※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。

どうも、YuTR0Nです。

QIDIから、Plus4の後継機となる「QIDI Plus5」が発表されました。

造形サイズは320×320×300mmへ拡大、ノズルは最高370℃、第3世代アクティブチャンバー加熱に新開発のアクティブツールヘッド冷却を組み合わせ、発売時の国内価格はコンボでも15万円切り。「大幅に進化しながらも競争力のある価格を維持」というのが発売時のQIDIの打ち出しでした。

今回もQIDIさんにマシンを提供していただきました。実機は旅行手前に届いたのでまだ稼働100時間未満ですがビシバシしばいて更新予定です。今のところは本体のみですが今後BOXもくるかもしれません。手元にあるポーラークーラーも組み合わせてまた追記予定です。

QIDI Plus5とは——Plus4の正統後継

Plus5は密閉型CoreXY機で、位置づけはPlus4の直系後継。造形サイズはPlus4の305×305×280mmから320×320×300mmへ一回り大きくなりました。本体サイズは500×488×558mm・29kg。発売時の価格は$749、国内の通常価格は120,999円でした。

主なアップグレードは4つ

  1. 造形サイズを320×320×300mmへ大型化
  2. モーションシステムの刷新で造形品質を向上
  3. アクティブツールヘッド冷却+チャンバー加熱の強化
  4. QIDIソフトウェアエコシステムの全面アップグレード

①造形サイズが320×320×300mmに

305→320mmは数字だけ見ると控えめですが、実用上は効きます。「あと数ミリ足りずに分割していた」パーツが1プリントで収まるケースが増えるからです。公式資料でもPlus4のプレートからはみ出すハンガーがPlus5では収まるデモが使われており、大型パーツを日常的に出す人ほど恩恵が大きい変更です。

Plus4とPlus5のビルドプレート比較(ハンガーの収まり)

②モーションシステム刷新で造形品質アップ

1.5GTカスタムベルト+X軸リニアレール

歯ピッチの細かい1.5GTカスタムベルトを採用し、高密度設計でよりスムーズな動作を実現、VFA(縦縞アーティファクト)を低減。X軸はアップグレードされたリニアレールで、滑らかな動作と耐久性を両立しています。スペック上はベルトの自動テンショニングにも対応。

X軸リニアレールと1.5GTカスタムベルト

軽量ツールヘッド

ツールヘッドの軽量化により可動部の慣性を抑え、VFAを抑えた安定造形と均一な表面品質を狙っています。最大速度600mm/s・最大加速度20000mm/s²というCoreXYらしい俊足スペックはそのままです。

ホットエンドのケーブルはヘッド裏側スタイルのままではありますが基本ノズルのみ交換なのでホットエンドユニットごと変える頻度は低いので気になるほどではないかなと思います。

既にヘッド側で部品交換なしでポーラークーラーの用意があるようです。

ノズル自体がセンサー——ゼロオフセットのオートレベリング

最近はこのタイプがやはり主流ですね。ホットエンドにロードセルを統合し、ノズル自体が造形プレートに直接触れて検知する方式になりました。プローブオフセットが不要になるため、プレート材質や周囲の振動の影響を受けにくく、ゼロオフセットで高精度なファーストレイヤーを実現するとしています。

高精度なファーストレイヤーのサンプル

③温度性能——「加熱」も「冷却」もアクティブに

アクティブチャンバー加熱とアクティブツールヘッド冷却(Polar Cooler)

最高370℃・流量40mm³/sの次世代ホットエンド

ホットエンドはセラミックプレート加熱のマルチメタル構成で最高370℃、最大流量40mm³/s。ノズルはバイメタルで標準0.4mm(0.2/0.6/0.8mmオプション)。PA・PCはもちろん、PPS-CFのような高温エンジニアリング材まで視野に入る温度域です。

第3世代アクティブチャンバー加熱(最大65℃)

アクティブエア循環でチャンバー内を最大65℃まで加熱。反りを抑え、ABS・ASA・PC・CF系などを安定して造形するための装備です。

チャンバー加熱OFF/ONでの反り比較

アクティブツールヘッド冷却システム

今回の目玉のひとつ。外付けユニットからエアを送り、エクストルーダーの「エアコン」としてツールヘッドを積極冷却します。チャンバーを65℃まで上げるとヒートクリープによるノズル詰まりが課題になりますが、これを強力なエアフローで抑え、長時間プリントでも安定した性能を維持する狙いです。「チャンバーは熱く、ヘッドは冷やす」を両立させるアプローチですね。MAX4でも触れたポーラークーラーユニットです。

全面加熱のシリコンヒートベッド(最大120℃)

320×320mmのベッドは全面シリコンヒーター+高密度ヒーター線+断熱材の構成で、端まで均一に加熱。両面テクスチャPEIプレート標準で、大型プリントの反り対策と定着性を狙っています。

Plus5ヒートベッドの均一な発熱(サーモ比較)

④ソフトウェアエコシステムの全面刷新

新モデルプラットフォーム「QIDI Maker」(Web+アプリ)が登場。厳選・最適化済みモデルのライブラリから、スマホでプリセットを選んでワンタップでプリントまで持っていけるワークフローを打ち出しています。スライサーはQIDI Studioに加えOrcaやPrusaSlicerなどサードパーティにも対応。KlipperベースでファームウェアはオープンソースのままFluidd操作画面も完全開放という、QIDIらしい姿勢は継続です。QIDI Studioは複数台の一括管理にも対応します。

QIDI Makerアプリでリモート監視・操作

スマホのQIDI Makerアプリからは、ライブカメラを見ながら温度・進捗の確認と一時停止/停止、フィラメント情報の確認(スプール情報の編集も可)、XYZジョグ、Part/Aux/Exhaustファン・LED・チャンバー加熱のリモート操作までひと通りできます。AI検知の設定(スパゲッティ検知は感度3段階+異物検知)や、QIDI BOXの自動リフィルなどの設定もアプリ側から。実際の画面はこんな感じです👇

QIDI Makerアプリ:ステータス画面(温度・印刷進捗・一時停止/停止) QIDI Makerアプリ:フィラメント画面(外部スプールのASA-CFを認識) QIDI Makerアプリ:XYZジョグ操作画面 QIDI Makerアプリ:ファン・LED・チャンバー加熱のリモート操作 QIDI Makerアプリ:AI検知設定(スパゲッティ検知の感度・異物検知) QIDI Makerアプリ:QIDI BOX設定(自動リフィルなど) QIDI Makerアプリ:プリンター情報画面

← スワイプで全7枚どうぞ →

なお、リモートからのObject Skip(オブジェクト単位の印刷スキップ)は今後のアップデートで追加予定とのことです。

スマート機能・安全面

3層エアフィルター搭載のQIDI Plus5(リビング設置イメージ)
  • AIカメラによる異常検知——スパゲッティ化などの造形不良を検出
  • 3層エアフィルター(G3プレフィルター+H12 HEPA+活性炭)で粉じん・微粒子を99.5%捕集
  • 複数センサーによる閉ループ温度制御+難燃性チャンバー構造
  • ヒートベッドのステータスLED——スリープ/準備/造形中の状態をフルカラーでひと目で確認
  • フィラメント切れ検知・停電復帰・共振補正など各種センサー類(絡まり検知・詰まり検知・切れ復帰はQIDI BOX併用時)
ヒートベッドのステータスLEDライト
AIカメラによる異物・造形不良の検知イメージ

マルチカラーはQIDI BOXで最大16色

QIDI BOXとの組み合わせで最大16色+サポート材に対応。65℃のチャンバー加熱と併用でき、自動リフィル機能も備えます。QIDI BOXセットの「Plus5 Combo」も同時展開されます(国内価格は後述の価格表を参照)

QIDI BOXへのフィラメントスプールのセット

実際に印刷してみた——エンプラ系はお手の物

※今回はQIDI BOXなし・本体のみでの印刷です。BOX関連の検証は入手でき次第追記します。

QIDI ABS-GF25

他のマシンでも愛用しているABS-GF25。安定抜群です。
以下赤と黒で印刷してるのはコチラのモデル。
https://makerworld.com/en/models/1939743-v2-1-ams-lift-rack-for-x1-p1-p2-x2-h2-ams-1-2-ht?from=search#profileId-2173060

背の高いものも安定して綺麗に仕上がるのが最高なところ。

最近かったばかりのInsta360 Luna Ultra向けのかっこいいスタンド。今までずっとPocket 2/3だったので切り替えてみましたが発熱問題がFlow同様に微妙で…とりあえずこの方のスタンドはかっこいいのでプリント。

https://makerworld.com/ja/models/3100238-insta360-luna-ultra-bionic-stand#profileId-3494440

印刷したあとサポート外すときや底面はがしたときに白化することもあると思います。
そんなときのために百均でターボライターを買っておいてさっと炙るのがおすすめです。炙りすぎて溶かしたり燃やしたりしないようにご注意。やけどにも。

今回はQIDI BOXなしだったのでEIBOSのPolyphemus 2世代目で乾燥しながらの運用でした。

QIDI TPU-GF

TPUってやわらかいのにGFがはいって相反するんじゃないの?!と思ってしまいそうな組み合わせの素材。TPUほどもちろんやわらかくないですが強度が必要だけど耐衝撃性も欲しいなみたいな不思議な素材です。扱いも個人的にTPUよりらくちんで過去使ったフィラメントだとPBTあたりがにてそうイメージ(それよりも印刷しやすいです)
https://www.printables.com/model/353704-bag-handle-more-ergonomic

サポートはPLAとかでできると素敵だとは思うのでBOXが来たら組み合わせてみようと思います。

QIDI ASA-CF20 Core

CF系のフィラメントはよく外にカーボン繊維が出てきて指にささる!みたいな話題もありますがCore系は繊維が中に内包されているので基本的にささくれみたく繊維が刺さるということがあまりないです。CF系に悩んでた人は是非ためしてみてはいかがでしょうか。
またABSより耐候性のあるASAという意味でも挑戦してみる価値あり!


主にマルチカラー向けのテストモデルですが単色テストにもいい感じなのでこちらを。

https://www.printables.com/model/937776-the-benchbin-multi-color-3d-printing-torture-test

今回使ったQIDI純正フィラメントはこちら。ASA-CF20 CoreとTPU-GFはQIDIさんから提供いただいたもの、ABS-GF25は普段から自腹でリピートしている愛用品です。

QIDI ABS-GF25
QIDI
QIDI ABS-GF25
5,699円
QIDI TPU-GF
QIDI
QIDI TPU-GF
5,999円
QIDI ASA-CF20 Core
QIDI
QIDI ASA-CF20 Core
7,299円

フィルターもバッチリ

PLAやPETG程度の印刷だとそこまで気になりませんがエンプラだと顕著に鼻につく匂いが気になりがち。もちろん部屋の換気も必須ですがプリンター側でも3層構造でフィルタリングしてくれます。

主要スペック

造形サイズ320×320×300mm
本体サイズ/重量500×488×558mm/29kg
構造CoreXY(オールメタルフレーム・密閉型)
最大速度/加速度600mm/s/20,000mm/s²
ホットエンド最高370℃・セラミック加熱・バイメタルノズル0.4mm(0.2/0.6/0.8mm対応)
ヒートベッド最大120℃・全面シリコンヒーター・両面PEIプレート
チャンバー加熱アクティブ加熱 最大65℃
対応フィラメントPLA/ABS/ASA/PETG/TPU/PA/PC/CF・GF強化系など
レベリングホットエンド統合ロードセル(ゼロオフセット)
スライサーQIDI Studio/Orca/PrusaSlicerなど(STL・OBJ・3MF・STEP対応)
カメラ1080p・タイムラプス対応
接続Wi-Fi 2.4GHz/5GHz・Ethernet・USB
ディスプレイ4インチ 480×320 タッチスクリーン
電源100-240VAC/定格150W+550W(チャンバー加熱)+500W(ベッド)
発売時の価格$749/国内 通常120,999円(2026年8月発売時点。最新価格は公式ストアで確認)

発売日と発売時の国内価格——2026年8月の発売キャンペーンは終了

日本時間2026年8月5日(水)22:00に発売されました(海外は同日9:00 EDT/15:00 CEST)。以下は発売時の国内価格と、2026年8月31日までの発売キャンペーンの記録です。この発売キャンペーンの案内は終了しました。当時は既存QIDIユーザーが通常価格から13,000円OFF、新規ユーザーが8,000円OFF+フィラメント1kgの特典対象でした。現在の価格・特典は公式ストアでご確認ください。

→ 表は横にスクロールできます

発売時の通常価格終了済み:新規ユーザー特典終了済み:既存ユーザー特典
QIDI Plus5120,999円112,999円+フィラメント1kg107,999円
QIDI Plus5 Combo144,999円136,999円+フィラメント1kg131,999円

ComboはQ2 Combo同様、多色プリント用のQIDI BOXをセットにした構成です。

QIDI Plus5 Combo
QIDI
QIDI Plus5/Plus5 Combo
最新価格は公式ストアで確認

実機レビュー——まずはファーストインプレ【随時追記】

実機が手元に届いたので、順次検証して追記していきます。まずは電源投入後、真っ先に確認したシステム構成から。

Fluiddから見るシステム構成

ブラウザで本体のIPアドレスを開くだけで、公称どおりFluidd(v1.30.5)にそのままアクセスできました。ログインの壁もなく、システム情報が丸見えです。ここはもちろんQIDIの最近のマシン同様。

QIDI Plus5のFluiddシステム情報(aarch64・Debian 11・デュアルMCU)
  • SoC:64bit aarch64クアッドコア+メモリ約512MB(表示486.9MB)、OSはDebian 11(bullseye)
  • ストレージ:使用6.6GB/空き20.7GB——スペック表の32GB eMMCと符合
  • デュアルMCU構成:メイン基板がSTM32F407(168MHz)、ツールヘッド側がSTM32F103(72MHz)
  • 執筆時点のファームウェア:MCU 02.01.01.12/MCU THR 02.02.01.08

「Klipperベースでファームも操作画面も開放」という売り文句が、箱から出してすぐ確認できる形になっているのは好印象。ホスト名も素直に「qidi-plus5」で、Klipper機として普通に触れる作りです。マクロやカスタマイズを弄りたい派には嬉しいポイントですね。最近はKlipper機なのに何も遵守しないメーカーもあるなか信頼できます。

面白いのは、手元のMAX4・Q2 Comboと見比べたとき。3台ともaarch64クアッドコア+約512MBメモリ+Debian 11、メインMCUはSTM32F407(168MHz)、ツールヘッドMCUはSTM32F103(72MHz)と、電装系は現行ラインナップ横断でほぼ同一プラットフォームであることが分かります。メインMCUのファームはQ2 Combo「02.01.01.09」→MAX4「02.01.01.11」→Plus5「02.01.01.12」と同一系列のリビジョン違いで、ツールヘッド側は3台とも「02.02.01.08」で完全一致。つまりPlus5の進化はモーション・ホットエンド・熱設計といった機械側に全振りで、頭脳は世代を跨いで共通化された実績ある構成のまま、という設計判断が見て取れます。

→ 表は横にスクロールできます

機種メインMCU(fw)ツールヘッドMCU(fw)
QIDI Plus5STM32F407/02.01.01.12STM32F103/02.02.01.08
QIDI MAX4STM32F407/02.01.01.11STM32F103/02.02.01.08
QIDI Q2 ComboSTM32F407/02.01.01.09STM32F103/02.02.01.08
QIDI MAX4のFluidd画面(QIDI BOX接続でMCU_BOX1が見える)
QIDI Q2 ComboのFluidd画面(ホスト名はlinaro-alipのまま)

細かいところでは、QIDI BOX用MCU(STM32F401/84MHz)のファーム表記がMAX4では「02.03.01.21」、Q2 Comboでは「KLP_MCU_MKS_V2_1.1.3」と系統が異なるのも興味深いポイント。後者の文字列にはMKS(Makerbase)の名前が見えており、BOXまわりの基板・ファームの出自をうかがわせます。またQ2 Comboのホスト名がRockchip系ベースイメージの初期値「linaro-alip」のままなのに対し、MAX4・Plus5では「qidi-max4」「qidi-plus5」ときちんと命名されるようになっており、こうした細部の仕上げも世代ごとに進んでいるようです。

Q2 ComboのBOX用MCUファーム表記「KLP_MCU_MKS_V2」

以下は今後の検証・追記予定です。

  • ファーストレイヤーと造形品質(VFA・表面品質)【追記予定】
  • チャンバー加熱+アクティブ冷却の実力——ABS・PC・PPS-CF【追記予定】
  • QIDI BOX運用・多色プリント【追記予定】

購入前に押さえておきたい点

  • 本記事の2026年8月発売キャンペーンの案内は終了しました。最新価格・特典は公式ストアでご確認ください。
  • 本体500×488×558mm・29kg——設置スペースと搬入経路は事前チェックを

一応29歳運動しない成人男性一人でも運べますが腰に注意。あとは経路の床はもちろん確認!

QIDI Plus5で造形したエンジニアリングパーツ

まとめ

今PLUS4をガンガン使っているなら増設用途もしくは予算があるなら今のうちのアップグレードしておくのはいいかもしれません。PLUS4以前のマシンの場合は感動するレベルだと思うので買い替えに余裕があればお勧めします!

QIDI BOXはマルチカラー用途というより同じエンプラフィラメントを複数セット→乾燥からのとぎれない印刷フローを確保するための存在だと思ってます。もちろんマルチカラーもできますが。エンプラ多い人はQIDIのマシン劇推しします。

手元の他QIDI機のレビューもあわせてどうぞ!
QIDI Q2 Combo実機レビュー[稼働1,000時間超え]
QIDI MAX4実機レビュー(近日公開予定!)

発売キャンペーンの案内は終了しました。最新価格・特典や購入については、以下の公式ストアでご確認ください。

QIDI Plus5 Combo
QIDI
QIDI Plus5/Plus5 Combo
最新価格は公式ストアで確認

どうも、YuTR0Nです。

(今回は相棒のGrokとCodexとClaudeとエビちゃん亜種にご協力いただきました。経験をひたすら投げまくって調理してもらっただけです🦐)

※本記事内のリンクを経由して商品やサービスを購入していただくと売上の一部が当ブログに還元されます!

