規模。FoxconnやMetaへの供給実績あり
  • 西可実業(Xikoe):研磨・研磨抛光設備のメーカー。専精特新「小巨人」企業(=中国版・尖った中小企業の国家認定)で、スマホ・ウェアラブル・車載ディスプレイ・半導体まわりのガラスやセラミックを削る装置を作っている会社。致尚科技が2023年12月に株式52%を取得して子会社化しました
  • ちなみに「AXILOOP」の米国商標は西可実業名義。2025年12月出願→2026年7月に登録済みで、区分には3Dプリンターのほかレーザー彫刻機やポリッシャーも入っています。1機種で終わるつもりはなさそうですね
そもそも「A株上場」ってなに?

A株(A-share)は、上海・深圳の証券取引所で人民元建てで取引される、中国本土企業の株式のことです。原則として中国国内の投資家向けで、海外の投資家は適格投資家制度(QFII/RQFII)や香港経由のストックコネクトを通さないと買えません。外貨建てのB株、香港市場に上場するH株と区別するための呼び方ですね。

致尚科技が上場しているのは、その中でも深圳証券取引所の「創業板(ChiNext)」。新興・成長企業向けの市場で、日本でいうグロース市場に近いポジションです。

で、ここが今回のポイント。上場企業には情報開示の義務があるので、決算も、子会社の顔ぶれも、買収の経緯も公開情報として追えるんですよ。「深圳の新ブランドです!」と言われても素性がまったく分からないケースが多い中で、資本の裏側まで確認できるのはかなり珍しい部類です。

メーカー資料によると、グループ全体で国内外3拠点・13万㎡、従業員2,000人超、コア特許300件超。ベトナムにも生産拠点があって、そこがグローバル出荷とアフターサービスを支える体制とのこと。ファームウェア・制御基板・機構部はすべて自社開発、意匠はドイツ帰りのリードデザイナーが担当、という座組です。

要するに「3Dプリンター屋としては新参だけど、ものづくりとしては新参じゃない」枠。最近だとInfiMech(FlyingBear系)みたいな例もありますが、A株上場企業の資本がそのまま入っているのはなかなか珍しいパターンです。精密加工装置を作ってきた会社がコンシューマー3Dプリンターに降りてくる、という流れ自体が今っぽくて興味深い。

AXILOOP MC8のスペック

まずは表でどうぞ!

項目AXILOOP MC8AXILOOP MC8 PRO
造形
造形サイズ300 × 300 × 300mm
ビルドプレートPEIコート・フレキシブル鋼板
ベッド最高温度110℃
対応フィラメントPLA / PETG / TPU / PVA
ツールヘッド
ツールヘッド数8
ツールヘッド交換時間4秒(プリヒート状態から)
ヘッド間オフセット自動キャリブレーションで0.03mm以内
ノズルハードン鋼/最高300℃
最大流量34mm³/s
ノズル径標準0.4mm(0.2 / 0.6 / 0.8対応)
フィラメント径1.75mm
速度・精度
最高印刷速度300mm/s
最高移動速度600mm/s
最大加速度25,000mm/s²
ベッドレベリング渦電流式・2500点を約1分
チャンバー・筐体(2モデルの違いはここ)
チャンバー温度制御 最大65℃
ガラスドア
庫内エアサーキュレーション
本体サイズ466 × 553 × 541mm466 × 595 × 871mm
設置スペース(ラック込み)635 × 635 × 868mm635 × 647 × 871mm
電源100-240V/1200W100-240V/2200W
制御・インターフェース
ディスプレイ4インチタッチ
通信USB / Wi-Fi
内蔵ストレージ16GB(USB増設可)
カメラ1080P/AI造形監視
センサー数45個

