【独占取材】3Dプリンター部品のPhaetus——親会社Runice創業者が語る20億円調達・ブランドの正体・日本戦略

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どうも、YuTR0Nです。

今回はPhaetusとその親会社のRuniceにフォーカスした独占取材記事となります!

2026年6月、3Dプリンター用ホットエンド/ノズルの世界的サプライヤーであるRunice(江蘇鋭力斯三維科技)が、約1億元(日本円でおよそ20億円)の資金調達を発表しました。完成機メーカーではなく、コア部品とシステムソリューションを担う企業への大型投資は、何を意味するのでしょうか?

このタイミングで、創業者のWu Jinさん、PhaetusブランドオーナーのFlyさん、技術担当のDonaldさんに書面での独占インタビューを実施。日本の半導体業界から始まった創業前夜、完成機が売れず、コア部品へと活路を求めた創業期、OEM・ODM 80%という数字、模倣に「追いつかせない」戦略、そして日本市場への本音まで、出し惜しみのない回答が返ってきました。

プリンターの部品を買うことが多い人やPhaetusのベータテスターなどやってる人は既に名前を聞いたこともあったかもしれません。RuniceはPhaetus、FusRock、Arkfly、Bulberといったブランド群を擁し、世界90以上の国と地域に製品を供給しています。そして2019年に生まれたPhaetusブランドは、今年で7周年を迎えました。Runiceの製品は使ったことないよな…と思っている方、それはごもっともでB2Bで販売しているからです。ただその客先はさらにB2Bの場合もあればB2Cな場合も。家に3Dプリンターがある人はもしかしたらその一部にRuniceの工場で切削された部品が使われているかもしれません。

RuniceとPhaetus、日本式に書くならルニースとフィータスです!

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以前蘇州工場で一緒にライブ配信しました!

蘇州の工場俯瞰図
Runiceロゴ

創業ストーリー(Wu Jinさん)

Q. 創業前は日本の半導体業界で働いていたと報じられています。日本時代はどんな仕事をしていて、その経験は今のものづくりにどう生きていますか?

Runiceを創業する前は、台湾、シンガポール、そして日本の企業で働いていました。日本で担当していたのは主に工程開発(プロセス開発)です。あの経験は私に非常に深い影響を与えました。製造業とは何かを、本当の意味で理解できたからです——製品を「作り出す」ことではなく、製品を「安定して良く作り続ける」ことなのだと。集中すること、精度をとことん磨き上げること、そして品質に対して常に畏敬の念を持ち続けること。それらを私はあの場所で学びました。

Q. 3Dプリンターとの最初の出会いは?初めて触った機械を覚えていますか?

2012年、ある大学で初めてRepRapの3Dプリンターを見ました。一番の衝撃は、その機械が自分自身の部品の一部を印刷できてしまうこと。「機械が機械を作る」という理念に強烈な印象を受けました。残念ながらその時は見学だけで、自分で触る機会はなかったのですが。

Q. 2013年当時、3Dプリンターはまだ完全にニッチでした。なぜ「完成機」ではなく「部品」で起業する道を選んだのですか?

多くの人は、私たちが最初から部品をやっていたと思っていますが、実は違います。創業当初は完成機を作っていました。しかし当時は市場がまだ立ち上がっておらず、機械は売れず、会社のキャッシュフローは苦しくなる一方でした。生き残るために、ノズルなどのコア部品の開発を始め、少しずつ技術と顧客と評判を積み上げて、今日まで歩いてきたのです。振り返ってみれば、あの転換こそがRuniceにとって最も重要な選択になりました。

創業当初のJinさん。オフィスにて(写真はJinさんより)

Q. 最初の製品と最初の顧客について教えてください。初の海外注文はいつ、どこからでしたか?

最初の製品は、1個のノズルでした。最初の顧客はDIYユーザーの方で、ネット経由で知り合ったのですが、残念ながらその後連絡が途絶えてしまいました。初めての海外注文は韓国から、2013年の冬のことです。当時の事務所にはエアコンすらなく、訪ねてきてくれた顧客は寒さで震えていました。今思い返すと、会社の環境はとても厳しかったけれど、誰もが未来への期待に満ちていた時期でした。

Q. RepRap・オープンソースコミュニティは創業期のRuniceにどんな影響を与えましたか?

私が初めて3Dプリンティングに触れた時に見たのが、まさにRepRapのプリンターでした。RepRapとオープンソースコミュニティは、Runiceがこの業界に入る原点だったと言えます。創業初期の顧客の多くは、世界中のオープンソースコミュニティのDIY愛好家でした。彼らは製品を買って使うだけでなく、自ら改善提案をしてくれて、私たちの継続的な改良を助けてくれました。そうした初期ユーザーの信頼とフィードバックと支えがあったからこそ、Runiceは最も苦しい時期を持ちこたえられたのです。オープンであること、共に創ること、ユーザーの声を尊重すること——それは今日まで受け継がれている私たちの理念になりました。

Q. 13年間で一番危なかった瞬間は?逆に転機になった注文・出会いは?

最も苦しかったのは、会社が倒産しかけた時ではありません。業界に変化が起きた時に、戦略の転換を即座にやり切れず、重要な成長機会を一度逃してしまったことです。実は私たちは、のちに業界トップへと成長する顧客と、かなり早い段階で協力関係を築いていました。しかし結局、その好機の窓を掴み切れなかった。この件は今日までずっと心に刻まれていますし、企業にとって最大のリスクは競争ではなく、自らを変えるタイミングを逃すことなのだと、より強く信じるようになりました。