今から家庭用3Dプリンターを始めるなら、正直Bambu Labはかなり有力だと思います。

自分はBambu Labの中だとA1 mini Combo(複数台)、A1 Combo、P1S Combo(複数台)、X1 Carbon Combo、H2S Combo、H2C Combo、P2S Combo、X2D Comboあたりを触ってきましたが、その上で思うのは「Bambu Labは完全な家電ではないけど、今まで触ってきた3Dプリンターの中では一番家電に近い」ということ。これ、結構すごいことなんですよね。

3Dプリンターって本来はもっと面倒な道具でした。ベッドレベリングして、Zオフセットを見て、フィラメントが詰まって、スライサー設定で悩んで、気づいたら半日溶けてる…。A4ペーパーかレシートか、はたまた雑誌を破ってスコスコする修行。溶けたPTFEチューブの甘い香り。そういう趣味でした。

もちろん今でもそういう要素は残っていますが、Bambu Labはその面倒な部分をかなり強引に押し下げてきました。箱から出す→キャリブレーション→MakerWorldでモデルを選ぶ→印刷。この流れがかなり自然にできます。

ただし何も考えなくていい魔法の箱ではないです。普通に失敗しますしメンテも必要。フィラメントは湿気るし、サポート面は荒れるし、クラウドやセキュリティも人によっては考えた方がいい。

というわけで今回は、初心者がBambu Labを買うなら何が現実的かをかなり正直に書いていきます。スペック表が見たい人は公式の比較ページをどうぞ。

こんな人向けの記事です。

  • A1 miniを買うか迷っている人
  • AMS liteを付けるか迷っている人
  • P1SやX1Cの中古を見ている人
  • フィラメントで迷っている人
  • 仕事や機密データでBambuを使っていいのか気になっている人

価格やセット内容は時期によって変わります。この記事では、セール価格だけでなく、自分の用途・置き場所・続けやすさで選ぶための話をまとめています。購入リンクとキャンペーン案内は記事の最後に置いてあるので、買うものを絞ってからチェックしてみてください。

目次

先に結論:小物中心ならA1 mini単体がかなり現実的

小物中心で家庭で始めるなら、A1 mini単体がかなり現実的です。Comboではなく、まずは単体。安いからだけではなく、

  • 小さい
  • 始めやすい
  • 多色が欲しくなったらAMS liteを後から足せる
  • 純正フィラメントと組み合わせると失敗要因を減らしやすい
  • ホットエンド交換も簡単
  • 初心者が「まず楽しむ」ところまで行きやすい

と、この「始めやすさ」が強いです。

一方で予算と置き場所があって256mm級の箱型が欲しいなら、P2SやX2Dみたいな上位機を最初から買うのもかなり丸いと思います。P1Sは印刷品質だけなら今でもかなり良いんですが、操作系やメンテまわりに古さとストレスがあります。X1Cは中古で良い個体が安く買えるなら悪くないものの、リリースから時間が経っているので稼働時間と改造歴は要チェックです。

こんな人現実的な選択肢
小物中心・家庭で始めたいA1 mini 単体
最初から多色もやりたいA1 mini+AMS liteコンボ(後から買い足すより割安・2 Proコンボより初心者向き)
予算と置き場所がある・256mm級の箱型が欲しいP2S / X2D
中古で安く狙いたいX1C(本体10万円以下目安・改造歴チェック)
柔らかいTPUの多色を本気でやりたいAMS系ではなくツールチェンジャー系を検討

一番言いたいのは最安だけで選ばない方がいいということ。3Dプリンターで一番もったいないのは、安く買ったけど失敗が続いて使わなくなるパターンです。最初の1台は「続けられるか」で選びましょう。

機種選びのリアル

最初の1台ならA1 mini単体

初心者に一番すすめやすいのはやっぱりA1 mini単体です。小さいし、音も比較的おとなしいし、ホットエンド交換もしやすい。まずは単体でプリンターそのものに慣れて、多色造形やフィラメント交換の手間軽減が欲しくなったらAMS liteを足す。この段階の踏み方が一番つまずきにくいと思います。

初心者最強の戦略は「変数を減らす」こと

最初のうちは失敗しても原因が分かりません。フィラメントが悪いのか、湿気っているのか、ノズルなのか、モデルなのか、設定なのか、プレートが汚いのか、部屋が寒いのか、単に運が悪いのか…本当に分からない。

だから最初はできるだけ変数を減らすのがおすすめです。変数というのは印刷結果に影響する条件のこと。卵をゆでるときのお湯の温度、お湯の量、卵の数。これで変数3つですね。

A1 miniに純正フィラメントを入れて、Bambu StudioやMakerWorldの標準に近い状態で印刷して、まず正常な状態を知る。これが大事です。いきなり謎メーカーの安フィラメントを使って、温度をいじって、速度をいじって、サポート設定もいじって、定着剤なし乾燥なし…の状態で失敗すると、何が悪いのか分からなくなります。まず基準を作ってから遊びましょう。

造形サイズと設置スペースの落とし穴

A1 miniの造形サイズは大きくないので、ヘルメットや大型収納、コスプレ小道具、大きい治具を作りたいなら普通に足りません。ただ、キーホルダー、治具、小物、フィギュア、スマホスタンド、修理パーツ、MakerWorldで見つけた小型モデルあたりならA1 miniで足りる場面はかなり多いです。

3Dプリンターは「大は小を兼ねる」とも限りません。大きいベッドは便利ですが置き場所を取りますし、毎回温める面積も増えます。ベッドスリンガーならベッドが前後に動く分のスペースも必要。本体サイズだけ見て置けると思っても、実際はベッドの可動範囲、背面ケーブル、AMSの置き場所、フィラメント交換のしやすさまで見る必要があります。このあたりの実際の設置感はA1 Comboのレビュー記事にも書きました。

机の上に置く最初の1台としては、A1 miniはかなりバランスがいいです。

予算があるなら256mm級の箱型もかなり丸い

予算も置き場所もあって、特にA1 miniの小ささにこだわりがないなら、256mm級の箱型を最初から買うのも普通にありです。今ならP2SやX2Dあたりがかなり丸い選択肢かなと。

A1 miniは入口として良いんですが、たくさん回すと画面の反応、メンテ性、エンクロージャー、AMS周り、材料対応、印刷中の安心感…と小さいストレスが積もってきます。こういうところで上位機の価値が出ます。

P1Sも印刷品質だけ見ればかなり良くて、出てくるものは普通にきれいです。ただタッチパネルがなく、操作系に古さを感じますし、フリーズしやすい印象もあります。3Dプリンターは何度も触って何度もメニューを操作する道具なので、「毎日使う道具としての気持ちよさ」まで見ると、X1C、P2S、X2Dみたいな上位機を選ぶ理由はあります。

Bambuは完全な家電ではない ― メンテのリアル

Bambu Labはかなり家電に近い。でも完全な家電ではないです。ここを勘違いすると危ない。

A1系:タッチパネルのラグとホットエンド台座のへたり

A1 miniやA1への不満でいうと、まずタッチパネルがラグい。ここは明らかにコストカットされてる感じで、使えないほどではないけどサクサクではないです。

あとA1系はホットエンド交換がかなり簡単で、これは本当に良い点。ただA1系はヒーターがヘッド側についていて、ホットエンドをワンタッチで固定する構造になっています。普段の交換は楽なんですが、長く使っていると台座側が緩む・へたる・固定金具が弱る、みたいなことがあります。

これが出ると、フローキャリブレーションやベッドレベリングをしていてもなんとなく品質が落ちることがあります。「なんか最近きれいに出ない」「前より表面が荒れる」「設定は変えてないのに微妙」…こういうとき初心者はだいたいスライサー設定やフィラメントを疑うんですが、実はホットエンド固定側のネジや金具が原因のことも。ネジを締めれば戻ることもありますし、金具がへたってきたら交換した方がいいです。

ちなみにP1SやX1Cはホットエンド交換にネジを外す手間がありますが、逆に緩む問題は3000時間以上使っても特に出ませんでした。まぁA1系のワンタッチ仕様に慣れるとある意味抜け出せなくて面倒なんですが…。

X1C:中古はケーブルと改造歴に注意

X1Cはフロントカバーのケーブルにも注意。ホットエンド交換回数が多いと断線することがありますし、エンプラを多く使っている個体だと温度の影響でへたりやすい印象もあります。

X1Cは日本では終売ですが、中古で良いコンディションのものを安く買えるなら悪くないと思います。リリースから時間が経っている機種なので稼働時間は要チェック。個人的には本体10万円以下くらいなら「まあありかな」という感じです。

ただし中古X1Cはカスタム歴に注意。社外チャンバーヒーターが入っていた個体、配線をいじっている個体、ヘッド周りを雑に触っている個体、謎改造個体…このあたりは特に見た方がいいです。X1C自体の詳しい話はX1 Carbonのレビュー記事をどうぞ。

P1S:コネクタの挿し間違いはミニ線香花火(ダメです)

P1Sはコネクタの挿し間違えもしやすいです。自分も一回、初期不良かと思ってBambuにチケットを作ったことがあります…。挿し間違えるとショートして、最悪ヘッド周りをバラしてボード交換コースです。

自分は複数回火花を見ましたが幸運にも死にませんでした。サイズ的にはミニ線香花火くらい。花火大会に行きたいけど行けない人は試してみてもいいかもしれません(ダメです)。

笑い話にしていいやつではないので、メンテするときは電源を切ってコネクタ位置をちゃんと確認しましょう。Bambuは楽ですが、雑に扱っていいわけではないです。

AMSとTPUの正しい期待値

AMS liteはマルチカラー専用ではない

じゃあAMSはどうするか。多色をやりたくなったタイミングで足せばよくて、そのとき選ぶならAMS 2 ProよりAMS liteを初心者にはおすすめしたいです。AMS 2 Pro × A1 miniは最近できた組み合わせで、しょっぱなから部品を印刷してバッファーをマウントしないといけませんし、乾燥機能を使うにはACアダプターを追加で買う必要もあります。liteならそのあたりの難所がありません。

ただし価格の話をすると、AMS liteなりAMS 2 Proなり、コンボで買った方があとから単品で買い足すよりお得です。なので「多色は絶対やる」と決まっている人はコンボ買いもあり。その場合でも上記の理由で、選べるならAMS liteのコンボをおすすめします。

で、AMS liteの価値は多色造形だけではないんですよね。

  • 色の切り替えが楽になる
  • フィラメント交換が楽になる
  • 材料切れへの不安が減る
  • 4色までの造形がかなり身近になる

初心者が最初にやりたい多色造形はだいたい4色以内に収まります。ロゴ、ネームプレート、キャラクター、小物、サイン、装飾パーツ…最初から8色16色を狙わなくても十分楽しいです。

もちろんAMS liteにも弱点はあります。密閉されていないので乾燥保管にはならず、湿気に弱い材料を長期間セットしっぱなしにする用途には不向き。スプール中心径が合わないものはアダプタが必要です。ただ外側で保持する構造なので、箱型AMSより紙スプールには比較的寛容で、紙粉や外周摩擦で悩みにくい場面もあります。

要するにAMS liteは万能ではないけど、初心者の手間を減らす道具としてはかなり強い、という立ち位置です。

TPUは基本的に単色運用で

Bambu Labはかなり万能感がありますが、何でもできるわけではないです。特にTPU。

一般的な柔らかいTPUをAMSやAMS liteで多色運用するのは初心者にはすすめません。基本は外部スプールから単色で使うものだと思った方がいいです。TPUは柔らかくて曲がりやすくて座屈しやすいので、AMSのように長い経路でロード・アンロードを繰り返す仕組みとは相性が悪いんですよね。

TPU for AMSのような材料もありますが、これは「柔らかいTPUを自由に多色造形できる」という意味ではなく、AMSで送れるようにかなり硬めに寄せたTPUとして考えた方がいいです。

PLAやPETGの4色造形ならA1 mini+AMS liteでかなり楽しめます。柔らかいTPUは基本単色。TPU多色を本気でやりたいならAMS系ではなく、複数ツールヘッドやツールチェンジャータイプの機種が現実的です。ここを勘違いすると買ったあとに「あれ、思ってたのと違う…」となるのでご注意を。

フィラメント編:何でもいいようで、何でもよくない

メーカー選び:安さで選ぶものと供給で選ぶものは別物

Bambu系は1.75mmの標準的なフィラメントならだいたい使えます。ただ、売り物に使う・色を揃えて継続生産したい・失敗を減らしたい場合は、ある程度名前のある大きなメーカーのフィラメントを使った方がいいです。理由は単純で、突然廃盤になったり色が安定しなかったりするから。

カラバリを求めるなら、国内で買いやすいところだとBambu純正、Polymaker、OVERTUREあたりはかなり色数が多い印象。SUNLUも最近カラバリを増やそうとしている感じはありますが、シーズンやタイミングによっては供給が不安定なこともあります。

安いフィラメントが悪いわけではないんですが、同じ白のつもりで追加購入したら微妙に色味が違う、いつも使っていた色が消える、ロットで質感が違う、追加生産したら前回と並べたときに違和感が出る…みたいなことは普通にあります。趣味ならそれも含めて遊べますが、販売品やリピート品だと困りますよね。

最初の数巻はBambu純正で正常な状態を知るのはかなりあり。RFIDで材料情報を読めますし、Bambu Studio側のプロファイルも整っていて設定で迷いにくいです。慣れてきたらPolymaker、OVERTURE、SUNLU、その他メーカーに広げればOK。

安さで見るならAmazonだとCC3Dも候補ですし、ELEGOO公式サイトの10kgまとめ買いも個人的には結構好きです。ただし安さで選ぶフィラメントと安定供給で選ぶフィラメントは別物。安いフィラメントは試作や大量消費に、売り物やリピート前提なら色と供給が安定しているメーカーを選びましょう(各リンクは記事末尾にまとめてあります)。

フィラメントは湿気る

フィラメントは湿気ます。これは本当に基本。PLAでも湿気るし、PETGはもっと分かりやすいし、TPU・PA・PVA・サポート材はさらにシビアです。湿気ったフィラメントは糸引きが増えたり、表面が荒れたり、パチパチ音がしたり、強度が落ちたりします。

初心者だとこれをプリンターの不調だと思いやすいんですが、実はフィラメントが湿気っているだけのことも多いです。

AMS liteは便利ですが密閉保管ではないので、長期間セットしっぱなしなら湿気の影響は普通に受けます。ドライボックス、乾燥機、密閉ケース、乾燥剤はそのうち欲しくなるので、最初から完璧に揃えなくてもいいですが「フィラメントは湿気る」という前提だけは忘れずに。

温度タワーより先に乾燥

「フィラメントを買ったらまず温度タワーを印刷しましょう」みたいな話をよく見ます。温度タワー自体は悪くないんですが、個人的には初心者が最初にやるべきは温度タワーではなく乾燥だと思っています。

湿気ったフィラメントで温度タワーを出しても判断がブレます。糸引き、表面荒れ、パチパチ音、押し出しの不安定さ…これを温度設定の問題だと思ってしまうと普通に遠回りです。

まず乾燥。その上でBambu StudioのGeneric PLAやGeneric PETG設定で普通に出してみて、問題があれば温度・流量・冷却・速度を見ていく。最初から完璧なチューニングを目指さなくてOKです。

ちなみにBambuに限らず、Generic系のフィラメント設定はだいたい遅めです。理由はシンプルでMax Volumetric Flowが低めに設定されているから。これは悪いことではなく、いろんなメーカーのフィラメントで大きく失敗しにくいよう安全側に寄せてあるだけで、遅い代わりに初心者向きです。慣れてきたらMax Volumetric Flow、温度、冷却、速度、リトラクションを見ていけばいいですが、最初からそこに入ると何が原因か分からなくなります。まず乾燥、次にGeneric設定、チューニングはそのあとで。

フィラメント絡まりの9割はだいたいユーザーのせい

「フィラメントが絡まった」という話はよくありますが、正直9割くらいはユーザー側で絡めていると思います。開梱時に先端を離した、外したあとに固定しなかった、スプールの穴にちゃんと止めなかった、保管中にゆるんだ…こういう原因が多いです。

フィラメントは巻かれた状態で、途中から勝手に結び目ができることは基本的にありません。先端を離して輪をまたいだ状態になると、あとから絡まりとして出てきます。

心配な人はフィラメントクリップをたくさん作っておくのがおすすめ。3Dプリンターを買ったら最初に作る実用品としてもかなり良いですし、自分のプリンターで自分のプリンター環境を改善するのは3Dプリンターの楽しいところでもあります。

もちろんごく稀にメーカー側の巻きが悪い個体もありますが、まずは自分が先端を離していないかを疑いましょう。

印刷品質のリアル

PEIプレートでも定着剤は普通に使う

「PEIプレートなら何も塗らなくても100%成功する」という人もいます。たぶん素材が良いか、毎回めちゃくちゃ丁寧に扱っているか、条件がかなり合っているんだと思います。ただ現実には、めちゃくちゃ丁寧に扱っていても定着しないことはありますし、角が反ることもあります。モデル形状によっては角に応力が集中しますし、材料・室温・ベッド温度・冷却・プレートの状態で普通に変わります。

自分はケープの3DエクストラキープかMagigooを使っています。これは負けではないです。定着剤は初心者ほど使っていい。PEIを信じて何回も失敗するより、薄く塗って普通に成功した方がいいですからね。

ただし塗りすぎると逆に汚くなりますし、プレートのメンテも必要になります。「毎回必須」ではなく「定着が怪しいときの保険」として持っておくくらいがちょうどいいです。

Bambu Studioは0.4mmノズル以外が少し弱い

Bambu Studioはよくできています。特に0.4mmノズルでPLAやPETGを普通に出す分にはかなり楽で、初心者が迷わず使えるように作られています。

ただ0.4mm以外への作り込みはまだ弱いと感じます。0.2mmで細かく出す、0.6mmや0.8mmで太く速く出す…とノズル径を変えて運用し始めると、急に「そこまで面倒見てくれないな」という場面が出てきます。あとエンプラ系のプロファイル設定温度が適切ではないと感じることも。ABS、ASA、PA、PC、CF系をやるならプロファイルをそのまま信じるより、自分で温度・冷却・速度・チャンバー温度・乾燥状態を見る必要があります。