2列にまたがっているセルは両モデル共通の仕様です。数値はすべてメーカー公称値。

両モデル共通で、フローキャリブレーション/プレッシャーアドバンス/オートレベリング/振動補償(入力整形)、ワンクリック自動ロード・アンロード、プレート設置検知、異物検知、ツールヘッドのピック&プレース異常検知、フィラメント切れ・詰まり検知、停電復帰、ノズル吐出不足検知、庫内ライト、ノズルプリヒート、ステータスインジケーターまで入っています。このへんは「一通り全部入り」と言っていい構成ですね。

AXILOOP MC8の造形サイズ300×300×300mm

個人的に「おっ」となったポイント

1. 8ツールヘッド+交換4秒

AXILOOP MC8の8つのツールヘッド

本命はやっぱりここ。ツールヘッド8個持ちで、待機中もプリヒートしておいて交換4秒という構成です。

8ヘッド級だとBondtechのINDX(Prusa CORE One向けにも展開)やInfiMech MX Proがすでに走っていて、4ヘッドのSnapmaker U1が火をつけた市場に、いよいよ後続が並んできた形。「AMSでフィラメントを行ったり来たりさせる」時代から「ヘッドごと替える」時代への移行が、2026年で本格化してきましたね。

4秒でのツールヘッド交換イメージ
待機中のヘッドもプリヒートしておく方式で、交換は4秒

機構としては、BondtechのINDXから始まった「エクストルーダー(送り機構)はプリントヘッド本体に持たせて、ホットエンド側だけを別体で複数構える」タイプに見えます。ヘッド8個ぜんぶにモーターを積むより軽く安く仕上げられる方式ですね(INDXはツール側を誘導加熱の完全パッシブ=配線もヒーターも無しにまで振り切っていますが、MC8のツール側がどこまでやっているかは資料からは読み取れません)。

しかもホットエンド部分は、Bambuライクな最近流行りの形状っぽい。ここで期待したいのは「安い汎用品が挿さる」という話ではなくて、この形状まわりで積み上がってきた既存のノウハウがそのまま活かせそうだということ。つまり、サードパーティから高流量タイプや耐摩耗系のホットエンドが出てくる余地があるわけです。CF/GF入りを刷るヘッドだけ耐摩耗に替える、みたいな組み方ができるようになったら、8ヘッド機の遊び方は一気に広がります。

2. パージほぼゼロ

AXILOOP MC8のマルチカラー造形サンプル

ツールチェンジャーの最大の存在価値がこれ。色替えのたびにウンチ(パージタワー)を積まなくていい。表紙のコピーが「10倍の効率、廃棄は10分の1」なのも、要はここを言っています。多色プリントでフィラメントの半分をゴミにする体験をした人ほど刺さるはず。

3. ヘッド間オフセットの自動キャリブレーション

ツールヘッド間のXYZオフセットを自動校正するスマートキャリブレーション
ベッド手前のパッドらしき部分でヘッドごとの基準を取っている様子。ここは実機で確認したい

マルチヘッド機の生命線。複数ツールヘッド間のXYZオフセットを自動で揃えて、誤差0.03mm以内に収めるとのこと。ここが甘いと層ごとに輪郭がズレて全部台無しになるので、機構精度で殴るのか、測って補正するのか、実機で一番見たいところです。精密加工装置メーカーの子会社という出自的には、ちょっと期待したい。

4. 渦電流式ベッドレベリング・2500点を1分

渦電流式ベッドレベリングのイメージ

エディカレント(渦電流)センサーで2500点を1分でスキャン。地味ですが、ここはかなり熱いポイントです。

最近のマシンって、どれだけ高機能になってもレベリング自体はノズルを実際にベッドへちょんちょん当てて測る接触式がオーソドックスなんですよね。精度は出るんですが、点数を増やすほど時間がかかるのが弱点。対してエディカレントはヘッドを走らせながら非接触で読めるので、CartographerやBeaconを載せた自作機みたいに「気づいたらスキャンが終わってる」速度になります。2500点で1分というのは、まさにこの方式ならではの数字。印刷開始までの待ち時間が縮むのは、毎日回す人ほど効いてきます。