Runiceの運命を本当に変えたのは、あるヨーロッパの顧客が与えてくれたOEM協力の機会です。あれ以降、私たちは本格的に国際市場へ入り、今日の研究開発体制と製造体制を少しずつ築いていきました。

Q. 経営者として尊敬する企業や人物はいますか?(業界内外問わず)

ずっと尊敬しているのはAppleとトヨタです。Appleからは究極の製品体験の重要性を、トヨタからはリーン生産と継続的改善を学びました。スティーブ・ジョブズも深く敬愛しています。単に「売れるもの」ではなく、「最高のもの」を作ることを貫き続けた人だからです。

Q. 今でもご自身で図面や試作品を見ますか?意思決定のスタイルを教えてください。

今でも時々図面は見ますし、重要なサンプル、特に革新性のある製品は自分の目で確認します。私は第一原理思考を信条にしていて、経験則に縛られるのではなく、問題そのものに立ち返って考えるのが好きです。最終的には結果を重視します。物事を本当にやり遂げられたかどうかは、過程における理由よりも重要ですから。

Q. Runiceの企業文化を一言で表すと?従業員に一番求めるものは何ですか?

私たちは一貫して「顧客の成功を中心に据え、物事をやり遂げる人を大切にする」を貫いてきました。私が最も重視するのは、単に頭が良いかどうかではありません。責任を引き受け、最後までやり遂げ、成長を続け、顧客と会社に価値を生み出せるかどうかです。

Q. ご自宅やデスクにプリンターは何台ありますか?最近個人的に印刷した物は?

家に1台あります。娘と一緒に、時々アイデア小物やおもちゃを印刷しています。

Q. 自社製品で一番愛着のあるもの、他社製品で「やられた」と思ったものは?

どうしても1つ選ぶなら、Dragonです。Phaetusにとって本当の意味での最初の代表作であり、多くのユーザーに私たちを知ってもらうきっかけになった製品ですから。もちろん業界には学ぶべき優れた製品がたくさんありますし、私たちは常にオープンな姿勢を保っています。

資金調達・経営(Wu Jinさん)

Q. 6月発表の約1億元の調達、使途として「コア技術」「デジタル製造」「国際ブランド」が挙げられていました。最優先はどれで、具体的に何をしますか?

コア技術の研究開発が、常に第一です。技術が製品の競争力を決め、企業の長期的な価値を決めるからです。デジタル・スマート製造は、その技術を高品質・高効率で形にするためのもの。グローバルブランド展開は、より多くの顧客に私たちの技術を知り、使ってもらうためのもの。3つは相互に支え合っていますが、すべては技術革新を核に据えています。Runiceが目指すのは、単なる部品サプライヤーではなく、3Dプリンティングのコア技術とシステムソリューションにおける世界有数のプラットフォームになることです。

Q. 投資家がなぜ今「部品専業」に資金を入れたと分析していますか?マルチヘッド・多材料化で、部品の価値はどう変わりますか?

投資家が評価したのは「部品会社」ではなく、「業界の基盤技術プラットフォームになりつつある企業」だと私は考えています。これまで3Dプリンティング業界の競争は完成機に集中してきましたが、今後はコア技術とシステム能力へと競争の軸が移っていきます。マルチヘッド、多材料、多工法、そしてAI技術の発展にともない、1台の3Dプリンターはもはや単純な機械装置ではなく、複雑なスマート製造システムになりつつあります。

この流れの中で、部品の価値も変わっていきます。これから問われるのは単体の部品ではなく、システム一式としてのソリューションです。例えば押出システムは、もはやホットエンドやエクストルーダー単体の話ではありません。モーション制御、材料特性、センサー、ソフトウェアアルゴリズム、温度制御と協調して動いて、初めて本当の性能を発揮するのです。

だからこそ私たちは、部品メーカーの未来の競争力とは、製品を1つ作ることではなくシステムを定義すること、部品を1つ供給することではなくプラットフォーム全体をエンパワーすることだと考えています。これがRuniceの進む方向です。私たちには完成機を作る能力もありますが、コア技術とシステムソリューションに専念する道を選びました。世界中のプリンターメーカーが、より速く、より良く、競争力のある製品を出せるように支援し、業界全体の発展を共に押し上げていきます。

グループ・ブランド構造(Wu Jinさん)

Q. Bulber Innovation Labでは今、何を研究していますか?誘導加熱や液冷のような次世代方式は視野にありますか?

Bulberイノベーションラボが焦点を当てているのは、次世代FDM積層造形のコア技術です。押出システム、熱マネジメント、モーション制御、材料、スマートセンシングといった方向ですね。誘導加熱や液冷などの新技術も研究範囲に入っています。ただし、新技術のための新技術はやりません。それが本当に業界の課題を解決するか、ユーザー体験を高めるかを重視します。3Dプリンティングをより効率的に、より信頼できるものに、そしてより広く普及させられる技術であれば、私たちは投資と探求を続けていきます。

Q. 各ブランド名の由来を教えてください(Runice、Phaetus、FusRock、Arkfly、Bulber)。

Runiceは「Run」と「Nice」の組み合わせです。Runは走り続けること、革新と実行を表し、Niceは卓越した製品、良い体験、開かれた協力を表します。走り続ける企業であると同時に、顧客のために価値を生み、パートナーに「Nice」と感じてもらえる企業でありたい。顧客が成功して初めて、Runiceの本当の成功がある——私たちはそう信じています。