Bambuの強みは初心者でもかなり良いところまで連れて行ってくれること。ただ材料やノズルを外していくと、結局3Dプリンターとしての知識は必要になります。ここはもう少し改善してほしいところですね。

積層痕とサポート面は設定でかなり変わる

段々が気になるなら、いきなりノズルを変える前に可変レイヤー高さ(Adaptive Layer Height)を使うのもありです。モデル全体を薄い積層にすると印刷時間がかなり伸びますが、Adaptive Layer Heightなら曲面など段差が目立つところだけ細かくして、目立ちにくいところは粗めにできます。Bambu Studioではかなり使いやすい機能なので、フィギュアや曲面のある小物を出すなら試す価値あり。もちろん全部0.08mmや0.12mmで出すのもありですが、時間は伸びます。そこは見た目と時間のトレードオフ。

あとBambuのサポート設定はかなり「外しやすさ重視」の印象です。サポートがガチガチにくっついて外れないより外しやすい方が失敗体験は少ないので初心者にはありがたい一方、サポートを外した面は荒れやすい。ここはサポートのZ距離、インターフェース、接触面、材料、向き、積層厚あたりを調整するとかなり変わります。つまりBambuの標準設定でサポート面が汚いからといって「このプリンターはダメ」とはなりません。外しやすさを取っている設定なので、面をきれいにしたいならそこを詰めればいいだけです。

ただこれも最初からやらなくてOK。まずは乾燥したフィラメント×標準設定でちゃんと出す。見た目や速度を詰めるのは慣れてからで十分です。

サポートフィラメントは奥の手

サポート面をきれいにしたいなら、水溶性サポートやPLA/PETGの剥離用サポート材、専用インターフェース材を使う方法もあります。ただこれは奥の手だと思っています。

AMSでサポート材を使うことはできますが、フィラメント交換が増えるので時間もパージ量も増えますし、材料管理も面倒。湿気に弱いサポート材も多いです。本気でサポート材を使い分けるなら、個人的にはデュアルホットエンド、デュアルヘッド、ツールチェンジャータイプのマシンの方が向いていると思います。1本のノズルで材料を入れ替えるより、別ノズルでサポート材を扱える方が圧倒的に気持ちいいので…。

なので初心者はまずモデルの向き、サポート設定、接触面、可変レイヤー高さで詰めて、それでも厳しいときにサポートフィラメントを検討、の順で。

運用と環境の話

セキュリティは怖がりすぎず、雑に扱わない

Bambu Labはクラウド連携が強いです。Bambu Handy、MakerWorld、MakerLab…この統合エコシステムの体験は本当に便利で、初心者がすぐ印刷できる理由でもあります。ただ便利さと引き換えに、クラウドやアカウントやネットワークの話は出てきます。

家庭で公開モデルを印刷する、趣味の小物を作る、公開前提のデータを扱う…このくらいなら便利さを素直に使えばいいと思います。ただNDA案件、未公開製品、社外秘の治具、研究データ、顧客データを扱うなら話は別。その場合はLAN Only Mode、ネットワーク分離、クラウドを使わない運用、アカウント管理、データの置き場所まで見た方がいいです。

Bambu Labは中国企業なので、法域やクラウド連携を気にする人がいるのは自然だと思いますし、そこを雑に「気にしすぎ」と切るのも違う。一方でBambuだけを見て怖がるのも片手落ちです。

  • 監視カメラは安全なのか
  • 謎のUSBメモリを使っていないか
  • Amazonで買った安いUSB-Cハブを社内PCに挿していないか
  • 中古PCやMini PCを業務ネットワークにつないでいないか
  • 営業や広報が、悪気なく図面や試作写真を外部に送っていないか
  • 退職者のクラウドアカウントが残っていないか

こういう状態でプリンターだけを見て「中国企業だから危ない」と言っても、セキュリティ対策としては弱いですよね。自分が何を守りたいのかで運用を選びましょう。

PLAの匂いと健康リスクも現実的に考える

PLAは比較的扱いやすい材料ですが、印刷中に匂いはあります。甘いような匂いがすることも。健康リスクについては過剰に怖がる必要はないと思っていますが、3Dプリンターが粒子やVOCを出すこと自体は無視しない方がいいです。

EPAも3DプリンターはVOCや微粒子を出すことがあり、材料や環境によって差があるとしていますし、NIOSH系の情報でも材料選び、エンクロージャー、換気、プリンターの近くにいる時間を減らすことが対策として挙げられています。

  • 子どもやペットがいる
  • 寝室に置く
  • 長時間連続で印刷する
  • 複数台を同時に回す
  • ABS、ASA、ナイロン、PC、エンプラ系を使う

こういう場合は換気、空気清浄機、エンクロージャー、設置場所を考えた方がいいです。PLAだけならそこまで神経質にならなくてもいい場面は多いですが、匂いが気になるなら我慢しない方がいい。部屋用の空気清浄機を強めに回すだけでも心理的にも実用的にもかなり違います。ABSやASAは匂いも強く温度も高く、反り対策でエンクロージャーも欲しくなるので、もう少し気を使いましょう。

エンクロージャーで注意したいのが夏場のPLA。庫内温度が上がりすぎると、ヒートクリープ、詰まり、冷却不足、オーバーハングの荒れの原因になることがあります。夏にPLAを囲って印刷するなら庫内温度・ファン・ベッド温度は要チェック。コールドプレート系でベッド温度を下げるのも選択肢の一つですが万能ではなく、材料との相性や剥がしやすさ、表面テクスチャ、耐久性は製品ごとに違います。

複数台運用するなら管理ツールも見ておく

Bambu Labを1台だけ使うならBambu StudioとBambu Handyでだいたい足ります。ただ複数台になると、どれが空いているか、どれが印刷中か、どれが失敗しているか、次にどのジョブを流すか、材料の状態はどうか…を毎回アプリや本体画面で見るのは普通に面倒です。

複数台運用するならBambuddyみたいな管理ツールや、今後出る予定のFleetHub系の機能はかなり便利になると思います。1台なら「印刷できるか」でいいですが、複数台なら「運用できるか」が大事になってきます。

家に複数台置くならラック選びも大事

複数台運用するなら置き場所もかなり大事。P1S/X1Cみたいな256mm級の箱型を家に何台も置くなら、コストコのゴリララックはかなりありです。サイズが合えば最大6台くらい載ります。

ただしここはちゃんと測りましょう。本体サイズだけでなく、ドアを開けるスペース、AMSの置き場所、背面ケーブル、排気、フィラメント交換のしやすさ、メンテで手を入れるスペースまで必要です。

あと3Dプリンターは動くので、ラックが弱いと揺れます。揺れると音も出ますし造形品質にも影響することがあるので、耐荷重だけでなく剛性も要チェック。必要なら棚板を補強したり、防振マットを敷いたり、ラック自体を壁に寄せたり。1台なら机でいいですが、複数台ならラックも運用設備の一部です。

失敗との付き合い方

困ったらAIに聞く。人に聞くなら状況を書く

印刷に失敗したとき、まずやることは原因を増やさないこと。何を印刷したか、どの機種か、どのフィラメントか、乾燥したか、どのプレートか、ベッド温度とノズル温度、どこで失敗したか、写真はあるか。このあたりを整理して、まずAIに聞くのが手っ取り早いです。

BambuのWikiのリンクも一緒に渡して「A1 miniで、Generic PLA設定、0.4mmノズル、PEIプレート、こういう失敗をした」みたいに聞けば、だいたい次に見るべきところは出てきます。

人に聞くときも同じで、「なんか失敗しました」だけだとみんなも的外れなアドバイスをしてしまいます。何をどうしてどうなったかが分かればかなり助けてもらいやすい。気になったら自分のXコミュニティで聞いてくれれば、誰かが助けてくれるかもしれません。まずは写真を撮って条件を書く、できれば失敗した造形物とスライサー画面も見せる。これだけで解決率はかなり上がります。

失敗したら写真を撮ればいい

3Dプリンターは失敗します。どれだけBambuが楽でも、失敗するときは失敗する。ノズルに巻き付く、途中で剥がれる、サポートごと崩れる、もじゃもじゃの塊になる…。

そうなったらまず電源やヘッド周りを確認して、危なそうなら止める。そのあと写真を撮ってSNSに上げるといいです。みんながいいねしてくれるので元気が出ます。「Bambuもじゃ」とか書いて投稿しておけばだいたい供養できます。

冗談みたいですがこれ結構大事で、初心者が一番よくないのは1回失敗して「自分には無理だ」と思って使わなくなること。失敗はBambuでも高い機種でも慣れている人でも普通にあります。ゼロにするより、失敗したときに戻れる方が大事です。

まとめ:結局、初心者は何を買うべきか

小物中心で家庭で始めるならA1 mini単体がかなり現実的です。安いからではなく、始めやすくて、純正フィラメントと組み合わせると失敗要因を減らしやすくて、壊したり詰まらせたりしても比較的戻しやすいから。多色が欲しくなったらAMS liteを足せばOKです。

ただし──

  • 大きいものを作りたいならA1 miniでは足りない
  • たくさん回すなら、操作系やメンテ性のストレスが気になる
  • エンプラをやるなら、エンクロージャーや材料管理が必要になる
  • 機密データを扱うなら、クラウドやネットワーク運用も考える必要がある
  • TPU多色を本気でやりたいなら、AMS系に期待しすぎない方がいい

予算と置き場所があって256mm級の箱型で始めたいなら、P2SやX2Dのような上位機もかなり丸い。ただ最初の1台で「3Dプリンターが生活に入るか」を試すなら、A1 mini単体はかなり強いです。

Bambu Labは完全に何も考えなくていい機械ではないけど、今までの3Dプリンターの中では一番家電に近い。怖がりすぎず、過信しすぎず、自分の用途に合わせて選んでください。

購入前の確認とリンクまとめ

本体価格やセット内容、在庫はタイミングで変わります。購入前には公式ストアの最新表示を確認してください。本体だけでなく、フィラメントや乾燥・保管用品、置き場所まで含めた予算で見るのがおすすめです。Comboを選ぶときは、付属AMSの種類と、あとから単品で買い足した場合の合計額も確認しましょう。

買う人はよければ下記のアフィリエイトリンク達からポチってください。皆さんが買ってくれると、こういう発信のモチベになります…!

2026年秋のキャンペーン予告

Bambu Lab 秋のセール|9月18日から開催予定

2026年9月16日追記:Bambu Labの秋のセールが、2026年9月18日11:00〜9月28日23:59(日本時間)に開催予定です。

購入を考えている人は、欲しい本体やAMS、フィラメントを先に絞っておくと比較しやすいです。対象商品・実際の販売価格・クーポンなどの適用条件は、下の公式キャンペーンページで確認してください。

Bambu Lab 秋のセール詳細を確認する

この案内は上記期間のキャンペーンについての追記です。期間外の価格や特典はリンク先の最新表示をご確認ください。

本体(個別リンク)

価格・セット内容・在庫は、リンク先の公式ストアで確認してください。

Bambu Lab 公式ストア
A1 mini 単体
小物中心で始めたい人に。まずは単体で慣れて、必要になったら多色化を検討。
Bambu Lab 公式ストア
A1 mini Combo
最初から多色もやりたい人に。付属AMSの種類を購入前に確認。本文のAMSの項も参照。
Bambu Lab 公式ストア
P2S
予算と置き場所があり、256mm級の箱型で始めたい場合の候補。
Bambu Lab 公式ストア
X2D
上位機も含めて選びたい人に。対応材料や機能を公式ストアで確認。
Bambu Lab 公式ストア
H2S
大型機も検討したい人に。造形サイズと設置スペースを確認して選ぶ。

最初の1台で迷っているなら、個人的にはA1 mini単体が一番すすめやすいです。多色をやりたくなったらAMS liteを追加する方法もあります。最初から多色までやる気なら、付属AMSの種類と単品購入時との差額を確認してコンボも検討しましょう。置き場所と予算があるならP2SやX2D、作りたいもののサイズによってはH2Sも候補になります。

フィラメント

アクセサリー

参考リンク

3Dプリンター沼の底でお待ちしています。

どうも、YuTR0Nです。

遂に我が家にSnapmaker U1が着弾!今回はSnapmakerさんにPR2(試作ビルド)の後のマスプロロットのマシンを提供していただきました。届いてから結構経ちましたが…なぜかというと私の中でてっきり投稿したつもりになってたからです…!!!

我が家初のツールチェンジャーマシンということでじっくり見ていきましょう。工場やオフィスへ見学もいってマシンに触れはしましたが家でじっくり触るのはまた別次元ですね。

しっかり日本の法令にも対応!技適とPSEが確認できました。

そもそもツールチェンジャーとは?

ツールチェンジャーとは、ノズル・ホットエンド・エクストルーダーを丸ごと含んだ「ツールヘッド」を複数搭載し、印刷中にマシンが自動で持ち替える方式のことです。U1の場合は背面に4基のヘッドが待機していて、色や素材が替わるタイミングで数秒でガシャコンと交換してくれます。

一方、多くの人に馴染みのあるシングルノズル+AMSのような方式は、1本のノズルに複数のフィラメントを順番に送り込むため、色が替わるたびに直前の色をノズルから排出する「パージ」が必要です。マルチカラー印刷で大量に出るあの紐状のゴミ、通称うんちタワーの正体はこれ。切り替え1回ごとに時間とフィラメントのロスが積み上がっていきます。

ツールチェンジャーは色ごとにノズルが専用なので、このパージがほぼ不要。切り替えも速く、色数が増えるほどパージ方式との差が開きます。さらに色分けだけでなく、ヘッド単位で素材と温度を独立して割り当てられるのも強みで、本体はPLA・サポートは剥がしやすい専用材・可動部はTPUみたいな混載が1プリントでできます。マルチ「カラー」に留まらないマルチ「マテリアル」機というのが本質ですね。

初期テストプリント

それぞれのフィラメントは純正なのでRFIDが内蔵されています。セットしたら勝手に色情報まで取り込まれるのであとは印刷開始するのみ。2時間越えコースなのでご注意。とはいえ今までの他のマシンじゃ狂気ともいえるモデルを2時間くらいで完成できちゃうのは流石です。

ちなみにフィラメントのセットはフィーダーが送り込みを補助してくれるので、手でエクストルーダーまで送り込む必要はありません。先端を差し込めばあとはお任せです。

KlipperとFluiddはなんぞや

ちょっと前の家庭用3Dプリンターは内蔵されたメインボードだけで全ての計算を行っていました。が、複雑な動きや高速な印刷では、その性能に限界が…。

そこでKlipperは、その計算の大部分をRaspberry Pi(ラズベリーパイ)のような、より高性能なSBC、小型コンピューターに任せる仕組みです。分業して作業を処理しているイメージでいいかなと思います。(SBC:Single Board Computer)

Fluiddは、Klipperをパソコンやスマートフォンのウェブブラウザから簡単に操作するためのダッシュボード・操作パネルみたいなものです。Fluidd以外にもMainsailなどがありますね。どれもオープンソースで最近は多くの市販されている3Dプリンターに搭載されています。

Fluiddで何ができる?

Fluiddではもちろん各種設定やプリンターのマクロコマンドなどの設定を変更したりできます。

初心者はくれぐれもいじらないように。U1が破損する可能性があります。

構成の詳細も確認可能です。メモリも約1GBあっていいですね。500MB程度のマシンも多くありますがだいたい意図せぬ操作などでメモリがかつかつになってフリーズしてしまったりせっかくKlipperなのに追加の機能をいれる余力がなかったりする他社製品もあるなかいいチョイスですね。

あとはツールチェンジ前に余熱がどうなっているかリアルタイムで見ることができます。

私は各ツールヘッドをささやかに変更してます。

上級:ベッドの傾きを直してみる

まずはFluiddにアクセスしチューンを開きましょう

初期のメッシュ状態からベッド全体が傾いていて最大1.4mm幅分傾いていることがわかります。このままでも面積の小さいものは問題ないのかなと思います。大きなものや複数組み合わせる部品を作る場合などは調整して少なくとも0.4mm以下にはギャップを縮めたいところです。

Snapmaker U1のベッドのネジピッチまではわからないのでとりあえず最初の調整で私レベルの傾きであればダイヤルが8角形なので2~3面ほどまずは動かして「調整する」を押しましょう。

私の例だと④と①は上げて②と③は少し下げる方向への調整ですね。

アダプティブメッシュレベリング-Adaptive Meshを有効にする

メッシュベッドレベリングはもちろん助かりますが小さいものを印刷するだけなのに11×11のメッシュレベリングをするのは…ちょっと時間がかかりますよね。そこでアダプティブメッシュレベリングの登場です。こちらはあくまで自己責任にて。

アダプティブメッシュレベリングは実際にオブジェクトが印刷される領域のみを対象にレベリングをする機能です。ただし注意点としてKlipper公式ドキュメントにて述べられているのはメッシュレベリングした際のベッドのメッシュ高低差が1レイヤーの高さより大きい場合は期待していなかった結果になる場合がありますと書かれています。というのもプリンターは印刷範囲のメッシュのみを把握して稼働するため、印刷範囲より外側のメッシュレベリングされていない部分が例えば..全体的に1mmもり上がっていたりするとそこへノズルが移動時にぶつかる可能性などがあるよということです。U1でいえばツールチェンジの際に。前述のベッド補正を行ってから使うことを推奨します。

まずはmoonraker.confを開きます。

下記を一番最後に追加したらSAVE & RESTART (保存と再起動)を行います。


[file_manager]

enable_object_processing: True

次はSnapmaker-Orcaの変更。U1の印刷開始G-Codeを変更します。プリンターの設定変更ボタンをクリック。

まずは下記のコードをスクロールして探します。

BED_MESH_CALIBRATE PROBE_COUNT=11,11

そしたらコメントアウトもしくは削除して下記を追記します。

;Adaptive bed mesh

BED_MESH_CALIBRATE ADAPTIVE=1

コメントアウトとは
行の任意の位置にセミコロン(;)を記述することで、それ以降の文字列をコメントとして扱うことができます。コメントアウトされた部分はプログラムの実行時に無視されるため、コードの説明を加えたり、特定命令を一時的に無効化したりする目的で利用されます。

たとえば今回のケースでは緑で囲った部分は有効なコード、赤で囲った部分は無効なコードとなります。

終わったら名前を付けて保存します。あとは普通にスライスして送信するだけです!