8ヘッド機とはいえ、ヘッドごとに毎回メッシュを取り直すわけではありません。ツールごとのオフセットは事前にまとめてキャリブレーションしておいて、あとは印刷開始前に1回スキャンが走るだけ、というのが基本の流れ。だからこそ、その1回がどれだけ速く終わるかがそのまま体験に効いてきます。

そして気になるのが温度補正。エディカレント方式はコイルのインダクタンスが温度で動くので、ベッドやセンサー自体が熱を持つと読み値がドリフトします。Klipperのprobe_eddy_currentでも温度センサーを組み合わせてドリフト補正をかけるのが前提になっているくらいで、ここをサボると「レベリングは完璧なはずなのに初層が合わない」が起きる。ベッドを110℃まで上げられるマシンなので、MC8がどこまで面倒を見ているのかは資料に書かれていません。これも聞きたいことリスト行きです。

ちなみに渦電流センサーを「流量・圧力側」に使っているのがBambu Labで、A1シリーズやH2D、P2S(別売のEddy Sensor)はツールヘッドのノズル圧を渦電流で読んでフロー/プレッシャーアドバンスを詰めています。でもレベリングのほうは接触式。同じ原理のセンサーでも使いどころが真逆なのが面白いところで、MC8みたいに「レベリング側に振った」構成がどんな体験になるのかは注目したいです。

5. 自動フィラメントロード&同色つなぎ

自動フィラメントロード・アンロード機構の内部構造

ワンクリックで自動ロード/アンロード。さらに同じ色を複数ヘッドに入れておけば、途中で切れても止まらず継ぎ足して印刷を続行します。寝ている間や外出中の長時間ジョブでこれは効きますね。8ヘッドを「8色」ではなく「同色を連結して長距離を走らせる」使い方ができるのは地味に賢い。

自動ロードはSnapmaker U1でも本当に助かっているところで、あるとないとでは日々のストレスが全然違います。

あとこれは予測ですが、U1と同じようにフィーダーが経路を送ってくれるなら、TPUのような柔らかいフィラメントの搬送補助にもなるはず。だとしたらかなり嬉しいポイントです。

庫内に並ぶ8つのツールヘッドのドック
奥に8つのヘッドが整列。使うヘッドだけを取りに行く方式

6. 45個のセンサーとAIカメラ

1080PカメラによるAI造形監視

1080PカメラでのAI造形監視に加えて、センサー45個でツール交換・給材・進捗・温度変動・安全まわりを常時見張る構成。ただ最近のプリンターはとかくセンサーの数を数えがちなので、45という総数より「特徴のあるセンサーが何個入っているか」のほうが気になるところではあります。

機体全体に配置された45個のセンサー

7. 印刷速度と機械上限を分けて出しているのは好印象

表紙には大きく600MM/Sと出ていますが、スペック表を見ると印刷速度300mm/s、移動速度600mm/s、最大加速度25,000mm/s²ときっちり分けて書いてあります。実際に刷れる速度と、機械上限としての速度の両方を出してくれるのは誠実で、個人的にはかなり好印象。カタログの大きい数字だけ見せて実際は……というパターンが多い中で、ここは評価したいところです。

AXILOOP MC8のX軸ガイドレールとガントリー

MC8とMC8 PROの違い

ざっくりPRO=チャンバー付きです。

  • チャンバー温度制御(最大65℃)
  • ガラスドア
  • 庫内エアサーキュレーション
  • 消費電力1200W→2200W、背も高くなる(871mm)
AXILOOP MC8の外観(斜め)

気になっているところ(先方に聞きたいことリスト)