FusRockは「FUS」と「ROCK」の組み合わせです。FUSはFusion(融合)。材料・技術・イノベーションの融合を意味し、FDMの熱溶融押出という核心工法にも呼応しています。ROCKは岩。高性能、信頼性、耐久性の象徴です。FusRockには、高性能複合材料の代名詞であると同時に、「材料イノベーションによって、3Dプリント品に岩のように安定した信頼性を持たせる」という理念を体現するブランドであってほしいと考えています。

FusRockロゴ

Phaetusは、ギリシャ神話の鍛冶の神ヘパイストス(Hephaestus)に由来する名前を現代的に再構成したものです。エンジニアリング精神、工芸へのこだわり、絶え間ない革新を表しており、これはPhaetusが貫いてきたブランド理念そのものです。だからこそ、スローガンを「Supreme Pursuit(極致の追求)」と定めました。

Phaetusブランドスライド(ヘパイストスとSupreme Pursuit)

Bulber——Bulberは「Bulb(電球)」と「-er(人)」を組み合わせた名前です。知恵と創造性で未来を照らす人々を象徴しています。Bulber.comは、世界中の3Dプリンティング開発者、愛好家、専門家が知識を共有し、共同開発に取り組むための共創プラットフォームです。技術の価値は共有と協力によって最大化される——それがBulberの基本思想です。

Bulberピクセルロゴ

Arkfly——Ark(方舟)+ Fly(飛翔)。3Dプリンティングのビルドプラットフォームモジュールの技術と製品に特化したブランドです。ブレークスルー性を持ち、ユーザーが既存の制約を飛び越えられるような、「もう一つの形」のプリントプラットフォーム技術を目指しています。

Arkflyロゴ

Q. OEMと自社ブランドの売上比率はどの程度ですか?顧客メーカーと自社ブランドが競合する場面は、どう整理していますか?

OEM・ODM事業が約80%、自社ブランド事業が約20%です。自社ブランドのPhaetusは持っていますが、完成機ブランドと競合関係にあると考えたことは一度もありません。私たちはむしろ「エンパワーする側」です。コア部品でブレークスルーを重ね、その成果を業界全体に届ける。顧客の完成機が良くなればなるほど、私たちの価値も大きくなる。互いに共に成長する関係なのです。

技術・製造(Donaldさん)

Q. Rapido XのLiber開発で、100mm³/s超を目指した時の本当のボトルネックは何でしたか?試作回数と一番の失敗談を聞かせてください。

ボトルネックは、Liberの分流流路のコーナー部と、チャンバー容積内の圧力勾配の不均一です。ノズルの入口・出口間の差圧が瞬間的に変動し、流量が安定しませんでした。流量サンプリングによるフィードバック制御はこの変動の影響を大きく受けますが、PIDパラメータが静的な固定値のままでは、動的な補償ができなかったのです。

TCT ASIA(上海) 2026にて公開

試作プロセスは、CFD流体シミュレーションによる設計反復を32回、サンプル試作を23回(構造部品、組み込みPCB基板)。最大の失敗談としては——当初は制御側の問題を疑い、PID制御の最適化を進めました。しかし、最適化後も複数サンプル間で限界流量に約10%のばらつきが残りました。最終的に突き止めた根本原因は、流路内径の加工公差でした。その後、流路内孔の寸法公差を管理下に置き、最終的にLiberのプリント品質を安定させました。

Q. 流量競争は頭打ちに見えます。次の差別化軸は何だと考えていますか?静音、メンテフリー、材料対応幅、それとも別の何か。

第一の主軸は材料対応力です(最も高い参入障壁であり、最も大きなプレミアムの源泉)。流量は数ある指標の一つに過ぎません。業界の本当の課題は、性質の異なるフィラメントへの対応と適合です。同じ材料名でも、色や添加剤の違いによって溶融特性や流動性は大きく変わります。例えば赤色と黒色のフィラメントを同一の押出システムで安定して印刷するだけでも、実際には高度な適合設計が必要です。柔軟なTPUと繊維入りPAの両立も同様です。突き詰めれば、多材料対応の本質は、多機能なアプリケーションへのニーズなのです。

第二の主軸は、静音と、産業向けの無人化・メンテナンスフリーです(量産工場ユーザーの必須要件)。現在の大流量機はモーターの高速動作時に騒音・振動が大きく、特に家庭ユーザーには受け入れられにくい。加えて、ホットエンドが詰まらないこと、ノズルに樹脂が巻き付かないこと、ビルドプレートからの造形物取り出しの無人化、自動キャリブレーション、ワンタッチ印刷……。スマート化と簡便化こそが、一般消費者がFDM 3Dプリンターに求める必須要件なのだと、常に突きつけられています。

Q. 同じ0.4mmノズルでも性能差が出ます。スペック表に出ない品質の正体は何ですか?内面粗度、同芯度、公差——御社は何をどう測っていますか?

本質は、ノズル微細孔の幾何公差の差にあります。特に重要なのは3つ。まず微細孔の同軸度。吐出孔とフィラメント孔の同心度は、内部のフィラメント流動抵抗に直結し、フィラメントをまっすぐ垂直に吐出できるかにも大きく影響します。また、吐出孔と外周テーパー面の同心度は、ノズル校正後の吐出孔の位置精度に直結し、ひいてはプリント精度そのものに影響します。次にノズル内壁の粗さ。内壁が粗いと樹脂が付着・滞留しやすく、流路内の流動抵抗に影響します。さらに悪い場合、長時間の樹脂の滞留が炭化を招き、最終的には流路の詰まりにつながります。そして微細孔の径公差。孔径公差は±0.01mm。この寸法の一貫性が、印刷中に複数のホットエンドを切り替える際のプリント一貫性を直接左右します。