ダンパーは意味があるか?

U1には今回赤のエクシールダンパーを使用。U1は18.2kg+最大フィラメント4kg=22.2kgなので赤は適正なものではない気がしますが家にストックしてたので使用。本来は紺x4の使用が適切なのかなとは思います。

引用元:https://www.exseal.co.jp/products-page_geldamper/

家具の振動というより印刷への影響がどうかなということで比較。若干ですが改善しているようです。

こちらのデータはU1が共振補正を行った際吐き出されるデータです。印刷ジョブ>shaper_calibrateの中にあるcalibration_data_y/x_XXXXXXXX_XXXXXX.pngですね。

またSnapmakerのオフィスや工場と違い家にあるとやはり動作音が気になるかなという感じです。天面がオープンな仕様ということも関係はしているとは思うのでそのうちエンクロージャーを使ってみようと思います。

BIQU PopStation miniを使ってみる

U1の人気を受けてサードパーティ製アクセサリも続々登場しています。BIQUはU1向けに「Pop」シリーズとしてトップカバーのPopCapなどを展開していますが、私はPopStation miniを使用してみました。

PopCapもあるにはあるのですがU1ごと貸し出してるので戻ってき次第純正カバーと合わせてレビューに追記します。

拡張ポートやPanda Branch的なものが付きそうなポート。またPanda Breathを追加できるようです。TPUを庫内へ乾燥剤など一切無しで突っ込んでいたところ湿気りが見えてきたのでTPU系運用の場合はPanda Breathないし定期的にシリカを交換などで対策が必要そうです。

ベータ版なので随所プリント品

サイドスプールじゃなくなるのでスッキリする点、また移動や配置もしやすくなります。狭い部屋で机を置く場所も限られているわけでなければ一緒に欲しいアイテム。

我が家の環境で一個気付いたのはプリンターとPop Stationの間にゲルダンパーなど挟まないと結構木造の場合階下に響くという発見はありました。空間にZホップが反響しやすくなるみたいです。

600時間以上使ってみて

私のマシンはファーム1.0.0のまま使っています(執筆時点で最新は1.2.0)

理由はconfigをカスタムしてるのと特にエラーで困ったためしがないためです。移動したらしっかりフルキャリブレーション。空いてるときに不定期に実施もしてあげれば快適に使えると思います。

ツールチェンジ回数はこんな具合です。600時間といってもBambu Labなどのマシンよりマルチカラー印刷が圧倒的に速いのでかなりの量印刷しています。

既にシングルノズルのマルチカラー系マシンを持ってた人は如何に1kgのスプールx4で沢山のものが実は作れたか…マルチカラー多めだった人はびっくりするかなと思います。気軽にちょっと文字入れ・色分けしてもサクッと綺麗にフラッシュ量も気にせずに。あとは後ろにゴミが出ることもないのも素敵です。

またフィーダー機構が常に送り出しをアシストしてくれるおかげで、TPUのような柔らかいフィラメントでも供給が安定します。おかげでTPUのマルチカラー印刷も安定してこなせるのは嬉しいポイント。ただしTPUは吸湿しやすいので乾燥は入念に。私のおすすめは乾燥機から直接給送する「乾燥しながら印刷」です。

長時間実際に使わないとわからないメリットは見落としがちですが購入に悩んだ時はちょっと考えてみてください。掃除が楽!稼働も短く!

量産でも安定:JRRFのMakerChip製造

JRRFの準備でMakerChipをまとまった数で製造したのですが、その量産プリントでも安定して走り切ってくれました。マルチカラーを高速で大量に回すという、まさにU1が一番得意とする使い方で、長時間の連続運用でも安心して任せられる手応えがあります。

※環境依存のメモ(我が家では発生しています)
我が家では電源環境のせいか電圧が不安定になり、シャットダウン信号が走ってしまう事象がちょくちょく起きます。おそらくマシン側というより設置側(家の電源)の問題なので、環境によっては全く縁のない話だと思うのですが、少なくとも我が家では普通に発生します。同じように古い家屋などで使う方の参考になればと思いメモしておきます。気になる場合はUPSやノイズフィルター付きの電源タップを噛ませておくと安心です。(ただ他のマシンよりはセンシティブな気がします)

追記:シャットダウン誤検知は公式Wikiに対処法がありました

その後この件、Snapmakerの公式Wikiに「U1 false power-off signal triggered」としてちゃんと載っているのを見つけました!要は電源断の検知がシビアすぎて、ちょっとした電圧の揺らぎを「停電した!」と誤認してしまうケースですね。

→ U1 false power-off signal triggered | Snapmaker Wiki

対処は検知のしきい値をちょっとだけ鈍くしてあげるだけ。手順はこんな感じです。

  1. 本体の画面で 設定 > メンテナンス > Advanced Mode を有効化
  2. 設定 > WiFi でIPアドレスを確認して、ブラウザで開く(Fluiddが開きます)
  3. 左サイドバーの Configuration から printer.cfg を開く
  4. [power_loss_check] の中の power_loss_trigger_time を探す
  5. デフォルトの 0.022 を 0.05 に書き換えて、SAVE & RESTART

[power_loss_check]

power_loss_trigger_time: 0.05

Wikiでは0.04〜0.05の範囲(0.05は超えないこと)とされています。私は0.05にしていて、これで我が家では落ちなくなりました。なお [power_loss_check e0] 〜 [power_loss_check e3] というツールヘッド側の同名セクションもありますが、いじるのは頭に何も付かない [power_loss_check] の方です。

ちなみにこの症状、1台だけでなく同じ電源系統につないだU1が複数台まとめて落ちることもあります。個体の故障を疑って1台ずつ見ていくより、まずは電源環境とこのしきい値を確認したほうが早いです。

※アップデート後は必ず確認を
現状のファームウェアだと、アップデートするとこの値がデフォルト(0.022)に戻ってしまいます。アプデしたら毎回printer.cfgを見直してください。正直このあたりは、今後のファームでデフォルト値のほうを見直してもらえると嬉しいですね…!!

イベントへ連れまわしても頼もしい

JRRFをはじめ各地のイベントへあちこち連れまわしていますが、移動後にキャリブレーションをかければ問題なく印刷できています。ツールチェンジャーというと繊細なイメージを持たれがちですが、持ち運びへの耐性も含めてなかなか頼もしいマシンです。ただし筐体のカバーがもつ場所によっては外れやすいので抱きかかえる感じがおすすめです。(あまり該当者はいなさそうですが)

気になった点:ホットエンドまわりのコネクタ

ホットエンドまわりのコネクタはラッチ付きになっており、取り外しやすさを重視した設計に見えます。ただ実際に触ってみると取り回しやコネクタの配置がきつく、交換時にやや気を使うのが正直なところ。将来的にはワンタッチに近い構造、もしくはコネクタ配置の改良に期待したいです。

Exclude objects

使用しているバージョンによってはサポートされていないと思います。その場合はスライサー側でオブジェクトにラベルを付けるにチェックを入れてスライス。プリンター側ではスキップできないですがWebUI側でスキップが可能になります。

オープンソースをしっかりフォロー

Snapmakerは当初から中身を綺麗にブラッシュアップしたらソースをちゃんと公開すると宣言しており先日しっかり達成!

https://www.snapmaker.com/blog/snapmaker-u1-firmware-now-on-github

近年はKlipper/Moonraker/Fluiddを使った3Dプリンターは非常に多いですが、実際どのブランドも公開するすると言って全然公開せず次の製品リリースに取り掛かっているものが多い中、このようにライセンス遵守できているケースは非常に珍しいですし公開忘れの会社の皆さんはぜひ見習ってほしいですね。

公開した!といっていても到底簡単にいじれない状態で出しているブランドもあるなか綺麗にフォークされていていいですね。

もっと速くもできる(上級者向け)

ファームが公開されているのでコミュニティ側で性能を詰めることもできます。U1界隈だと247printingさんの検証動画が有名で、「マルチカラー印刷を2.5倍速くできるか?」を加速度やリトラクト、流量など一個ずつ切り分けて検証しています。条件次第では印刷時間を最大6割ほど削れるようです。

247printing: How To Print Multi-Color 2.5x Faster

ベースは動画でも参照されているJNP-1/Snapmaker-U1-ConfigというKlipper設定。TMC2240のチョッパー設定まで詰めて加速度25,000mm/s²前後、XY速度1,000mm/s級、ツールチェンジ800mm/s級まで引き上げるなかなか攻めた内容です。

※完全に上級者向けです
拡張版ファーム前提のチューニングで、誰がやっても安全に速くなるものではありません。printer.cfgのバックアップとフルキャリブレーションは必須。ツールチェンジミスやモーター温度、レイヤーシフトを見ながら自己責任で少しずつ詰めましょう。まずは標準設定で安定させてからどうぞ。

標準でも十分速いのにやる気があればまだ伸びしろが残っているのは、オープンにしているU1ならではですね。

スライサー側も同じ流れで、U1のSnapmaker OrcaはOrcaSlicerベース。だからコミュニティ製の、4色をフル活用するフルスペクトラム(Full Spectrum)フォークも使えます。いわば3Dプリンターで2Dプリンターの如く色を組み合わせて別の色を作るという方法です。2Dプリンターも365色のインクが入っているはずもなく4~5個程度のインクで色を作っていますよね。

https://github.com/ratdoux/OrcaSlicer-FullSpectrum

ちなみに私自身、これを試す前にたまたま話題のモデルをCMYKフィラメントで印刷したことがあって、サポート部分が”元のフィラメントにない色”になっていて、意図せず近いことを体験していました。

側面に「画像」を印刷できるOrcaSlicer-ImageMap

コミュニティフォークをもう一つ。sentientstardust氏のOrcaSlicer-ImageMapは、プリント品の側面に画像を印刷できるようにしたOrcaSlicerフォークです。

仕組みが面白くて、レイヤーごとにCMYKなどの決まった色を順番に積みつつ、外壁のオーバーハング量(せり出し具合)を画像に合わせて変化させて下層の色の見え方をコントロールすることで、継ぎ目なしに側面へ絵を浮かび上がらせます。色数に関係なくツールチェンジは1レイヤーあたり1回だけなので、ヘッド交換が数秒で終わるU1とは相性抜群の技術。プライムタワーに画像を印刷する機能(追加のツールチェンジ不要)や、画像投影・テキストモード・テクスチャ付きOBJ/glTF/GLBの読み込み・2Dグラデーション生成なども入っています。

ということで実際にU1で試してみました。フィラメントはBambu LabのCMYKフィラメントを使用。元画像がこちら。

OrcaSlicer-ImageMapで印刷する元画像
元画像

印刷するとこうなります。

Snapmaker U1でImageMapプリントした様子
側面に画像が印刷されたプリント品
Snapmaker U1のツールヘッドとImageMapプリント

コツはフィラメント選び。この技法はせり出したフィラメントが下の色を隠すことで成立しているので、透明系のようにTD値(透過距離)が高いフィラメントだと色が薄くなりがちです。逆に不透明すぎても横縞が目立つとのことで、中間くらいのTD値が推奨されています。発色の強さはマルチマテリアル設定の外壁ライン幅(最小/最大)の範囲=最大オーバーハング量で決まります。

Windows/Mac向けビルドがReleasesから入手できます。まだ活発に開発中のフォークなので、大事なプリントの前はG-codeを確認しつつ自己責任でどうぞ。

Snapmaker Orcaのモデルライブラリも充実

スライサーのSnapmaker Orca(ホーム画面のModel Library)には、デフォルトでかなりの数のモデルが用意されています。Flexi Factory、MatMire Makes、Lucky 13 Toys(あのCARBON 13も!)といった人気クリエイターのモデルが並んでおり、各モデルには印刷時間・フィラメント使用量・推奨印刷設定・プレート数まで表示されます。G-codeバッジ付きのモデルはスライス済みなのでそのまま印刷可能です。

ライセンスもそれぞれのモデルに明記されています。たとえばCARBON 13では「著作権は作者に帰属し、個人・非商用利用に限る」と記載されています。またモバイルアプリ側にも同様のモデルライブラリがあり、スマホからモデルを選んでそのまま印刷を投げることもできます。

一方で、本体に内蔵されているテストモデルにはライセンス表記がありません。この点は「アップデートで明記してはどうか」とSnapmakerに提案済みなので、今後の改善に期待です。例えばデフォのかわいいドラゴン。

15万ドルのInnovation Fundも開始

U1向けのソフトウェア、ハードウェア改造、ワークフロー、アクセサリーなどの開発者・メイカーを支援する15万ドル規模の「Snapmaker U1 Innovation Fund」も始まっています。エコシステムを本気で育てにきている姿勢が見えるのは嬉しいですね。詳しくはこちらの記事をどうぞ。

Snapmaker U1 Innovation Fundが開始。U1向け開発者・メイカーを支援する15万ドルの基金

ノズルは0.2〜0.8mmまで選べるように

発売当初は0.4mmノズルのみで、海外レビューでも「ノズル径が選べない」点はよく指摘されていました。が、その後Snapmaker純正で0.2 / 0.4 / 0.6 / 0.8mmのハードンスチール・ホットエンドバンドルが登場し、この弱点はほぼ解消されています。小径ノズルで表面を綺麗に、大径ノズルで時短、と用途で使い分けられるようになりました。(※径違いのホットエンドを同時に装着しておき、ジョブごとに使う径を切り替えることは可能ですが、異なる径を同一プリント内で混在させることは現状できません。執筆時点の最新ファームV1.5.2 Betaでも径違い間のオートリフィル禁止などの制限があり未解禁。Orca本家にはmixed nozzle sizesの仕組みがあるだけに、今後のアップデートに期待です)

私もさっそく0.2mmのホットエンドを購入してみました。細かいモデルを綺麗に出したいときに重宝します。ただ正直に書いておくと、5月16日に注文して手元に届いたのが6月24日。1ヶ月以上(約40日)かかりました。本体や定番アクセサリーは国内倉庫から出るのですぐ来るのですが、こういった一部パーツは時期によって入荷待ちになることもあるようなので、必要な径は早めに確保しておくのがおすすめです。

他のツールチェンジャー機と比べてどう?

2026年に入ってツールチェンジャー界隈は一気に賑やかになりました。長らく選択肢はDIY系(Jubilee, E3D ToolChanger)か高価なPrusa XLくらいでしたが、Snapmaker U1が手頃な価格でこのジャンルの口火を切り、その後Flashforge Creator 5がさらに安価に参入。さらにBambu Labも、従来のシングルノズル+AMS(パージ方式)とは違う「ホットエンドを丸ごと差し替えるVortek方式」のH2Cを投入してきました。比較の参考として主要な多色機を並べてみます(H2Cだけは厳密にはツールチェンジャーではなくホットエンドスワップ方式です)。

項目Snapmaker U1Flashforge Creator 5Prusa XL(5ヘッド)Bambu Lab H2C
方式4ツールヘッド・チェンジャー4ツールヘッド・チェンジャー最大5ツールヘッド・アクティブチェンジャーホットエンドスワップ(Vortek/6差替+固定、最大7色)
造形サイズ270×270×270mm256×256×256mm360×360×360mm約330×320×325mm(デュアルノズル時)
最高速度(公称)500mm/s600mm/s品質重視で控えめ(〜200mm/s級)1,000mm/s
最大加速度20,000mm/s²30,000mm/s²—20,000mm/s²
ツール待機位置背面右側面背面右側ホットエンドラック
ノズル最高温度300℃320℃300℃(交換でさらに上)350℃
ベッド最高温度100℃120℃120℃120℃
エンクロージャ別売トップカバー(チャンバー〜50℃)標準は開放/Proは密閉・チャンバー〜65℃別売エンクロージャ標準で密閉・チャンバー〜65℃
スライサーSnapmaker Orca(Orca系)+Klipper/Fluidd開放Flash StudioPrusaSlicerBambu Studio

こうして並べると、U1は「速度・チャンバー温度・拡張性のバランス」と「価格」で中心に座る立ち位置だとわかります。Creator 5は数字(速度・温度)とコスパで攻めてきていて、特にProはエンクロージャ込みでエンジニアリング材料に強い。Prusa XLは造形サイズ・最大5色・実績で別格ですが、完成品で数十万円〜とプロ向け。Bambu H2Cはエコシステムの完成度と最大7色・密閉チャンバー・350℃が魅力ですが、コンボで約40万円〜とU1の倍以上、機構も複雑です。U1はそのちょうど真ん中、「個人が手頃にマルチカラーを日常で回す」のに一番ちょうどいいポジションだと感じています。

※価格は2026年6月時点の国内販売店の税込表示(U1のみSnapmaker直販・国内倉庫発送)を基準にしています。仕様・在庫・キャンペーンにより変動します。

最大の差は「今すぐ現実的な価格で手に入るか」

と、スペックを並べてきましたが、実は表には載らない決定的な差がひとつあります。それが入手性です。ツールチェンジャー系マシンの発表・参入自体は一気に増えたものの、私の把握している限り、執筆時点で「手頃な価格で、注文したらすぐ日本の自宅に届く」のは事実上Snapmaker U1だけ。Prusa XLはAmazonなどで普通に買えはするものの、いかんせん値段がえぐい(完成品で数十万円コース)。そして新顔勢はこれから出荷が始まる段階だったり、予約受付中だったり、まだベータテスト中だったり…「今すぐ欲しい」に無理なく応えられるマシンが見当たらないのが現状です。

そしてこれは納期だけの話ではなく、製品の成熟度に直結します。U1はすでに世界中のユーザーへ大量に出荷済みで、フィードバックが開発に反映されるサイクルが何周も回っています。この記事で見てきたとおり、ファームウェアは着実に更新され、発売当初の弱点だったノズル径も0.2〜0.8mmバンドルの登場でほぼ解消、サードパーティアクセサリやInnovation Fundまでエコシステムが育ってきている。一方これから初期ロットが届くマシンは、良くも悪くも「初物の洗礼」をユーザーがこれから受けるフェーズです。揉まれて枯れ始めたツールチェンジャーを今日から使えるというのは、地味ですが相当大きなアドバンテージだと思います。

現在日本の代理店はない…が?!