ここからは、資料を読んでいて引っかかった点と、実機で確かめたい点も正直に置いておきます。

  1. 対応フィラメントがPLA / PETG / TPU / PVA表記。ノズル300℃・ハードン鋼・ベッド110℃、PROは65℃チャンバーまで積んでいるのに、ABS/ASA/PA/CF系の記載がありません。無印はチャンバー制御なしなので納得ですが、PROで何が刷れるのかは最重要確認事項
  2. 「10倍の効率、廃棄は10分の1」の比較対象。何と比べての10倍なのかが書かれていません。単一ヘッド+色替え方式との比較だとは思うんですが、何色で何を刷ったときの数字なのかは知りたいところ
  3. スライサーとファームは何ベース? Orca系フォークなのか完全独自なのか、Klipperベースなのか。ツールチェンジャーはスライサー側の作り込みが命なので、ここで評価の9割が決まります
  4. ツールヘッド単体の入手性と価格。8個ぶら下がっている以上、消耗品としていくらなのかは死活問題
  5. ドッキング方式(キネマティックカップリングか否か)と、繰り返し精度の担保
  6. 同一プリント内でのノズル径混在は可能か(U1と同じくジョブ単位のみ?)
  7. 設置スペース635×635mm。フィラメントラック込みとはいえ、日本の住環境ではかなりの存在感。ラックを別置きにできるかどうか
  8. 日本発送・技適(Wi-Fi)・PSE。Kickstarterで日本から支援できるのか、サポート窓口はどうなるのか
  9. 価格帯。8ヘッド機がいくらで出てくるのかが、この市場の次の基準になります
AXILOOP MC8のスマホアプリ画面
アプリからは開始・一時停止・停止のほか、温度調整やヘッド移動、ライトの操作まで

実機はいつ見られる?

Formnext Asia Shenzhen 2026|2026年8月26日〜28日|深圳国際会展中心(宝安新館)|ブースは Hall 15 / D193

ここでお披露目、そのあとKickstarterでクラファン、という流れです。

Kickstarterのリンクについて

KSのページが公開され次第、この記事にリンクを追記します。価格や出荷時期も分かったタイミングでアップデートしていくので、気になる方はブックマークしておいてください!

公式サイトはまだ立っておらず、いまのところ情報の出どころはSNS中心。公式Facebookグループがすでにできているので、続報を追いたい人はここをチェックしておくのがよさそうです。

あと、AXILOOPの公式YouTubeチャンネルもすでに開設されています。→ AXILOOP(@axiloop3d)

動きが出るとしたら、まずここか公式SNSのはず。KS開始前のティザーもここから流れてくると思うので、気になる方は先にチャンネル登録しておくと早いです。

そして……ちょうどこの時期、わたし深圳にいます。ブースに立ち寄れたら実機の写真と、上に書いた「聞きたいことリスト」の答えを持って帰ってきます。

この記事も、展示会初日に更新できたら更新します!ただ現地のインターネット環境次第ではすぐに反映できないかもしれないので、その場合はまず X(@YuTR0N) のほうに速報をポストする予定です。そちらもチェックしてみてください!

AXILOOP MC8の正面とフィラメントラック

まとめ

  • AXILOOPは深圳の上場企業・致尚科技(301486)とその子会社・西可実業発の新ブランド
  • 第1弾のMC88ツールヘッド/交換4秒/パージほぼゼロ/300×300×300mm
  • MC8 PROはチャンバー温度制御(最大65℃)+ガラスドア+エアサーキュレーション
  • 8/26〜28のFormnext Asia Shenzhenでお披露目→Kickstarter
  • 印刷速度300mm/s・移動速度600mm/sと、実用値と機械上限を分けて明記しているのは好印象

8ヘッド機がここまで一気に増えてくるとは思っていませんでした。あとはスライサーの完成度と価格次第。実機を見てきたら、またこのブログで書きます!!


※本記事はメーカー提供資料をもとに構成しています。掲載スペックはすべてメーカー公称値で、実機検証は行っていません。


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AXILOOP MC8 8ツールヘッド3Dプリンター

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