検査は、内孔同軸度はキーエンスの光学画像式の微細孔同軸度測定機で、全長をセグメント分割してスキャンし、製品仕様に応じてミクロン単位で管理しています。内壁粗さはミツトヨの内孔粗さ計で、シフトごとに2個を抜き取って測定。孔径寸法は高倍率の工具顕微鏡と画像測定機で見ています。

検査エリアのごく一部。

Q. 検査は全数ですか、抜き取りですか?不良率はどの程度ですか?

特性ごとに検査戦略を変えています。重要寸法・公差(CPK要求のあるものなど)は、自動化設備による全数検査です(画像認識、接触式の2.5次元プログラム測定など)。例えば締まりばめ部の外径寸法などで、工程内で検出・選別される不適合率は約4%。一般寸法・公差は抜き取り検査で、工程内の不適合率は約2%です。

これらは出荷後の不良率ではなく、製造工程内で検出・除外される数値です。そして最終的な部品品質は、製造工程そのものと、その前段にあるDFM、PFMEA、SPCといった品質管理手法によって作り込まれるものです。

Q. タングステンカーバイド加工はどこが難しいですか?歩留まりの実際は?

超高硬度で、切削工具の硬度に匹敵するため、ダイヤモンド工具やレーザー加工といった特殊な工具・工法でしか加工できません。難削材ゆえに材料除去が遅く、工具が極めて摩耗しやすいため、寸法公差が外れやすい。さらにタングステンカーバイドは脆性が高く、入口の円弧部や孔口の薄肉部などは、わずかな力で微小な欠けが生じます。肉眼では見えないものもあり、稼働時の温度や圧力の影響で顕在化して、不良につながることがあります。社内基準で、完成品の総合歩留まりは約80%です。

業界構造・OEM(Wu Jinさん)

Q. 調達発表では、国内外大手数社への供給、90超の国と地域をカバーと語られていました。供給事例として具体的に語れるものはありますか?

顧客との取引の詳細に関わるため、具体的な社名は控えさせてください。例えば、あるブランドのマルチヘッドプリンターは、そのホットエンドと押出システムを私たちが一緒に開発したものです。初期の技術方針の検討から、試作検証、そして量産納入まで、全工程に参画しました。顧客がここまで深く関与させてくれるのは、ホットエンドや押出といったコア部品における私たちの研究開発力と、大量生産・納入の安定性を評価してくれているからだと思います。

Q. OEM先から来た「一番無茶だった要求」は何ですか?

私たちは、顧客の要求を「無茶」という言葉で表現することはあまりありません。3Dプリンティング業界の進化は速く、顧客の要求は「無茶」ではなく、「先を行っている」「挑戦しがいがある」ものであることが多いのです。強いて「一番手強かった」ものを挙げるなら、非常にタイトな期間で設計から量産までを求められたケースです。例えば、本来3か月の開発期間を6週間に圧縮し、しかも量産納入まで、という要求。こうした案件は何度か経験しましたが、顧客側も市場競争のプレッシャーの中で、そう求めざるを得なかったわけです。

その際、社内では2つのことをやります。1つは、どの工程なら加速でき、どこは品質のために譲れないのかを、顧客に明確に伝えること。もう1つは、社内に専任の即応チームを立ち上げ、技術レビュー・試作・テストといった工程を直列ではなく並行で走らせることです。結果として納入はやり遂げました——ただし代償として、チーム全員が連日残業し、週末も何度も潰れました。こういう働き方は、たまに1、2回ならできます。しかし常態化すれば、品質にもチームの健康にも良くない。だから事後には顧客と一緒に振り返りを行い、より合理的なプロジェクト計画づくりを支援しました。実のところ、こうした「無茶」は、Runiceへの信頼の表れだと受け止めています。他社にはやり遂げられないことを、私たちならできると信じてくれているのですから。

Q. 「純正より高性能な互換ヘッドをサードパーティ経由で買える」というアフターマーケット需要の伸びにも触れていました。独自規格化・純正囲い込みが進む中で、この市場の将来をどう見ていますか?

第一に、事実として認めるべきことがあります。クローズドなエコシステムは、業界が成熟へ向かう上で避けられない段階だということです。Bambu Labのような完成機ブランドは、ソフトとハードの深い統合によって、3Dプリンターを本当に「家電」のようにしました。箱から出してすぐ使えて、安定していて、信頼できる。完成機ブランドは、RFIDチップによるフィラメント識別やファームウェア認証といった方法で、サードパーティ部品に一定の制限をかけています。

第二に、しかし「制限」は「消滅」ではありません。サードパーティ部品の空間は今も存在し、むしろ拡大しています。グローバルの3Dプリンティング用部品・アクセサリ市場は、今後も継続的な成長が見込まれています。性能アップグレードは必須ニーズです。純正部品は通常「十分」を目指しますが、サードパーティ部品は「もっと良く」を実現できます。例えば当社の社内試験条件では、炭化ケイ素(SiC)ノズルは硬化鋼製ノズルに対して最大約7倍の耐摩耗性を確認しています。Conchシリーズのホットエンドは、Bambu LabやCrealityといった主要な完成機に対応しています。完成機ブランドがやっているのは「0→1」——より多くの人に3Dプリンターを使い始めてもらうこと。私たちがやっているのは「1→N」——すでに使っている人に、もっと良く使ってもらうこと。両者は対立関係ではありません。