日本国内倉庫を保有しておりそちらから出荷されるとのことです。マシン・アクセサリーが国内から発送されるのであれば代理店がなくても安心して使っていけるのではないかと思います。

これが地味に大きくて、海外通販にありがちな通関待ちや高い送料、長いリードタイムを気にせず、国内発送のスピード感でマシンもフィラメントも手に入ります。実際に各地のイベントへ持ち運んだり、追加のフィラメントをすぐ補充したりと、運用してみて「すぐ手に入る」ことの強さを実感しています。代理店がまだない=サポートが不安、と身構えがちですが、本体・主要アクセサリーが国内から届くという一点だけでも、導入のハードルはかなり下がっているはずです。

もうひとつ、地味に効いてくるのが補修パーツの手厚さです。ホットエンドや各種鋼板はもちろん、ツールヘッド本体・冷却ファン・メイン基板やハブ基板・各種ベルト・エクストルーダー・ヒートベッド・センサー類まで、主要コンポーネントの多くが単品パーツとして流通しています。壊れた/摩耗した箇所をアッセンブリ丸ごとではなく部品単位で直せる余地が広く、長く付き合う機体としての安心感につながります。

消耗材のラインナップも、SnapSpeed PLA・Matte PLA・Silk PLA・Silk Dual-Color PLA・Wood PLAといったPLA系に加え、PETG・TPU(95A/90A)まで、日常使いの主要ファミリーがひととおり揃います。吸湿しやすいこれらの材料に向けて、Polymakerとの協業モデルの乾燥機「SnapDryer」も用意されていて、保管・乾燥までワンストップでカバーできる構成です。ABSやASA、PLA-CFといったエンプラ/CF入り系の拡充は今後に期待、といったところですが、”きれいに速く、扱いやすい素材で回す”というU1の性格には、この構成がよく噛み合っていると感じます。

あとはアフターサービスは基本は英語とのことなので日本語希望の場合は教えて欲しいとのことです。とはいえ例えばXでは言語の壁がなくなっていますしAI翻訳を駆使すれば文面でのやりとりは何不自由なくできるので日本語がサポートされていないから…という場合は是非この機会に殻を破ってみるのもいいかなと思います。

価格・購入先

Snapmaker公式(国内倉庫発送)から直接購入できます。通常価格 $999 ですが…執筆時点では$899さらに数量限定でクーポンコード: yuto_horiuchi をつかえばさらにお安く!

国内倉庫からの発送なので関税不要・送料もシンプル。興味があるなら今が買いどきです。

→ Snapmaker U1 を公式サイトで見る

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。

自宅では20台以上の3Dプリンターを含め、多数のWi-Fi機器やIoT機器を接続しています。

これまでルーターはずっとBUFFALO製品を使ってきました。インターネット周りには疎いのでよく聞いたことあるし設定引き継ぎできるなら…と盲目に。直近ではWi-Fi 7対応のハイエンドモデル「WXR18000BE10P」を使用していましたが、最近どうも挙動が安定しないことに加え、木造住宅にもかかわらず階下へ十分に電波が届かないことが気になっていました。

そこで今回、TP-LinkのトライバンドメッシュWi-Fi 7システム「Deco BE9300 2-pack」へ入れ替えました。

利用回線は楽天ひかりのファミリープランで、最大通信速度は上下1Gbpsです。今回はプライムセールで、Deco BE9300の2台セットを45,730円で購入できました。

この記事では、実際の設置方法、楽天ひかりのクロスパス設定でつまずいた点、IoT機器やFast Roaming、6GHz、MLOなど、導入直後に確認した内容をまとめます。

※設定画面や項目名は、2026年7月時点のDecoアプリおよびファームウェアに基づきます。

今回の環境

  • 回線:楽天ひかり ファミリープラン 1Gbps
  • 旧ルーター:BUFFALO WXR18000BE10P
  • 新ルーター:TP-Link Deco BE9300 2-pack
  • IPv4 over IPv6サービス:楽天ひかり クロスパス
  • Decoアプリ上の接続方式:Xpass
  • 接続機器:3Dプリンター、PC、スマートフォン、IoT機器など多数

Deco BE9300は、6GHz・5GHz・2.4GHzのトライバンドWi-Fi 7に対応しています。公称無線速度は合計最大9.3Gbpsで、各ユニットに2.5Gbps対応のWAN/LAN自動判別ポートを4つ搭載しています。接続可能台数は200台以上とされています。

詳細な仕様はTP-Link公式製品ページで確認できます。

購入と開封

Deco BE9300は簡易包装版

今回Amazonで購入したDeco BE9300は、一般的な店頭向けパッケージではなく簡易包装で届きました。

外箱は無地の段ボールで、貼られたラベルには「Deco BE65と同等商品です」「本商品は簡易包装です」と記載されています。

中身はDeco本体2台、電源アダプター2個、Cat5e LANケーブル、簡易マニュアルという構成です。外箱にコストをかけないAmazon向け商品と考えれば、特に問題はありません。

実際の購入価格は2台セットのDecoの方が安かった

購入履歴を確認したところ、WXR18000BE10Pは2024年に49,392円で購入していました。

対して今回のDeco BE9300は、プライムセールで2台セット45,730円。最初からこういう製品に出会ってたらもっと幸せだったかもしれません。

WXR18000BE10P:49,392円(2024年・1台)
Deco BE9300:45,730円(2026年・2台セット)
差額:Decoの方が3,662円安い

単体ルーターと2台のメッシュシステムなので性格は異なります。それでも、自宅環境では約5万円の単体ルーターより、約4.6万円で2台を配置できるメッシュの方が電波範囲と使いやすさの両方で満足度は高くなりました。

設置と配線

ONUのLANポートが1つしかないけど、WXRは残すべき?

設置時に最初に迷ったのが配線です。

ONUにはLANポートが1つしかないため、既存のWXR18000BE10Pを残し、そこからDecoへLANケーブルを接続する構成も考えました。

ONU
└─ WXR18000BE10P
   └─ Deco

しかし、WXRとDecoを両方ルーターモードで動かすと二重ルーター構成になります。今回はWXRを使っていた環境の不調も含めて切り分けたかったため、WXRは完全に取り外し、ONUと親Decoを直接接続しました。

最終的な構成は以下です。

ONU ── 親Deco ))) 子Deco

ONUのLANポートが1つなのは問題ありません。その1ポートを親Decoへ接続し、残りの有線機器は親Deco側のLANポートへ接続します。有線ポートが足りなくなった場合は、親DecoのLAN側へスイッチングハブを追加できます。

付属ケーブルはCat5eだった

Deco BE9300にはLANケーブルが1本付属しています。確認するとCat5eでした。

本体が2.5Gbps対応なので、Cat6AやCat8へ交換した方がよいのか少し迷いました。しかし、現在の楽天ひかりは1Gbps契約なので、短いONU―Deco間であれば付属のCat5eで十分です。

Cat6Aへ交換しても問題はありませんが、今回の1Gbps回線でCat8を使う実用的なメリットはほぼありません。まずは付属品で動作確認することにしました。

今後1Gbpsを超える回線へ変更する場合や、宅内配線を新設する場合はCat6Aを選ぶ予定です。

セットアップ

BUFFALOから乗り換えて感じた圧倒的な使いやすさ

これまでルーターはずっとBUFFALO製品を使ってきましたが、Decoのセットアップ体験はかなり衝撃的でした。

正直、使いやすさは圧倒的です。

基本的にはDecoアプリをインストールし、画面に表示されるガイドへ従って進めるだけ。親Decoの接続、SSIDとパスワードの設定、子Decoの追加まで、専門的な知識がなくてもサクサク進められます。

従来のルーター管理画面で設定項目を探して回る感覚とは違い、スマートフォンだけで導入が完結します。メッシュの追加、接続端末の確認、IoT用ネットワークの作成なども分かりやすくまとまっています。

今回、楽天ひかりの接続方式ではつまずきましたが、それ以外のセットアップ体験はかなりよかったです。

旧ルーターと同じSSID・パスワードを設定

多数の3DプリンターやIoT機器を1台ずつWi-Fiへ再登録するのは大変です。

そこでDecoのメインネットワークには、WXR18000BE10Pで使っていたものと同じSSIDとパスワードを設定しました。BuffaloのSSIDの皮を被ったDeco爆誕。

SSID、パスワード、暗号化方式が一致していれば、ルーター本体が別メーカーへ変わっても、多くの端末は以前と同じネットワークとして自動的に再接続します。

ただし、同じSSIDをDecoへ設定する前に、旧ルーターの電源は完全に切っておきます。同じ場所で同じSSIDの異なるネットワークを同時に動かすと、端末が意図しないルーターへ接続する可能性があります。

また、Wi-Fiへ再接続できても、DHCPで割り当てられるローカルIPアドレスは変わる場合があります。スライサー、Klipper、Home AssistantなどへIPアドレスを直接登録している場合は、再検索やアドレス予約のやり直しが必要になる可能性があります。

また以前と異なるのは同じSSIDでも2.4/5/6GHzが機器によって切り替わるというところ。面倒なので2.4GHzの名前でSSIDを作ってるものの中身はもう違うものです。

【追記 2026/07/22】しばらくテストして問題なかったので、SSIDとパスワードは新しいものへ変更しました。旧ルーターのWXR18000BE10Pを手放す予定があるため、引き継いだ認証情報をそのまま使い続けるのは避けました。同じように旧ルーターの売却・譲渡を考えている方は、SSID・パスワードの変更と旧ルーター本体の初期化を済ませておくと安心です。

最大のつまずきは楽天ひかりの接続方式

楽天ひかりで利用されるIPv4 over IPv6サービスは「クロスパス」で、通信方式としてはDS-Liteに分類されるらしいです。

Decoの接続方式一覧には、以下のような項目が並んでいました。

  • Dynamic IP
  • PPPoE
  • v6プラス
  • IPv6オプション
  • OCNバーチャルコネクト
  • transix
  • Xpass
  • v6 connect
  • Other DS-Lite

ここがかなり分かりにくいポイントです。

クロスパスがDS-Lite方式だと分かっていると、「Other DS-Liteを選べばよいのでは」と考えてしまいます。しかし、楽天ひかりでは専用項目の「Xpass」を直接選ぶのが正解でした。

初回ファームウェアアップデート後に設定が維持されなかった

初期セットアップでは楽天ひかりへ接続できていましたが、導入直後にファームウェアを更新すると、インターネットへ接続できなくなりました。

今回の環境では、アップデート前に使用していた楽天ひかり向けの接続方式が維持されなかったようです。確認中には「transix」と表示されていた場面もありました。

復旧を試みる過程で「Other DS-Lite」を選択したところ、保存後には「v6 connect」が選択された状態になりました。しかし、transixもv6 connectも楽天ひかりのクロスパスとは別のサービスなので、この状態では接続できませんでした。

チャッピーに相談したところ「Xpass」に繋げとのお達し。

最終的には、以下の設定で復旧しました。

Decoアプリ
→ その他
→ 詳細設定
→ インターネット接続
→ IPv4
→ Internet Connection Type
→ Xpass
→ Save

いっぱい並んでますがXpassが正解です。

楽天ひかりの場合は、transix、v6 connect、Other DS-Liteではなく、最初から「Xpass」を選択します。

アプリのガイドに従えば簡単に導入できるだけに、初回アップデートでWAN側の設定が維持されなかったのは完全に盲点でした。ファームウェア更新後も既存の接続方式を維持するか、少なくとも「接続方式を再確認してください」と案内してほしいところです。

同じ症状が起きた場合は、すぐに初期化せず、まずIPv4の接続方式がXpassになっているか確認するのがおすすめです。

Xpassの設定場所はIPv6タブではなくIPv4タブ

もう一つ分かりにくかったのが設定場所です。

クロスパスは「IPv4 over IPv6」なので、IPv6設定の中にあるように思えます。しかし、DecoアプリでXpassを選択する場所はIPv4タブです。

Xpassへ変更後、子Decoの復帰には少し時間がかかった

Xpassへ変更すると、親Decoのインターネット接続は復旧しました。

ただし、子Decoがメッシュネットワークへ戻るまでには少し時間がかかりました。

ファームウェア更新やWAN設定変更後は、子Decoも再起動し、親Decoとの接続やメッシュ情報を再確立します。アプリ上で一時的にオフライン表示になっても、すぐに初期化せず、数分から10分程度は待った方がよさそうです。

今回はしばらく待つことで、親Decoと子Decoの両方が正常に復帰しました。

ネットワーク設計と機能設定

2.4GHz固定のIoTネットワークも作成

Decoでは、メインネットワークとは別にIoT機器向けのSSIDを作り、使用する周波数帯を固定できます。

今回は将来のトラブル対策として、2.4GHz専用のIoTネットワークを別SSIDで作成しました。

現時点では既存のプリンターをすべてIoTネットワークへ移さず、メインSSIDで問題が発生した場合の予備として用意しています。

古いIoT機器や3Dプリンターでは、2.4GHzにしか対応していない、2.4GHzと5GHzが同じSSIDだと初期設定できない、バンドステアリングとの相性が悪い、といった問題が起きる場合があります。その場合は、問題が発生した機器だけを2.4GHz固定のIoT用SSIDへ移す予定です。

Fast RoamingをONにして様子を見る

メッシュを導入したので、Fast RoamingもONにしてしばらく様子を見ることにしました。

対応端末であれば、スマートフォンやノートPCを持って家の中を移動したとき、親Decoと子Decoの間をスムーズに切り替えられます。

一方、Fast Roamingは802.11rを利用するため、古いWi-Fi機器や一部のIoT機器では接続に失敗する場合があります。TP-Linkも公式FAQで、接続できない端末が発生した場合はFast Roamingを無効にするよう案内しています。

2階の3Dプリンターが1部1階のものに繋がったりしてて興味深いです。

3Dプリンターのように設置場所から動かない機器にはFast Roamingのメリットはほぼありませんが私のスマホとかで恩恵を受けるがためだけに使ってます。

MLO用SSIDはひとまずOFF

Deco BE9300は、Wi-Fi 7のMLO(Multi-Link Operation)に対応しています。

MLOは5GHzや6GHzなど複数のリンクを同時に利用し、対応端末との通信速度、遅延、安定性を改善する機能です。

ただし、今回はルーター交換直後なので、まずは通常のメインネットワークで安定性を確認するため、クライアント向けのMLOネットワークはひとまずOFFにしました。

今後有効にする場合は、メインSSIDやIoT用SSIDとは別にMLO専用SSIDを作り、Wi-Fi 7対応端末だけを接続する予定です。

メインSSID:従来の端末と6GHz対応端末
IoT用SSID:2.4GHz固定
MLO用SSID:Wi-Fi 7/MLO対応端末のみ

MLO用SSIDのON/OFFは、クライアント端末向けネットワークの設定です。クライアント向けMLO用SSIDとは別に、Deco同士の経路や使用帯域はシステム側で自動管理されます。

現在の楽天ひかりは1Gbpsなので、MLOを有効にしてもインターネット回線自体が1Gbpsを超えるわけではありません。主なメリットは、Wi-Fi 7対応端末との無線リンク、ローカル通信、電波状況に応じた安定性の向上です。

使ってみた感想

同じSSIDのまま6GHzへサクサクつながるのがアツい

実際に使い始めて特によかったのが、同じSSIDのまま6GHzへ接続できることです。

利用者側で2.4GHz、5GHz、6GHzのSSIDを毎回選び直す必要はありません。対応端末なら、Deco側が利用できる帯域や接続先ユニットを判断し、高速な6GHzへ接続してくれます。

日常的な操作は以前と変わらないのに、対応端末では6GHzの高速通信を利用できます。このサクサク感はかなりアツいです。

6GHzは壁や床を通過しにくい周波数帯です。今回、階下でも快適になったのは、親機から6GHzが強く貫通しているというより、2台のDecoによって利用場所の近くにアクセスポイントを配置できた効果が大きいと思います。

単体ルーターの最大速度だけでなく、必要な場所へメッシュノードを置けることの方が、実際の使い勝手には効いてきます。

WXR18000BE10Pとの体感差

WXR18000BE10Pは、見た目もかなり厳つく、価格もそれなりにするハイエンドモデルでした。

しかし、少なくとも自宅の木造住宅では階下まで電波が十分に届かず、スペックの高さを活かし切れていませんでした。

無線環境は間取り、設置場所、壁や床の材質、周囲の電波状況によって大きく変わります。そのため、WXR18000BE10Pがすべての環境で弱いという話ではありません。それでも今回の自宅環境では、単体の高性能ルーターよりDecoを2台配置した方が明確に使いやすくなりました。

Decoは外観も比較的シンプルなので、リビングや階下へ子機を置きやすい点も気に入っています。アンテナが目立つ大型ルーターと違い、メッシュノードを生活空間へ置く心理的なハードルが低いです。

Deco同士の無線バックホールは何GHz?

親Decoと子DecoをLANケーブルで接続しない場合、Deco同士は無線バックホールで通信します。

この通信は「6GHzだけ」といった単一帯域への固定ではありません。TP-Linkの製品説明では、Deco側が通信状況に応じて最適な経路と帯域を選択し、Wi-Fi 7のMLOもワイヤレスバックホールへ活用すると案内されています。

近距離や見通しのよい場所では5GHzと6GHzを中心とした高速な通信が期待できます。床や壁で6GHzが弱くなる環境では、より届きやすい帯域へ比重を移すと考えられます。実際に使われるリンクは、ユニット間の距離、障害物、干渉、負荷によって変化します。

BE9300の仕様は2.4GHz・5GHz・6GHzの3バンド構成で、独立した第4のバックホール専用バンドは記載されていません。これらの無線リソースを端末接続とバックホールで共有する構成です。

可能であれば、2台をLANケーブルで接続して最大2.5Gbpsの有線バックホールにするのが最も確実です。ただし、現状の無線バックホールでも1Gbps回線を利用するには十分な余裕がありそうです。

今後試したいこと

炎天下は爆速ネットで在宅勤務したい

これから本格的な夏になり、外へ出るのも厳しい炎天下の日が増えてきます。

そんな日は無理に出社せず、在宅ワークを中心にしたいところです。自宅のネットワークは会社より速いので、通信環境だけを見れば自宅の方が快適かもしれません。

同じSSIDのまま家の中を移動でき、対応端末は6GHzへ接続。オンライン会議、クラウド作業、ファイル転送をしながら多数の3Dプリンターも接続する環境では、単純な最高速度だけでなく、家全体をカバーできることが重要です。

1Gbps回線ではまだ本気を出し切れていない

現在使用している回線は楽天ひかりの1Gbpsプランです。

Deco BE9300は各ユニットに2.5Gbps対応ポートを4つ搭載し、無線側もWi-Fi 7、6GHz、MLOに対応しています。インターネット用途だけを見ると、まだ本体性能を使い切れていません。

楽天ひかりでも10Gbpsプランへ変更したいところですが、現在の環境では選択できる10Gbpsオプションがありません。

なお、Deco BE9300の有線ポートは最大2.5Gbpsなので、10Gbps回線を契約しても、この機種単体で10Gbpsをフルに取り込めるわけではありません。それでも1Gbpsを超えるマルチギガ回線で、実際にどこまで速度が出るのかは試してみたいところです。

10Gbps回線やNASなどを組み合わせた、在宅ワーク・多数端末環境での検証案件があれば、ぜひお待ちしています。

まとめ

BUFFALOのルーターを長年使ってきた自分からすると、Decoのアプリを中心としたセットアップ体験はかなり新鮮でした。

親機の設置、メッシュの追加、SSID設定、接続端末の管理、IoT用ネットワークの作成まで、基本的にはアプリの指示へ従うだけで進められます。使いやすさについては、導入直後の時点でもかなり高く評価しています。

一方、導入直後のファームウェア更新で楽天ひかり向けの接続設定が維持されず、インターネットへ接続できなくなった点は惜しいところです。最新版にはXpass専用項目が用意されているため、更新後もその選択を維持してほしかったです。

それでも、WXR18000BE10Pを2024年に49,392円で購入したのに対し、Deco BE9300は2台セットを45,730円で購入できました。今回の自宅環境では、より安い実購入価格で電波範囲と使いやすさの両方を改善できたため、現時点では買い替えてよかったと感じています。

同じSSIDのまま6GHzへサクサク接続でき、階下でもメッシュ経由で快適に使えるのはかなりアツいです。

今後は多数の3Dプリンターを接続した状態での長期安定性、Fast Roaming、2.4GHz固定のIoTネットワーク、Wi-Fi 7対応端末でのMLOなどを確認し、使用感を追記していきます。

最近、大手サービスのサポートに連絡がつかなくなっている。AIチャットボットが窓口を占拠し、定型文を繰り返し、人間に繋がる前に会話が閉じられる。有料プランに加入していても、FacebookもInstagramもX(Twitter)も同じだ。

今回はその典型的な体験として、AIエージェントツール「Manus」での出来事を書いておく。

そもそもManusは好きなツールだった

JRRFのサイト制作をはじめ、様々な場面でManusを使い込んできた。自律的にタスクをこなすエージェントAIとしての完成度は高く、導入当初の体験は本当に快適だった。だからこそ今回のことが余計に残念だった。

事の発端

5月末、Manusのサブスクが更新前に課金された。$1,650。プランを下げるつもりだったが手が遅れた。

サポートチャットで相談すると、AIエージェント「Xiao」が即答した。

「返金処理しました。数営業日でカードに戻ります」

翌日、プランはFreeプランに落とされていた。返金は来なかった。

時系列

  • 5/31 AIが「返金しました」→ プランがFreeに落とされる。返金は来ない
  • 6/3〜4 別のAI「Ruby」「Raam」が対応。「1〜15営業日で戻ります」と言って会話を強制終了
  • 6/13(チャット) 再び問い合わせ。AI「Riley」が「条件を満たしていないため返金できない」の一点張り。人間オペレーターへのエスカレーションも拒否される
  • 6/13(メール) 正式な要求書をメールで送付。同日中に返信あり。「5/31に確認済み、6/4に再確認済み、返金は未処理」を書面で認める——チャットで「条件不満足」と言い張っていたAIが、メール窓口では事実を認めた
  • 6/19 Manus日本担当の方からメール。「遅くなり失礼しました」——そこでまた止まる
  • 6/21 状況を説明するメールを送る
  • 6/25 チャットのログを添付して念押し
  • 6/30 「いつ解決しますか。明日中に連絡ください」と期限を切る
  • 7/1 担当者から返金処理完了の連絡。Stripeから$1,650の返金領収書が届く

1ヶ月かかった。

チャット窓口は「記録を残すため」にある

このプロセスで気づいたのは、AIサポートチャットは問題を解決するためにあるのではなく、「対応した記録」を残すためにあるということだ。

チャットで詰まったとき、Xに状況をポストしたところ、知人が日本担当の方のアカウントにメンションしてくれた。これが人間の窓口に繋がった唯一のきっかけだった。

偶然の助けに頼らずに済む仕組みが、本来あるべきだ。

詰まったときに機能する2つの手段

今回の経験と、X(Twitter)の誤BAN対応なども経て、まともに機能すると感じた手段は2つだった。

1. クレジットカード会社へのチャージバック申請

サービス側が約束した返金を履行しない場合、カード会社に「支払い異議申し立て(チャージバック)」として申請できる。消費者保護の観点から設けられた正規の手続きで、企業側には対応義務が生じる。

2. BBB(Better Business Bureau)経由の苦情申請

アメリカの非営利消費者機関。日本からでもオンラインで申請でき、企業に対応義務が発生する。日本の国民生活センターより実効性が高いことが多い。

おわりに

Manusを全否定したいわけではない。JRRFのサイト制作はManusのエージェントAIがあったからこそ成し得た成果で、そこへの感謝は本物だ。様々な作業で本当にお世話になった。

ただ最近は基本的にClaudeやCodexへの切り替えが進んでいる。良いプロダクトを作るチームが、サポートの仕組みを後回しにしているのが惜しい。

FacebookもInstagramもX(Twitter)も含め、大手サービスのサポートが機能しない状況は今後も続くと思う。ユーザー側が「詰まったときの戦い方」を知っておくことが、現実的な対処になってしまっている。

紹介リンク

最後に、この記事で触れたツールの紹介リンクを置いておく。紹介リンク経由で登録すると、自分と登録した人の双方にクレジットなどの特典が入る。よければ使ってほしい。

Claude

おわりにで触れたとおり、最近はエージェント系の作業もこちらに寄せつつある。今のところ一番手に馴染んでいる。

https://claude.ai/referral/7qlfc8JEeA

Manus

エージェントAIとしての完成度は今でも高く、ハマる場面ではしっかり働いてくれる。ただ——この記事のとおり、解約と課金のタイミングにはくれぐれも気をつけてほしい。更新日の直前に自動課金される仕様なので、プランを下げるなら日付に余裕をもって手続きを。

https://manus.im/invitation/MAXWRWFHTPHLXW


なお、この記事は https://github.com/GOROman/nullevi03 を参考に構築した秘書Botに執筆してもらいました。

Snapmaker U1の周辺で、かなり面白い取り組みが始まりました。Snapmakerが、U1向けのソフトウェア、ハードウェア改造、ワークフロー、アクセサリーなどを作る開発者やメイカーを支援するために、Snapmaker U1 Innovation Fundを立ち上げています。

基金の総額は150,000ドル。執筆時点のレートで約2,700万円!内訳は、すでにU1や現代のFFF 3Dプリント環境に貢献してきたプロジェクトを支援するFounding Sponsorshipsが50,000ドル、一般の開発者やU1ユーザーが参加できるOpen Competitionが100,000ドルです。この記事内の金額、日程、受賞枠は、Snapmaker公式ページで公開されている情報に基づいています。

U1はSnapmakerだけで作られたわけではない、という姿勢

今回の発表で印象的なのは、SnapmakerがU1を自社だけの成果として見せていないところです。Full Spectrum、Moonraker、OrcaSlicer、Klipper、Fluidd、Surface Color Stitchといったプロジェクトに触れながら、U1は多くのコミュニティ技術の上に成り立っている、というメッセージを出しています。

KlipperやMoonraker、Fluiddのような基盤系のソフトウェア、OrcaSlicerのようなスライサー、さらにFull SpectrumやSurface Color Stitchのようなマルチカラー表現に関わる取り組みまで、U1の周辺にはオープンな開発の積み重ねがあります。そこに対してSnapmakerが資金面でも支える姿勢を見せたのは、3Dプリンター業界全体で見ても良い流れだと思います。

Open Competitionは2フェーズ制。Phase 1はすでに開始

Open Competitionは2つのフェーズに分かれています。Phase 1は2026年6月9日から9月7日まで、結果発表は9月30日。Phase 2は2026年10月1日から12月31日まで、結果発表は2027年1月22日の予定です。

区分応募期間賞金枠結果発表
Phase 12026年6月9日から9月7日50,000ドル2026年9月30日
Phase 22026年10月1日から12月31日50,000ドル2027年1月22日

各フェーズでは20件の受賞枠が用意されています。U1 Pioneerが3件で各5,000ドル、Eco-Enhancerが7件で各3,000ドル、Active Builderが10件で各1,500ドル。現金賞金だけでなく、受賞バッジや証明書、公式SNSでの紹介、新製品ベータへのアクセスも含まれます。

応募する場合は、最終的な条件を公式ページで確認しておくと安心です。

対象はソフト、改造、アクセサリー、ワークフローまで広い

募集対象はかなり広めです。スライサープラグイン、ハードウェア改造、ワークフロー、アクセサリーなどが例として挙げられています。応募の流れは、U1に関わるプロジェクトを作り、GitHubやブログ、自分のWebサイトなどの公開ページに載せ、Snapmakerのコミュニティチャンネルで共有したうえで、公式フォームから提出する形です。

審査では、技術委員会の評価が80%、コミュニティ投票が20%とされています。技術面では、新しい使い方を開く発想、再現しやすい公開性、実際のU1ユーザーが困っていることを解決する実用性が見られます。オープンソースは高く評価されますが、FAQでは、動作デモを共有できるならクローズドソースのプロジェクトも歓迎すると説明されています。

マルチカラー・マルチマテリアル3Dプリントの流れがさらに進みそう

U1は、マルチカラー・マルチマテリアル3Dプリントを強く意識した機種です。Snapmakerが今回の基金でソフトウェアやワークフローまで支援対象に入れているのを見ると、単に本体を売るだけではなく、ユーザーや開発者が作る周辺技術まで含めて育てたい、という狙いが見えてきます。

3Dプリンターは、ハードウェアだけで完結する製品ではありません。スライサー、ファームウェア、Web UI、色の扱い方、失敗を減らす運用方法まで、使う人たちの工夫で大きく化けます。今回のInnovation Fundは、その工夫にきちんと光を当てる取り組みです。

Phase 1の応募はすでに始まっています。U1向けに何か作っている人、あるいはこれから試したいアイデアがある人は、一度公式ページを見ておく価値があります。

関連リンク:Snapmaker U1 Innovation Fund

Snapmaker U1 – 5%オフクーポンコード: yuto_horiuchi
psych0h3ad.link/smU1

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どうも、YuTR0Nです。

今回はCrealityから共有いただいた資料をもとに、KliTek™ Nozzle Changing Technologyについてまとめていきます。

先に注意書きです。この記事内の数値は、特記がない限りCreality提供資料に基づく参照値です。自分の実測値ではありません。また公式ランディングページURLはまだ共有されていないため、リンクは提供され次第追記予定です。

ここ数年でマルチカラー3Dプリンターは一気に身近になりました。AMSやCFSのようなシステムのおかげで、家庭用でも多色造形を触れるようになったのはかなり大きいです。

ただ、単一ノズルで材料を切り替える方式にはどうしても避けにくいところがあります。前のフィラメントを戻して、新しいフィラメントを送り込んで、ノズルの中に残った材料を押し出す。これを色替えのたびに繰り返すので、印刷時間は伸びますし、パージ材も増えます。色混ざりを避けようとするとさらに捨てる量が増える。マルチカラーは便利だけど、ワイプタワーを見て少し遠い目になるあの感じです。

KliTek™は、その流れに対して別方向から攻めている技術です。材料だけを入れ替えるのではなく、ホットエンドを含むノズルアセンブリ側を切り替える。ここが今回の肝ですね。

KliTek™はツールヘッド丸ごと交換ではない

KliTek™は、ツールヘッド全体を交換する方式ではなく、ホットエンドを含むノズルアセンブリを交換する仕組みです。ノズルアセンブリの重量はフルツールヘッドの約5分の1とされています。

Creality KliTek nozzle kit
KliTek™のノズルキット。交換対象をノズルアセンブリ側に絞っている。

フルツールヘッド交換は構造として分かりやすい一方で、交換部が重くなりがちです。重いものを動かして、毎回きっちり同じ場所へ戻すとなると、それだけで難しくなります。KliTek™は交換する部分を小さくし、必要なところだけを入れ替える考え方です。最近の類似方式だとBondtechのINDXやInfimechのマシンなど。また、ホットエンドのヒーター加熱方式は誘導加熱方式ではなく「直接加熱」とのこと。効率をK2シリーズより高めたセラミックヒーターなどかな?と予想しています。Atomformのマシンは本当にノズルだけなのでまた別カテゴリ、ほかにはエクストルーダー混みでヘッドごと交換するPrusa XLやSnapmaker U1、WonderMaker ZR-Ultra、Flashforge Creator 5など。5/30-31開催のJRRFで見れるマシンも数多くあります。

https://japanreprapfestival.com

ノズル交換は5秒未満、材料交換は15秒未満という説明です。単一ノズル方式で毎回パージを挟む構造と比べると、待ち時間の考え方がかなり変わります。

KliTek quick-swap USB-C interface
USB-Cクイックリリースインターフェース。2本のネジでノズルキットを交換できる構成。

ここで大事なのは、速く交換できることだけではありません。交換したあと、ちゃんと同じ位置に戻るのか。ノズル交換式のマシンはそこが一番気になります。速くてもズレたら意味がないので。

センサーと位置決めでノズル交換後のズレを抑える

KliTek™搭載機は37個の高精度センサーを備え、そのうち12個がノズルキャリブレーション専用とされています。位置ずれは25ミクロン以内に抑えるという説明です。

12 sensors dedicated to nozzle calibration
ノズルキャリブレーション用センサーのイメージ。37個の高精度センサーのうち、12個がノズル校正専用とされている。

複数ノズル式で怖いのは、ノズルごとの高さやXY位置のズレです。特にマルチカラーやマルチマテリアルでは、ズレが外観だけでなく材料同士のつながり方にも出ます。水溶性サポートを使う場合も、モデル側とサポート側の位置が合っていないと、剥がれ方や接触面に影響が出てしまいます。

Precise XYZ repositioning
XYZ三軸方向の再位置決めイメージ。ノズルを入れ替える以上、戻り精度がそのまま造形品質に効いてくる。

KliTek™の説明では、軽量かつ剛性のあるフレーム、XYZ三軸の位置決め、FOCクローズドループモーター、Hブリッジモーターを組み合わせ、振動と位置ズレを抑える構成になっています。このあたりはかなり技術盛り盛りですが、ノズルを交換する以上、機械側の安定した繰り返し位置精度をどこまで詰められるかが本当に大事です。

Lightweight and rigid frame
軽量かつ高剛性のフレーム設計イメージ。交換部の軽さと戻り精度が重要になる。
FOC step servos and H-Bridge motor
FOCクローズドループモーターとHブリッジモーターの構成イメージ。交換後の位置決めを安定させるための制御まわり。

主な仕様を一度整理しておく

数字だけを追うと少し散らかるので、ここで一度まとめておきます。

項目数値・内容補足
ノズル交換時間5秒未満ノズルアセンブリを切り替える方式
材料交換時間15秒未満単一ノズル式の大きなパージとは発想が異なる
ノズルアセンブリ重量フルツールヘッドの約5分の1交換部を小さくする設計
高精度センサー数37個うち12個がノズルキャリブレーション専用
位置合わせ精度25ミクロン以内ノズル交換後の再現性に関わる部分
対応TPU硬度80A、85A、90A、95A柔らかいTPUまで視野に入れている
95A TPU流量15mm³/sS-Drive™との組み合わせ
85A TPU流量例3mm³/sインソール例として記載

TPUまわりがかなり気になる

KliTek™で個人的に一番気になるのは、実はマルチカラーよりTPUです。

TPUは楽しい素材ですが、扱いはなかなか面倒です。柔らかいので経路の中でたわみやすく、摩擦も増えやすい。押し出しが安定しないと、詰まり、アンダー、糸引きがまとめて出てきます。硬めの95A TPUならまだしも、80Aや85Aのような柔らかいTPUになると、普通のコンシューマー機では気軽に使える素材とは言いにくいです。

また湿気に弱いのでその点どのようなアプローチをとってくるのかも気になります。

CrealityはここにS-Drive™ Dual-Drive Technologyを入れています。後方から押す力と前方で引く力を組み合わせる押し引き方式です。フィラメントを長い経路でずるずる引っ張るのではなく、複数点で支えながら送ることで、柔らかい材料の変形と摩擦を抑える狙いですね。さらなる詳細情報公開が待ち遠しいです。

TPU KliTek integrated solution
S-Drive™はTPUの送りを安定させるための押し引き構成。柔らかいTPUほど経路内の摩擦と変形が効いてくる。

KliTek™は80A、85A、90A、95AのTPUに対応し、95A TPUでは15mm³/s、85A TPUのインソール例では3mm³/sの安定造形ができるという説明です。

業界一般の95A TPUが2〜3mm³/s、85A TPUは他の3Dプリンターでは成功率10%未満かつ約1mm³/sという比較も出ています。ただし、比較対象の機種や試験条件までは細かく明記されていないため、ここは参考として見るのが良さそうです。

それでも、柔らかいTPUを多色、多硬度、多素材で一体造形できるならかなり面白いです。靴なら、ソールは少し硬め、アッパーは足に沿うように柔らかめ、インソールはさらに柔らかめ、という作り分けができます。今までは分けて作って組むしかなかったものを、最初から一体で設計できる可能性が出てきます。

造形例を見ながら考えると、使い道が見えやすい

ここからは印刷サンプル系をまとめて載せます。本文中に1枚ずつ縦に置くと少し重たくなるので、横スクロールで見られるようにしています。スマホなら横にスワイプ、PCなら横方向にスクロールして見てください。