第三に、私たちの戦略です。「対抗者」にはならない。「エコシステムの共創者」になる。まず、技術が根本です。Phaetusは海外向けに、すでに36種類のプリントヘッド・ホットエンドソリューションを開発しており、最高450℃の使用環境に対応します。次に、「開発者プログラム」型のエコシステム協力。完成機メーカーとコミュニティの開発者を交えた、三者での共創です。例えばCrealityと共同で、K2に適合する「DXC2」エクストルーダーを出しました。完成機ブランドを迂回するのではなく、彼らと一緒にエコシステムを作るのです。

この業界には2つの生存ロジックがあります。1つは、図面どおりの加工屋——顧客が渡した図面のとおりに作るだけで、顧客はいつでもサプライヤーを乗り換えられます。もう1つは、技術駆動——ホットエンドや押出といったコア部品を完成機メーカー以上に深く研究し、その成果を完成機の顧客にエンパワーして、より良い製品づくりを支援するあり方です。Runiceが選んだのは後者です。私たちは完成機ブランドの競争相手ではなく、コア技術を共に開発する社外R&Dパートナーに近い存在です。クローズド化が進んでも、サードパーティ部品市場は消えません。アップグレードするだけです——「安価な互換品」から「プロが選ぶ一級品」へ。この市場には、完成機ブランドとサードパーティ部品メーカーが共に成長できるだけの広さがある。そして私たちは、そのための準備を13年間続けてきました。

Q. クローン・偽物問題を長年経験してきたと思います。今、自社製品の模倣にはどう対処していますか?

正直に言えば、私たちの技術は確かに模倣されやすいのです。コア部品はすべてハードウェアとして形になっているので、分解し、測定し、複製するコストは極めて低い。模倣への私たちの考え方はシンプルです。防ぎ切ることは期待しない。追いつけなくさせる。

第一に、特許と商標は、取るべきものはきちんと取る。これは最低ラインで、少なくとも法的に権利を守る手段になります。第二に、そしてこれが最も重要なのですが、絶えず世代交代を続けて、技術の「代差」を保つこと。炭化ケイ素、EndCoatコーティング、大流量ソリューションと、私たちは毎年、新しい材料と工法を世代を重ねて出し続けています。模倣者が既存製品を追いかけている間に、私たちは次の世代へ進む。そうすることで、追いつきにくい技術的な距離を保ち続けます。つまるところ、模倣対策の核心は、守るだけではなく、走り続けることです。模倣する商業的価値が薄れるほど、速く進化し続けることです。

このトピックは個人的に特に聞いてみたかったところでした。実際元社員が始めたようなブランドもあったり、海外企業はコミュニティ発のデザインでも即座に特許にかかるのでと停止措置をとるところはあります。その点もちろん特許はあるものの振りかざすわけではなく自社で高品質な製品を開発しつづけていくことで引き離す。とても痺れますね。

FusRock(Wu Jinさん)

Q. 最近はエンプラ対応フィラメント(PA-CF、PPS、PPAなど)が各社から一気に増えています。FusRockはこの領域にどうアプローチしていく予定ですか?

PA-CFは、FusRockが世に出した最初の製品です。現在はPPSやPPAといった高性能エンジニアリングプラスチックも順次発売しています。エンプラの製品ラインナップは今後も充実させ続けますが、単純に材料の種類を増やすことは追いません。私たちが重視しているのは、これらの材料を産業の現場で本当に安定して、信頼して使えるようにすることです。そのためにPhaetusの高温押出システムと組み合わせ、材料・ハードウェア・プロセスパラメータ・アプリケーション検証を一体で共同開発し、ユーザーに完全なシステムソリューションを提供していきます。私たちの目標は、フィラメントをたくさん売ることではありません。ユーザーがエンプラを本当に使いこなし、産業レベルの応用を実現できるようにすることです。

人物・役割(Flyさん)

Q. Flyさんご自身のバックグラウンドは?Runiceに合流した経緯と、Jinさんとの出会いを教えてください。

私はUI/UX・ブランドデザイナーです。Jinさんの創業初期に、彼の3Dプリンターブランドのブランドデザインを手がけたのが出会いでした。2019年、JinさんがPhaetusブランドを立ち上げる時に私に声をかけてくれて、Phaetusのゼロイチのブランドデザインと構築に参加しました。ぶっちゃけて言えば、当時のJinさんは私のクライアントだったわけです。Phaetusのブランド運営を支援した5年間で、技術、エンジニアリング、ユーザー体験に対するJinさんの徹底したこだわりを肌で感じました。ブランド戦略の定義という大きな話から、性能パラメータ1つの決定という小さな話まで、どんなディテールも見逃さない。話し込み始めると朝までコース、ということもしょっちゅうでした。2025年、Jinさんから正式にPhaetusへ加わらないかと誘われて、これほど「とことんやり抜く」精神のリーダーについていけば絶対に間違いない、と確信しました。こうしてJinさんは、私のクライアントから、私のボスになったのです。

Q. 「Phaetusブランドオーナー」としての守備範囲は?製品企画・マーケ・販路のどこまで見ていますか?Jinさんとの役割分担は?

私はPhaetusブランドの運営全体を統括しています。マーケティング、セールス、そして製品プロジェクトの実行までが守備範囲です。Jinさんは3Dプリンティング業界の技術の方向性と市場の流れについて独自の見識を持っていて、技術・製品・市場について戦略的な方向づけをしてくれます。

Phaetusブランド論(Flyさん)