Multi-color multi-hardness multi-material TPU printing
多色、多硬度、多素材TPU造形のイメージ。靴やインソールのように、場所ごとに硬さを変えたい用途と相性が良い。
Multi nozzle diameter printing
複数ノズル径を使った造形イメージ。外観品質と内部充填の速度を分けて考えられる。
CMYK full-spectrum color palette
CMYKフルスペクトラムカラーのイメージ。4色を層ごとに混ぜ、色の変化を作るという説明。
PLA heart model printed with water-soluble supports
水溶性サポートを使ったPLAハートモデルのイメージ。複雑形状ではサポート処理のしやすさが効いてくる。

0.4mmと0.8mmを同じ造形内で使い分ける

複数ノズル径を同じ造形内で使い分け可能というのを最初から触れてる点もいいですね。ノズルキットは0.2mm、0.4mm、0.8mmなどのサイズに対応するとされています。

たとえば外壁は0.4mmノズルで細かく、内部インフィルは0.8mmノズルで一気に吐く。考え方はシンプルですが、普通の1ノズル機では印刷中にノズル径を変えられません。

全部0.8mmで印刷すれば速いかもしれませんが、外観の細部は甘くなります。逆に全部0.4mmで大物を印刷すると時間がかかる。外は細かく、中は速く。これが自然にできるなら、マルチノズルの価値はかなり分かりやすいです。

個人的にはここ、かなり実用寄りだと思っています。大型の治具、展示用モデル、ロボットの外装、ケース類など、外観はそれなりに綺麗にしたいけど内部はさっさと埋めたいものは多いので。他社マシンも物理的にはつけれても公式ではソフト側がまだスムーズに対応できていないケースが多いです。

CMYKフルカラーと水溶性サポート

KliTek™はCMYKの4色を層ごとに混ぜ、色の変化を作るフルスペクトラムカラーも打ち出しています。フィラメントの色数に縛られず、狙った色に近づけるという話ですね。最近のトレンドですね。

ここは実際の発色、スライサー側の使いやすさ、色の再現性がかなり大事になりそうです。フルカラー系は見た目のインパクトが強いぶん、思った色にならないと逆に気になってしまうので、どこまで扱いやすく落とし込めているかはぜひ見たいところです。

1つのノズルで水溶性サポート、別のノズルでモデル本体。複雑な中空構造や入り組んだ形状では、サポートを水に溶かせるだけで設計の自由度がかなり変わります。ただサポート材は折れやすい、吸湿しやすいといった話題に尽きないのでその点どうなるか気になるところです。

サポート材を外すために形状を妥協する、という場面はかなりあります。特に内側に入り込むサポートは本当に面倒です。そこを材料側で解決できるなら、医療モデル、教育用モデル、透明外装と内部構造を組み合わせた展示物など、いろいろ遊べそうです。

材料ロスはどこまで減るのか

KliTek™はパージ廃棄をワイプタワー中心に抑えられるという説明になっています。単一ノズル式のように、色替えのたびにノズル内を大きく押し流す構造ではないため、材料ロスを減らしやすいという理屈です。

Material consumption comparison
材料消費比較のイメージ。KliTek™ではパージ材を抑える方向性が示されている。

もちろん、実際の削減量はモデル、色数、材料、スライサー設定でかなり変わるはずです。なのでここも、数字だけで判断するより、同じモデルを複数の競合マシンとKliTek™で出したときにどれくらい差が出るかを見たいところです。

現時点で気になるところ

かなり面白い技術ですが、気になるところもあります。

まずはキャリブレーションの安定性です。25ミクロン以内という説明はかなり攻めていますが、長時間印刷、複数素材、ノズル交換を何度も繰り返したときにどうなるか。ここは実機でないと分かりません。

次にスライサー側です。マルチカラー、多硬度TPU、マルチマテリアル、ノズル径切り替え、CMYK、水溶性サポート。できることが多いぶん、設定が複雑になるとユーザー側の負担も増えます。ハードが良くても、スライサーで迷子になると結局使われなくなるので、プリセットや自動化の作り込みはかなり重要です。

あとはノズルキットの価格と入手性。ツールヘッド全体を交換する必要がなく、交換コストを削減できるとされています。交換部品は消耗品でもあるので、実際の価格と供給はかなり大事です。ポチって何日で届くかも気になりますね。

まとめ

KliTek™は、ただノズル交換が速いだけの技術ではなく、マルチカラーやマルチマテリアルで避けにくかったパージ、待ち時間、材料ロス、TPUの扱いにくさを、構造側から減らそうとしている技術に見えます。

個人的には、マルチカラーよりもTPUと複数ノズル径の使い分けがかなり気になります。柔らかい素材を複数硬度で一体造形できるようになると、靴、インソール、グリップ、クッション、タイヤ系の模型、医療モデルあたりはかなり遊べそうです。

弊ブログでレビューも是非していきたいところです!

どうも、YuTR0Nです。

【更新 2026/07/17】KARAKSA™ FはSK本舗でも買えるようになりました。購入はこちら → サンステラモール / SK本舗

今回は旭化成さんに面白いフィラメントを提供いただきました!そう、家にあるラップとかでもみるあの、あの旭化成さん!!実は昨年JRRF2025でも協賛企業として参加いただいていました。

「繊維強化フィラメントだけど真鍮ノズルでも0.2mmノズルでもOK」

そんな夢のようなPA-CNF系統のDXとBXをいただきました。既に展示会でのサンプル展示などは多くしており見たことある人も多いかもしれません。フィラメント名、KARAKSA。

今まで触ってきたのはやはり主に扱いやすいフィラメントがそうはいっても多く「フィラメントは絶対乾かさないと!」というイメージばかり先行してたのですがちょっとKARAKSAは面白い側面もありました。(後述)

H2Sの記事でもエンプラに対しての学びが多かったですが本案件も知見がまた広まる機会になりました。

また近頃はいろいろ物騒ですがKARAKSAはセルロースのナノファイバー(CNF)の製造、樹脂との混錬、フィラメント化を全て国内で実施した国産フィラメントということで完全に外で作って輸入されているフィラメントよりやはり安心感も。

※本記事中リンクにはアフィリエイトリンクを含みます

そもそもCFでもGFでもないしCNFって何?

繊維強化フィラメントにもいろいろ種類がありだいたいAmazonなどで買えるのはCF(短繊維の炭素繊維)やGF(ガラス繊維)強化のものがメジャーだと思います。今回のものはそれとは別物の「CNF:セルロースナノファイバー」。

繊維が細かいゆえに側面の表面はGF・CF系と比較するとあまり積層感が隠れるといった効果は薄れますが、CF系でよくある印刷物を削った際などに細かい繊維が指に刺さってるというような事故が発生しないのが良いです。

また「チキソトロピー性」に優れているという特徴があります。

オーバーハングなどに強く、まただらだらダレることなく切れ良く印刷できる特性…とかみ砕くのが適切そうでしょうか?

冒頭で真鍮ノズルや0.2mm径ノズルでも印刷可能とさらっとかきましたが

CNFの直径は10~100ナノメートルに対しCFは7マイクロメートルほど。

ここで単位が怪しくなった人は私と一緒におさらいしましょう。

1マイクロメートル[μm]=1,000ナノメートル[nm]

いかに細い繊維なのかがよくわかりますね。真鍮ノズルでも摩耗が少ないというわけですが、最近のマシンは真鍮ノズルではなく硬化鋼やステンレスが多め。なのでメリットがないのでは? いえいえそんなことはありません。そもそも普通繊維強化系は0.4mmノズルでも詰まってしまうことがあります。そういった要因で部品交換しなくてはならない頻度が減るという恩恵。あとは他繊維強化系に対し摩耗が少ない→ノズル径の変化が微小なため同じ品質で長期間印刷できるというメリットもありますね。

これだけ良いとこどりをしていて0.45MPaでの荷重たわみの温度が170℃~190℃とのこと。

また摺動性も優れており、2kgfの力を加えた状態で往復摺動試験実施でも圧倒的に低いCOF(摩擦係数)を見せつけています。

実験方法:旭化成さん資料より
実験結果:旭化成さん資料より

実際の試験結果一部がこちら

ABS PA6/CF KARAKSA™ F
PA/CNF
比摩耗量
mm³/(N·m)
ABS 摩耗痕 PA6/CF 摩耗痕 KARAKSA F PA/CNF 摩耗痕
比摩耗量
mm³/(N·m)
1.98×10−3 1.08×10−4 5.62×10−5
ABS
ABS 摩耗痕
比摩耗量 mm³/(N·m)
1.98×10−3
PA6/CF
PA6/CF 摩耗痕
比摩耗量 mm³/(N·m)
1.08×10−4
KARAKSA™ F PA/CNF
KARAKSA F PA/CNF 摩耗痕
比摩耗量 mm³/(N·m)
5.62×10−5

最初の難関

まずは下ごしらえから。

乾燥は推奨条件だと

  • 熱風乾燥機:100℃ × 7hもしくは120℃ x 2〜4h
  • 真空乾燥機:80℃ × 48~72h

さて、これはちょっと条件が限られてきますね。真空乾燥機なぞは仕事で使っていない限りはあまりないような…となると熱風乾燥機。とはいっても120℃でる製品…。

そもそも簡単に手に入るレンジではなくせいぜい近しくてもE2ですが110℃と微妙に満たないスペックかつサイズ専有も大きいので取りあえず家にあるAMS HT(85℃)とEIBOS Polyphemusの2世代目(80℃)、Creality SpacePi X4 (85℃)を使用。

使用感としては開梱してすぐ突っ込んで使用していない際はシリカゲルと密閉、使用前に8時間くらいのデフォ設定で乾燥をかける程度で実用できることはわかりました。(梅雨とか夏の時期はまだ未検証)

印刷設定・準備

テストは主にBambu Lab H2SとP2S、QIDI Q2、Snapmaker U1にて。

CNFは0.2mm径でも問題ないことはP2Sで確認できたので推奨されてないですがHFノズルの0.4mmをH2Sでは使用しました。(HFノズルの恩恵はなんもないので普通のバージョンで問題ないです)

プレートはどのマシンもテクスチャPEI(デフォプレート)にケープ3Dエクストラキープ無香料を吹き付けて使用。

こちらの300g x2本がおススメです :

個人なら問題ないと思いますが会社で買うときは…ごり押しで買ってもらいましょう!消耗品!安い!

どうしても難しい場合はみんな大好きしわなしPiTノリなどでも。中学とかの頃この糊で糸を紡いだのが懐かしいです。蓋に指でなんども糸を掛けていくと布みたいな感じで…脱線。

マルチカラーユニットOK(AMS/QIDI BOX)

Bambu LabのAMS2 Pro、AMS HT、QIDIのQIDI BOXまたそれに加えSnapmaker U1それぞれすべて経路バイパスせず普通に使用することができました。マルチマテリアル、マルチカラーで使わないにしろこれらでそのまま使えると楽なこと間違いないですからね。ただなんでもロードしっぱなしはリスクなので印刷をしばらくしないときはアンロードしておくのがいいと思います。

P2Sで使う場合はマシンをだます必要がある

PLAだけ使っている人はあまり遭遇はないと思いますがBambu Labのマシン、例えば最近の世代のマシンはなぜかEngineering Filament向け!といってる割に全然選択肢がありません。0.4mmのプロファイルなら良いですが0.2mmになると全くない!PCはあった!ということで高温タイプだしいいかという考えだけでPCフィラメントをベースにフィラメントプロファイルを作成。

0.2mmで別に他にもいろいろ素材は印刷できるよね?!という気持ちは抑えつつ…。

DXも温度だけ変えて使ってました

プレートはテクスチャPEI(Bambu Labはテクスチャードとテクスチャが混ざってますね)を使っていたので他の温度は変えていないです。流量(最大体積速度)4mm3 /sは私の方でテストした値です。

またマシン側でもPC素材として強引に設定。

0.2mmの場合はフローキャリブレーションは必ずオフにし、キャリブレーションはまずは初回手動で実施してください。(でもめっちゃ判断に困るのでとりあえずフローキャリブレーションオフで試し印刷でもいいかもしれません)

H2Sの場合はというと…しっかりGenericでPA-CFが増えているのでそれをベースにいじれば大丈夫です。出たばかりのころはいろいろなかった気もしますが。

我が家のH2Sはサンステラさんに提供していただいたマシンです。

https://psych0h3ad.link/SBBLH2S

Bambu Lab本家で在庫がないときに代理店はもってたりということもあるので本家のストアと両方確認してみるのがおススメです。P2Sのレビュー記事もそのうちアップ予定です。

QIDI Q2でもだましだまし

最近のマシンはどうもある意味難しいですね。

QIDI BOX側ではPA-CFとして設定が可能ですが、スライサー側で同期すると受け付けてくれません。

QIDI BOXではPA-CFとしてるので確かに同期ボタンを押すと出てきますが…確かにPA-CFのはずだけど

どこ行った!OKじゃないよ!!

そのため設定ファイルを作って手動で切り替える必要があります。

QIDIのPA12-CFあたりのフィラメント設定など適当に読んでそれをベースでいじります。

こんな感じで毎回指定。これはそのうちアップデートで改善されるとは思います。(リクエストしておきます)

スパースインフィルも100に下げてしまった方が良いとは思います。

隙間インフィルも下げといた方がいい気もしますがとりあえず私はこの設定で使っていました。

Q2は地味に印刷領域も広く価格も抑えられておりエンプラメインの方には非常にお勧めしたい一台です。ご購入はコチラ。

印刷してみて

ざっくりの乾燥ですが印刷ができなかったというケースはなく基本サクサクとテストができてよかったです。

ただ印刷完了後に特に0.2mmで印刷直後に力を入れるとバキバキ裂けるオブジェもありなぜだろうと頭を抱え旭化成さんに聞いてみたところ吸湿が肝!と教わりその後は無事に。

大物造形での反りは?

速度設定はというと…H2SのHF 0.4mmでは特に基本は変えていないので流量で頭を制限する形で使っていました。

https://www.printables.com/model/1468403-large-object-print-test

結果として反りなく完走!特に反りにくいことをうたっているDXの方でトライしました。

※破壊後のものです

この大物で最大流量時でおよそ200mm/sで印刷という感じでしょうか。

ただ速ければいいというわけではもちろんなく、実際この大型部品を破壊してみた感じ一部はやはり積層に沿ってしまっているところが見受けられるので実用は速度上限を下げるほうが良さそうですね。

またSnapmaker U1でもマルチカラーユニット向けのテストモデルではありつつ角部が反りやすいこちらのモデルも難なく印刷達成。初期がステンレススチールノズル仕様ということもありそのままで使えてしまうのは心強いです。

https://www.printables.com/model/937776-the-benchbin-multi-color-3d-printing-torture-test

接触面の少なくなる蓋部分もはがれることなく難なくゴール。

オーバーハングに強い

オーバーハングに強い特徴があるということなのでVORONのSBで

https://github.com/VoronDesign/Voron-Stealthburner/blob/main/STLs/Stealthburner/%5Ba%5D_stealthburner_main_body.stl

3DXTECH Obsidian™ PA6-CF

eSUN ePA-CF

Bambu Lab PA6-CF

PRINSFIL PETG-GF

Bambu Lab PA6-GF

KARAKSA DX

また先ほどSnapmakerでの印刷例であげたゴミ箱の突起部下部のオーバーハングでPLA VS KARAKSA DX。
写真じゃわかりにくかったのでガンダムマーカーもどきで色を塗りました。PLAの方では荒れているのに対しDXではきっちりとオーバーハング面でも印刷できているのがわかります。

デジタルマイクロスコープの操作ステージ

なんだか気持ち大学生に戻った気分でダブルヘリカルギアの製図方法をググりデザイン。

過去YouTubeでプリンターに適したギアデザインというような動画で見てからは必要な際は毎回なんとなくダブルヘリカルギアを作るようにしています。手間だけど…。

まず上下の位置固定用ねじは作りたくなかったのでミチミチの設計に。

最初は0.4mmノズルの感覚で緩めに作りBambu LabのPA6-CFなどで印刷していたもののキチキチに。更に緩めようかとも思いましたが0.2mmノズルがせっかく使えるなら!

若干そもそもの印刷の公差が良くなったことと表面性状の違いが功を奏してめちゃくちゃスムーズに。土台とラックギア側はDX、ほかはBXを使っています。

0.4mmノズルでは達成できなかった造形精度を

これはあくまで内径外径をキャリブレーションしたわけではなくノズル径の違いでどこまで変わるかというのを試す目的で。

こちらのドローンフレームのモーターマウント部を印刷してあります。

https://www.printables.com/model/1216454-project-synthara-generative-design-fpv-drone-frame

「印刷したけどなんかはまりが違うな?」もちろん調整するという手もありますしそもそも元のモデル自体を変える、それ以外にノズル径を変えるというのもやはり手法として選択肢が残されているのがKARAKSAの強味ですね。

PAや流量を調整してあげて綺麗に埋めることもできなくもないですが凝ったこともせず天面が綺麗に仕上がるのもKARAKSAの特徴です。

旭化成さん資料より

実際に使う際へのアドバイス

まず印刷終了後は吸湿を待つ!そう、吸湿を待ってください。

「早く板から外してサポートも外したい」というはやる気持ちを抑えプレートごとはずして1日くらいおいてあげたほうがベター。私はせっかちなので台所で滝つぼ修行に突っ込みサポート外しに取り掛かりました。形状によっては板ごとなるべく曲げないように丁寧にはずしてがいいかなと思います。0.4mmノズルは形状によってはあまりきにしなくていいかもですが特に0.2mmノズル造形の場合は。

力を入れたというか正確には細かい溝のサポート材を取るためにドライバーで軽くほじくっただけでピシッと線が入りあとは裂けるチーズの如く一周裂けていきました。

吸湿前に力を入れて破壊した場合

対して吸湿後に破壊した場合はこの通り。先ほどの部品とこちらの部品は左右対称です。

同じ印刷条件でもここまで変わってきます。私みたいにせっかちな人は滝修行にまずは出しましょう。

どんな人に向いているか?