Q. Phaetusというブランドが体現したい価値を一言で言うと?

Phaetusが追求するのは、究極のプリント性能、長期的な安定性、そして幅広い互換性です。ユーザーが実際に価値を感じられるアップグレード製品を届けることが、私たちの使命です。究極性能——究極の性能は偶然の産物ではなく、卓越したエンジニアリング技術とPhaetus精神から生まれるもの。耐久・安定——安定は単なる結果ではなく、一つの基準。極限テストを重ねて、超長時間の稼働に耐える、正確で信頼できる製品を作り上げる。全方位互換——主要な機種に合わせて適合設計し、差し込むだけで素早くアップグレードでき、性能のポテンシャルを余すことなく引き出せる。

Q. Dragonシリーズはブランドの出世作でした。開発当時と発売後の反響で一番印象に残っていることは?

Dragonが世に出る前、市場にあるオールメタルホットエンドのほぼすべてに、致命的な弱点がありました。「繊細すぎる」ことです。レベリングの誤差でプリントヘッドがベッドと干渉・衝突したり、日常メンテナンスでノズルを交換しようとしただけでヒートブレイクが折れてしまったり。Phaetusの開発チームは独自の耐ねじり構造を設計し、熱伝導も徹底的に最適化しました。ねじりに耐え、衝撃に耐える。さらには「片手でノズル交換できる」という使用体験まで切り拓いたのです。

Q. RapidoがVoronコミュニティに広がった経緯は?ブランドとして一番誇らしかった瞬間はいつですか?

当時のVoronコミュニティは、まさに速度革命を迎えていました。その時点のプリントヘッドソリューションでは、プレイヤーたちの印刷速度への要求をもう満たせなくなっていたのです。そこにRapidoが、最大流量75mm³/s、片手でノズル交換できる耐ねじり構造、円筒形セラミックヒーターユニットといった尖った技術を引っ提げて登場し、ギークたちがDiscordやRedditで猛烈に薦め合ってくれました。そして多くのプリンターメーカーも、出荷時の標準プリントヘッドとしてRapidoを採用してくれたのです。

Phaetus Rapido 2.0 HF
Phaetus AliExpress公式ストア / AmazonPhaetus Rapido 2.0 HF ホットエンド
中国のインフルエンサーとコラボ展示のRapidoX展示機VORON Trident

Q. 製品ネーミング(Dragon、Rapido、Conch、Conweb…)は誰がどう決めていますか?

Phaetusのブランドまわりのワークフローは、非常にオープンで、ギーク的です。多くの会社のようにプロダクトマネージャーやマーケティング担当が決めるのではなく、各部門——特に研究開発——を巻き込んで、制限なしのブレインストーミングをやります。ブランド名の定義レベルの議論になると、翌朝、日が昇る直前まで語り合うこともよくありました。なぜ研究開発を巻き込むのか?名前を決める段階で、製品のコア技術をどう視覚的に表現するかまで考えられるからです。なぜこれほど多くの部門を参加させるのか?この衆知を集めるアイデア会議こそが、私たちにユーザーの視点で考えさせてくれるからです。

Q. 逆に、期待したほど売れなかった製品はありますか?そこから何を学びましたか?

あります。cocoonフィラメント乾燥ボックスです。この製品は工業デザインに相当力を入れて、機能面でも乾燥・重量計測・APIなどのオールインワン。ユーザーのDIY用にType-Cポートまで標準装備しました。cocoonのためにデジタルツインのウェブサイトまで開発し、3Dで製品を体験できるようにしたほどです。ところが発売後、ユーザーに評価されたのは見た目だけでした。私たちはユーザーの一番核心にあるニーズを見落とし、独りよがりに、上から目線で、「先進的だと思い込んだ機能」を山盛りにしてしまっていた——それを思い知らされました。以降は、Phaetusの技術をどう応用するか、ユーザーのニーズをどう本当に洞察するか、そしてユーザーが「気持ちいい」と感じられる製品をどう届けるかを、より重視するようになりました。

写真左奥がCocoon。以前工場へ行った際の写真。

Arkfly(Flyさん)

Q. Arkflyというブランドの正式な位置づけは?Phaetus名義の製品とArkfly名義の製品、線引きの基準は何ですか?

Arkflyは、3Dプリンティングの「ビルドプラットフォームモジュール」に関わる技術と製品のブランドです。押出システムの技術・製品はPhaetusに区分されます。線引きの基準は、FDM 3Dプリンティングの異なるコアモジュールを、それぞれ別のブランドに帰属させて深く育て、トータルソリューションを提供していくという考え方です。

TCT ASIA 2026で撮影した写真

Q. ホットエンドの会社がなぜビルドプレートに参入したのですか?Conwebの微多孔ポリマー膜・常温定着という技術はどこから来たのでしょうか?

FDM 3Dプリンティングのコアモジュールには、押出システム、モーション制御システム、ビルドプラットフォームシステム、スマート化システムなどがあり、そのどれもが「作り直す価値」のある領域です。Phaetusは、単にホットエンドを作っている会社ではありません。コンシューマー向け製品がホットエンドやノズル類なので、世間からは「ホットエンド・ノズルの部品ブランド」と見られがちですが、実際のPhaetusは、押出システム全体のソリューションプロバイダーです。多くの大手プリンターメーカーに対して、機種ごとに完全な押出システムソリューションを提供しています。そこには流路技術、フィード・押出技術、構造設計、そして材料ごとの印刷特性に適合させる技術(耐摩耗、非付着など)が含まれます。Arkflyも同じ発想です。ビルドプラットフォームというモジュールの、システムとしてのソリューションに取り組みます。1.0の技術ロードマップは「脱ヒートベッド」。コーティング技術によって、加熱中はしっかり定着し、冷めれば自然に外れる仕組みを実現することです。すでにPLA特化の省エネプレートを発売していて、加熱なしの常温プリントを実現しています。

Arkfly Conwebプレート
Arkfly Conweb クールプレート
Phaetus AliExpress公式ストアArkfly Conweb クールプレート

Q. Arkflyの今後の製品領域は?プレート以外(乾燥機、消耗品、周辺アクセサリ全般)にも広がりますか?

現段階では、Arkflyの製品ラインはビルドプラットフォームのソリューションに集中していきます。

▼でも一応かっこいい紫のConchは存在します!

市場・競合(Flyさん)

Q. E3D、Bondtech、Slice、Micro Swissといった欧米アフターマーケット勢の現状をどう見ていますか?Phaetusの勝ち筋はどこにありますか?

個人的な見方ですが、アフターマーケットのブランドはどこも、高度に統合された完成機の台頭という現実に直面しています。DIY時代のアップグレードパーツ市場は、業界再編級の衝撃を受けました。Phaetusは創立当初から、「純正の置き換え」という路線を取っていません。私たちがモジュール単位でブランドを設計してきたのは、押出システムという領域を深く掘り下げ、プリンターメーカーに対してはODM&OBMの能力を、エンドユーザーに対しては、高性能で実際に価値のあるアップグレード製品を提供するためです。技術駆動とユーザー体験。それが私たちのブランドの核です。

Q. Bambu機向けパーツ(Conchノズル、Conwebプレート等)のように、クローズドなエコシステム向け製品を作る難しさと面白さは?

難しさは、技術適用の互換性が常に未知数であることです。ホスト機側のメーカーがバージョン更新で構造を変えれば、私たちの製品がいつ非互換になるか分かりません。この問題については最近、メーカー側とのコラボレーションや共同研究という形を取り始めていて、製品リリース後のペースを協調させるようにしています。面白さは、ユーザーのためにアップグレードの価値を生み出せることです。当社の耐久試験では、カーボンやガラス繊維を含む複合材フィラメントを累計70kg印刷した実績がありますし、対応する純正構成との比較で、当社試験条件下で流量を60%以上向上させた例もあります。取り付けるだけでそれだけの価値が生まれるのですから。

Q. 世界中のレビュアーやKOLとどう付き合っていますか?コミュニティの声が実際に製品を変えた例はありますか?

PhaetusはDIY時代から一貫して、クリエイターたちにさまざまなタイプの製品を提供してきました。水冷、2in1アウトのホットエンド、タングステンカーバイドノズルや宝石(ルビー)ノズルなどです。世界中のKOLやKOCとは非常に良い協力関係を保っていて、多くの仲間がPhaetusの開発者プログラムに参加し、新製品・新技術の深いテストと共創に加わってくれています。Yutoさんは、まさにPhaetusと非常に深く結びついたパートナーです。新技術・新製品の議論とテストに参加し、オンラインでのプロモーションやオフラインのマーケットイベントでブランドを助けてくれています。そして言わずにはいられないのですが、Yutoさんが主催するJRRFは大成功でした。会場は大盛況で、ブランド側は大きな露出を得ることができました。こうした深い協力のモデルから、私たちはクリエイターと一緒に、いくつもの注目製品を孵化させてきました。例えば、開発者のD3vil、Crealityとの三者コラボ製品「DXCシリーズ」エクストルーダーは、エクストルーダーカテゴリのヒット商品になっています。

DXC2 エクストルーダー
Phaetus AliExpress公式ストアDXC2 エクストルーダー(Creality K2対応・三者コラボ)
DXC エクストルーダー
Phaetus AliExpress公式ストアDXC エクストルーダー
Phaetus Beta Testerプログラムのバナー

PhaetusのBeta Tester(開発者プログラム)は誰でも応募できます。応募はこちら: Phaetus Beta Tester 応募フォーム。Self Introduction欄には、ぜひ「Yutoの記事を見た」と書いてください!

日本市場(Wu Jinさん・Flyさん)

Q. 日本市場・日本ユーザーの印象は?産業用途(治具・試作)からの引き合いは増えていますか?

Wu Jin: 日本は、私たちが一貫して非常に重視してきた市場です。日本のユーザーは製品の品質、安定性、ディテールへの要求が非常に高く、それが私たちの技術と製造レベルの向上を促し続けてくれました。私たちの接点から見ても、産業応用への関心は確かに高まり続けています。特に治具、機能検証、小ロット生産といったシーンです。3Dプリンティングの今後最大の成長余地は、コンシューマー市場だけでなく、産業側への浸透が続くことにあると考えています。

Fly: 日本市場は、以前からプロユーザーの比率が高く、製品のディテールへの要求も非常に高い市場です。近年はコンシューマー機の発展にともなって、ますます多くの一般ユーザーが高性能なアップグレードソリューションに関心を持ち始めているのを感じます。とてもポジティブな変化です。

Q. 日本ではPRINSFILがPhaetus製品を、AppleTreeがFusRockを取り扱っています。今後の日本展開・サポート体制は、どう強化していく方針ですか?

Wu Jin: 現在、PRINSFILが日本におけるPhaetus製品のプロモーションと販売を担当し、AppleTreeがFusRockの材料事業を推進しています。次のステップとして、既存の協力を土台に、ローカライズされた製品トレーニング、技術サポート、アフターサービス、そしてマーケティングをさらに強化していきます。日本のユーザーは品質、ディテール、そして長期的なサービスを非常に重視します。だからこそ私たちは、製品を売るだけでは終わらせません。パートナーと共に、製品体験からアプリケーション検証、技術サービスまでの完全なサポート体系を築き上げ、産業ユーザーと専門的な応用シーンを重点的に開拓していきたい。日本のお客様が、製品を「手軽に買える」だけでなく、「継続的に、安定して、使いこなせる」ようになること。それが私たちの目標です。