今までナイロン系の強化繊維素材の印刷がなかなか難しくてあきらめていた人、CF入りは使えないがかといってGFは表面がざらざらしていて渋っていた…、わざわざノズルを交換するのが面倒で…などいろいろな理由でナイロンに挑戦してこなかった・できなかった人、または当時持っていた3Dプリンターでは印刷できずそもそも選択肢として考えていなかった人。

もちろんPLAやPETGである程度のものは作れてしまいますがやはり用途によっては難しかったり、PA強化繊維系フィラメントも扱いにくいものも多かったり。ブランドががちがちにスライサーで用意している初期設定なのに印刷できないフィラメントも良い例ですね。Bambu LabのPA系はことごとく初期設定で印刷できずPA6-GFなどはベッド80℃に下げてようやく成功しました。

そういった意味でもとりあえず温度さえ合わせて50-100mm/sくらいの領域でとりあえずサクッと攻め込んでいける手軽さはなかなかないなと思います。

摺動性といえばガイド部品やギア部品、ドローンフレームにも今まで考えてなかったような機構を一体造形で組み込んでみたり、サバゲー部品も相性がいいのではないかなと思います。私はといえばやはりもっぱらプリンターの部品をすってばかりではありますがちら載せした操作ステージは完成させて…そのあとはやっぱプリンター、摺動部をKARAKSAまんまで作ってみるとかで遊んでみようかなと思います。

購入先・キャンペーン情報

現在サンステラさんとSK本舗さんで購入可能です!

サンステラモール: https://psych0h3ad.link/KARAKSA

SK本舗: https://psych0h3ad.link/sk-karaksa-f

KARAKSA PA CNFフィラメント情報:

http://www.asahi-kasei.co.jp/karaksa/

旭化成エンプラ総合情報サイト:

https://www.asahi-kasei-plastics.com/topics/tech-09/

公式X: KARAKSAブランドの公式Xアカウントが登場しました!フィラメントの最新情報はこちらから → @KARAKSA_ASAHI

また旭化成さんにこのフィラメントについて直接聞きたいことがある!という場合は

こちらへお問い合わせくださいとのことです。(ページ右上)

今後の展望としては色の展開や他素材バージョンが気になりますね。

今回は案件をいただいたのでMeshyを試してみました。

全体的な印象としてメッシュが破綻しているようなモデルはなく3Dプリントもスムーズに行える感じで出力される傾向がありよかったです。モデルサービスによってはメッシュがガバガバだったり変に分離・穴が開いてることもあり、ゲーム内やレンダリングで使うならいいかもしれませんが3Dプリントに適していない出力が多いサービスもあります。

その点Meshyは相性が良さそうです。

こちらから登録で50%オフとなります!

https://psych0h3ad.link/Meshy

アカウント作成後は「ワークスペース」をクリックで各種生成機能へアクセスできます。

Meshyを主に使う用途は画像もしくはテキストからの3Dモデル生成かなとは思いますが実は画像の生成であったりテクスチャ生成なども可能です。

微妙な生成系ではなくNano Banana Proが使えるのもアツい!

まずは適当に作った画像で。

トランプさんを適当に作ってもらいました。まぁまぁの出来ですね。これはテキストベースで作ったので画像で作るとよりいい具合に仕上がりそうです。こんなモデルをポンポン作ってくれるわけですが現在7000万モデル以上あるようです。自分でモデルを作らないという場合も好きに使っていいよ!というライセンスで公開されているモデルもふんだんにあるのでゲームアセットをいい感じのを探したいという用途でも良さそうです。

お次は自分のモデルを。自分の写真をアップしてChatGPTで作ってもらいました。プロンプトは「俺の大理石の胸像 (腕まで含む)on a white background, minimal, 4K resolution.」

作ったモデルを直でBambu Studioなどに送れる機能も!もちろんダウンロードして取り込めばいいだけなのですがひと手間へらして作業できるのはよいですね。

簡単にボードゲームなどのような台座を追加する機能も。ちょっと微妙なモデルが多かったので拡充されてほしいです。

実際バンブーに送るを押すとこんな感じでポップアップ。

とりわけ問題ないとは思うので「はい」を選択

台座をいれたので怒られてますがとりあえずはい。

ちっちゃい!エラーが出た場合は絶対修復オプションを使ってください。印刷中の失敗の原因になったりします。

今回はSK本舗さんにもらっていた大理石フィラメントでお試し。

ちなみにAIに優しそうな画像じゃなくて写真そのまま読み込んでもある程度作ってくれました。

創造編

画像生成AIを使う際はそれに適した画像を使うのがおすすめです。AIにはAIで最適化!

いくつか作例を。ここら辺はFFF3Dプリンターで作るにはちょっと細かすぎますがスケールアップもしくはレジン系で作るなら良さそうですね。「細かいオブジェクトを無いような感じ」的なものを指示…よりはAIにどんなプロンプトがいい?とそもそも聞いてしまうのがいいと思います。そこらへんはChatGPT、GeminiなりManusなりでやってもらうのがいいかなと思います。


ではもっと独創的な?ものはというと…

反射の部分がちょっと悪影響してそうです。

逆に既に既存のものを組み合わせたような場合はかなり綺麗に。

実際の製品のクイックモックアップ

ちなみに既製品路線で3Dconnexionの画像をなげてみたらやはり画面の反射のところが変にモデルに反映されてしまっていますね。でも結構いい感じのみため…。ぱっと3Dモデルを使いたい場合全然良さそうですね。

出力はfbx, obj, stl, glb, usdz, blend, 3mfが可能で、かつBambu Studioへ直で流し込みのオプションまであります。

また、サブスク以外にもクレジットを獲得できます。まずは私のリンク経由で50%オフを獲得しちゃってください!

https://psych0h3ad.link/Meshy

生成AI以外のメリットも

さて、生成機能が大半の人のメインで使いたい機能かもしれませんが3Dスキャナーを使うユーザーさんにも嬉しい機能が。「リメッシュ機能」優秀です。

まずは適当にアップロード。ワークスペースの右上にあるアップロードボタンから行います。

対応している形式はfbx, obj, stl, gltf, glbそして容量は100MB以下です。

まず読み込み時はこんな感じ。

メッシュで見たい場合は大乱闘スマッシュブラザーズみたいな丸いアイコンを押すと切り替え可能です。

早速リメッシュ。

SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!

めちゃくちゃ綺麗な感じに。もちろんこれは最初からCADで出してるものなのでリメッシュ機能を使う必要はないと思いますが、3Dスキャンモデルのリメッシュなどにめちゃくちゃ良さそうです。

ということでやはり何事も試すところから。RevopointでスキャンしたEIBOS Tetrasのハウジングをリメッシュ!

こちらがオリジナル。

こんな感じに。ここは平らにして!とかできるようになったらもっといろいろ幅が広がりそうですね。

Revopointユーザーならおなじみの像もこんな具合に。

他のユーザーが作ったモデルを見に行くとMeshyへの指示の仕方への参考になります。

こんな感じで確認できます

サンステラさんに提供いただいたのでじっくり見ていきましょう。

H2Sは執筆時点で500時間ほど使ってみました。後述のPTFEの長さ問題以外は特に問題なく優秀ですね。

※本記事中のリンクはアフィリエイトを含んでいます。

まず所感から。

「X1Cを使っててサイズでかいのが欲しい」

これです!これを買いましょう!

サンステラモール:https://psych0h3ad.link/SBBLH2S

以上!

とまとめたいところですがそもそも持っていない人もいると思うので自分なりの選び方のチャートを作ってみました。H2Sのレビューをのんびり書いてたらもう明日からH2Cがリリースなんですね!早すぎる開発速度!

あくまで3Dプリンター目線で書いてるのでレーザーなどの考慮はしていません。

※上記は自由に使ってもらって構いませんがクレジットを消して使った人は来年の昇給がなくなり切羽詰まった印刷が失敗しまくる呪いをかけます!!!

H2DやH2Cを買わずにH2Sを買うべきか悩む場合はメンテ性も考慮してみるといいと思います。H2D/H2Cはまだ使ったことがないのですが構造が複雑故にメンテナンスが必要になった際は手間がかかる場合があります。シンプルに単色で大きいものを印刷したい場合はH2Sでいいのかなと思います。H2CとH2Dの値段が同じという狂った状況なのでとりあえずH2Cでもいいのかなという気もしますがVortekへ印刷失敗品が何らかの形で巻き込まれるといった状況や使い倒してメンテが必要になったときどの程度差があるかは気になるところではありますね。

AMS2 Proを初体験

今までAMS初代だけだったので初めてドライヤー付きかつモーター強化されたAMS2 Proを触れる機会。

良いポイント:AMS初代と比べて負荷エラーに遭遇が少ない

悪いポイント:乾燥しながら印刷ができない。

そう、せっかく乾燥機能はあるんですがプリンターをずっと使ってる人だと使わずに一生を終える可能性も。あくまで印刷で使用していないAMS 2 Proのみ乾燥機能を使えます。2台以上の場合は追加でACアダプターが必要となります。また乾燥機能はリモートで制御不可能です。危ないので家電として禁止しているのかな?というところですがちょっと歯がゆいですね。

Polymakerの紙スプールで4巻以上の連続供給もトライしてみましたがもちろんスムーズに。

マルチカラーをしない場合でもAMSコンボがおすすめです。ちょろっとだけ残ったフィラメント使い切るのはなかなか面倒ですからね。

AMSの初代の様にバラバラにしなくてもメンテができる箇所が増えた点もいいですね。

私みたいにどうしても印刷中もドライヤー機能使いたいよなとか常時自動で乾燥したい人はこちら使ってみてください。EIBOSのTetrasが搭載可能になります。

https://makerworld.com/ja/models/2146457-eibos-tetras-dyas-ams-2-pro-adapter

PTFEが諸悪の根源

どうも大きなものを印刷し始めたら印刷中カチカチ定期的になって印刷も失敗。

理由は付属のPTFEチューブが短いゆえに左手前のあたりなどで印刷物があると抵抗がかかりエラー扱いされてしまうという現象。貴志産業さんとくろまめさんでも同様の問題があり我が家のマシンはPTFEの長さを60cmに延長することで解消しました。

印刷中にカチカチ音が変に聞こえるようならまずは自分のマシンのPTFE長さを確認してみるのが良いと思います。マシンは悪くないのでちょっと残念ですね。

青いほうはちょうど負荷がかかってますというエラー頻発であきらめたもの。

ホットエンド換装が鬼楽に

A1シリーズやH2Dでお馴染みのクイック交換スタイルなホットエンドになったおかげでX1Cと比較してホットエンド、サーミスター、ホットエンド冷却ファンと3つコネクターを挿し直す必要もなければねじ締めもなしという素晴らしい仕様に。

デメリットがあるとすればX1/P1シリーズ向けに大量に出ていた様々なマニアックなホットエンドの大半は使えなくなってしまったという点。魔改造して温度上限上げていたような使い方はちょっと難しくはなりましたが一般の人でそんな使い方は滅多にないので大体の方は特に気にしなくてもいいですね。

センサーが至れり尽くせり

みなさんがどのように使うかわかりませんが私は結構印刷終わったものを本体の上に積み上げたりすることも多く、H2SはPLA印刷時に稼働するフラップが天面と背面に一か所ずつあるわけですがここの上にも間違ってものを置きがち。

でも大丈夫です。センサーが異常検知して通知してくれるので壊れることはないです。また開いた状態で何か間にいれてしまい完了時閉まらない!といった場合も通知してくれます。ズボラユーザーにはうれしい機能。ちなみに初回起動時は背面フラップはシールすらはがし忘れてましたがセンサーのおかげではがし忘れに気づきました。

こちらは私が外し忘れた場所たち。センサー様様ですね。

逆にX1Cと比べると複雑になった部分も多く、インレット部分で乾燥あまりしてない強化繊維系フィラメントが折れて残っちゃった際の救出はX1Cに比べると手間が多い印象でした。材料をしっかり扱ってあげれば基本は快適に使えるかなという印象。

エンプラはどれくらいイケるのか?

ヒートチャンバーはあるが限界はある

H2Sでかいし大きなものを印刷したいな…

わかります。

ただ形状によってはやはりまだ難しさも。

今回は意地悪な超でかい物体をデザイン。

試したい場合はこちらをどうぞ

PC-ABS

こちらはぱっと見印刷できてそうですが…若干反りました。

そもそもPC-ABSの推奨印刷環境は90℃~100℃と記載もあるのでここまで逆に出たのはよしという感じですね。iPhoneケースなどの小物は難なく出力できました。

モデル:https://makerworld.com/ja/models/1808203-iphone-17-air-pro-max-phone-case

今回のデザインはピン角もあったりと印刷に優しくないデザインが多いのでデザインを工夫すればもう少し綺麗にでないわけでもないですがPC-ABS目的ならチャンバー温度を更に確保できるマシンがよいかなと思います。

https://psych0h3ad.link/PCABS

特にピン角は反りやすいのがわかりますね。

こちらも同様。

なだらかなカーブ部は結構粘ってくれます。可能な限りピン角を避けRのかかった緩やかな接地断面形状が良さそうです。もちろんWallを2から3にしたりInfillを増やすとまた更に難易度が上がってしまいますが…。

Polylite ABS

ABSにしてはかなり頑張った方にみえます。ただやはり完全にフラットをはいかずヒートチャンバーがあるとはいえサイズ/形状の考慮はある程度必要ですね。軽微な反りで、天面まで荒れるほどではないので用途によっては問題ない程度かなと思います。ビシッとこのような形状を印刷したい場合はさらに庫内温度を確保していくもしくはGF/CF配合のものを使ったりとちょっと別のアプローチが必要かなと思います。

PRINSFILさんにいただいてたPETG-GF

温度要求や耐候性などそこまでなければPETG-GFも候補に良いかなと思います。

GF系は総じて表面が細かいファジースキンの様になり積層感を隠せるので意匠的な用途にも向いています。

CC3D PCフィラメント

形状面でいけば例えばCC3DのPCフィラメントで印刷したこちらもしんどかったようです。材料x形状も重要なポイントですね。

https://amzn.to/4pCp4vR

今まで結構材料は適当な設定印刷してたのですがそれでは立ち行かないと気づきました。

Bambu Lab H2Sはプリセットが少なすぎる!

そう、なんだかせっかくヒートチャンバーも増えたわりには全然エンプラ向けの設定がなく、PLAやPETGがちょっとあるだけ。

もちろん自分でも作成できますがそもそもここに入ってるBambuフィラメントの設定もテスト済みなのか怪しいところ。というのも純正のPAHT-CFは純正設定でも反りまくり。

Polymaker PA6-GF

これはBambu Labのデフォ設定で印刷しましたが失敗。

印刷初期は良さそうに見えるけど…

反りました!残念!

ここで何を変えたか?

まずはPolymaker PA6-GFに記載されてる50℃まで下げる。

ヒートチャンバーの温度はBambu Labのだと60℃設定なのでとりあえず40℃まで下げる。

あとは印刷温度が低めだったので280℃-290℃あたりへ消音。

Brimの追加などはなしにビシッと出てくれました。はるかぜポポポさんありがとうございます!

PLAなどは正直雑でもいいですがこういった素材は結構ブランドごとに違いますししっかりと調整した方が良いということがわかる良い経験。

ちなみに0.4mmノズル0.2mm積層、Wall幅は全て強制で0.4mm、Wall/Top/Bottomが5、インフィルは40%でGyroidを使用。初期層速度は50mm/s、OH速度は25%:15mm/s、10%:20mm/sまで下げています。誰かの参考になれば。

ただ完璧ではなく複数一気に出そうとした際やはり反ってしまいました。

なぜかPoop撒き散らかしがち

複数のAMSをつなげたい!

マルチカラーのみならず複数素材を使うとなるとAMS 2 ProやAMS HTを複数使いたいところ。

しかしH2SはP2Sとは違って一か所しかPTFE接続箇所がなく、切り替えの度PTFEを繋げなおすのは手間だったので4 in 1 アダプターを購入。私はAliExpressから購入してしまいました。

更にいろいろつなげたい場合はWikiを参照してみるといいと思います。

https://wiki.bambulab.com/en/ams/manual/multi-model-AMS-compatibility-guide

AMS HT

AMS 2 Pro以外にもAMS HTを買ってみました。Bambu Lab PA6-CFフィラメントを使おうとしたら怒られました。そう、AMS HTのページだといけそうな感じですがフィラメントのページを見ると確かに未対応のようです。

PA6-GFが対応しててPolymakerのPA6-GFを使えてたのでてっきり使えるものかと思いましたが無理みたいです。繊維強化系を使いたい場合は事前に要チェックです!

地味Tips

もしサイズギリギリのものを作っていたり部品同士をゼロ距離レベルで配置した際にBambu Studioでエラーが出た場合はZ方向調整タイプをスパイラルから普通に戻してください。スパイラル状に動きながらホップすると本来のノズル位置以上に場所が必要になるので場合によってはエラーになります。ここはスライサー側で自動でカットしてくれるわけではないので一応参考までに。

PC-ABSとかビシッと出したい!どうしても…え?印刷できるんですか?

そうです。もちろん方法があります!そんな方は下記のプリンターを!

FUNMAT PRO 610 HT

https://psych0h3ad.link/S610HT

FUNMAT 310 NEO

https://psych0h3ad.link/S310N

個人ないし導入をちょっと検討するには…高い!ちょっと無理!

そうだと思います。そんな時はまずはお試し印刷をおすすめします。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000083219.html

サンステラさんのMeviyマーケットプレイスページはこちら

https://psych0h3ad.link/MeviySS

もし依頼してみようかなという際は弊ブログを見ました!と付け加えていただけると嬉しい限りです。(FUNMAT購入でもぜひ!)

610HTで印刷してもらったもの。ばっちばちに出ています。わかりやすいようにH2Sの中に置いてますがH2Sで印刷したものではありません。一部焦げてるところなどあるもののこちらは調整なしにとりあえず出してもらったサンプルなので通常納品時には発生しないかと思います。

こちらはちょっとスケールを変更して310 NEOで印刷してもらったもの。こちらもビシッと。

とはいえサクッとある程度の素材が綺麗に出てしまうH2Sのお値段…。

執筆時点でコンボ249,800円で買えてしまうので素材を代替できる候補があるならH2Sを複数台持ちの方が生産効率も高くダウンタイムもなくせて良さそうな気はします。

仮に400万くらいのマシンを買うと同じ予算で16台。16台のH2Sを取るか1台を取るか、H2Sを買って必要な時は外に頼るか。いろいろなシナリオがあるので自分のプランと相談してみてください。