Fly: 日本の代理店からは、デザイン性の高い低温プレートと、炭化ケイ素(SiC)のConchホットエンドが日本で高い注目を集めていると聞いています。今後は、より多くのプリンターメーカーと一緒に、合同出展やブランドコラボといった形で、日本のユーザーの皆さんの前に登場していく予定です。

筆者注: Conchシリーズには、日本のTECDIAが作る高精度ノズル「kaika」対応モデルが存在します。実はこのコラボは、筆者がkaikaをRuniceに紹介したのがきっかけ。ノズルはTECDIAが、ホットエンド側はRuniceがPhaetusブランド向けに作るという日中協業として、ようやく形になりました。

TCT JAPAN 2026 Phaetusチーム&TECDIAチーム

kaika対応のホットエンドは、現在Phaetus公式ストアでのみ取り扱いがあります。ノズル単体はテクダイヤのkaika公式ショップ(BASE)やAmazonで購入できます。対応プリンターはA1 / A1 mini / H2D / H2S / H2C(左)/ P2S / X2Dで、ノズルの穴径は0.1 / 0.2 / 0.4 / 1.0mmの4種類です。

kaika対応 Conchホットエンド
Phaetus公式ストア / Amazonkaika × Conch(TECDIA × Phaetus 日中コラボ)
公式ストアで見るノズル|kaika公式ショップ(BASE)0.1mm0.2mm0.4mm1.0mmノズル|AmazonkaikaS 0.1mmkaikaS 0.2mmkaikaS 0.4mmkaikaS 1.0mm

Q. JRRFのような日本のコミュニティイベントに期待することは?最後に、日本の読者へメッセージをお願いします。

Wu Jin: JRRFのようなコミュニティイベントを、私たちはとても大切に考えています。3Dプリンティングの発展は、エンジニア、メイカー、ユーザーの共同参加なしにはあり得ません。コミュニティは、新技術がより速く検証される場であると同時に、企業が最もリアルなユーザーの声を聞ける場でもあります。JRRFを通じて日本のユーザーの皆さんとより直接的な交流をして、リアルなニーズを製品開発に持ち帰りたいと思っています。品質とディテール、そして長期的な信頼性を追求する日本のユーザーの姿勢は、RuniceとPhaetusの理念と非常に響き合うものです。これまでの関心とご支援に感謝します。今後も、高性能で、信頼でき、本当に問題を解決する製品をお届けし、日本のパートナー、エンジニア、メイカーの皆さんと一緒に、3Dプリンティング技術を前へ進めていきます。

Fly: JRRFはYutoさんの主催のもとで、3Dプリンティング業界のとても良い空気を作り出しています。第1回に現地参加できなかったことが本当に残念です。次回のJRRFには、最も誠意のこもった新技術・新製品・新作品を携えて、必ず日本のプレイヤーの皆さんに会いに行きます。


JRRFはJRRF2025/2026ともにPRINSFILさんによる出展だったので来年はPhaetus x PRINSFIL?!な展示がみれると素敵ですね!JRRFでの写真は私は撮れてないのですが通訳・翻訳サポートしたTCTでの写真でも。

TCT JAPAN 2026
TCT JAPAN 2025

次の10年

Q. 3Dプリンティングの次の10年で、一番変わるものは何だと思いますか?

Wu Jin: 次の10年で最大の変化は、印刷速度がさらに速くなることではなく、3Dプリンティングが本当の意味でスマート製造の一部になることだと考えています。AI、多材料、マルチヘッド、ロボット、自動化が段階的に融合し、3Dプリンティングは1台の装置から、完全な製造システムへと発展していきます。業界の競争も、単一製品の競争から、コア技術とシステム能力の競争へと移っていく。材料、ハードウェア、ソフトウェア、そしてAIを本当に融合できた者こそが、次世代の3Dプリンティングの発展を牽引するチャンスを手にするでしょう。


取材の最後、Flyさんは「次回のJRRFには必ず新技術・新製品を携えて会いに行く」と約束してくれました。次のJRRFの会場で、この記事の続きを確かめてもらえたらと思います。JRRF2027がいつになるかは…まだ未定です!TCT ASIAやFormnext Frankfurtのタイミング変更などもあり悩ましいです。会場広さとしてとりあえず2,000平米確保できればとは思いますがもし会場協力可能な企業さん、いらっしゃいましたらお声がけください!

JRRFについては info@japanreprapfestival.com までお願いします。

Runiceの工場は蘇州のものも私が知った後でも引っ越しなどありましたが短期間で大量設備を全部移管など日本では考えられないスピード感。工場のマシンは普段見に行く工場と違い長い棒材の加工機が多くあり新鮮でした。

もし自分のカスタムホットエンドやノズルなど作ってブランドとして販売、もしくは共同開発してみたいというハードコアな3Dプリンターユーザーは連絡してみてくださいね。また結構SNSはチェックされているのでPhaetus製品を使っている方は積極的にタグ付投稿してみるといいかもしれません!

また今後も色々一緒に業界を盛り上げていければと思います

リンク

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Quoting or republishing this interview is welcome — just credit psych0h3ad.tech and link back to this article. If you do, I’d love to hear about it: reach me on X (@YuTR0N) or via the contact form.


【修正】2026年8月13日:kaika対応ホットエンドについて「AliExpressでも購入可能」と記載していましたが、これは誤って掲載されていたもので、現在の取り扱いはPhaetus公式ストアのみです。該当箇所を修正しました。


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